(1996年10月29日第8期全国人民代表大会常務委員会第22回会議採択)
中華人民共和国主席令第76号
第一条 郷鎮企業の持続的な健全な発展を助け、導き、郷鎮企業の合法的な権益を保護し、郷鎮企業の行為を規範化し、農村経済を繁栄させ、社会主義の現代化を促すために本法を制定する。
第二条 本法にいう郷鎮企業とは、農村集団経済組織もしくは農民の投資を主とし、郷鎮(所轄の村を含む)で設立された、農業義務の支援を引き受ける各種の企業を指す。
前項にいう投資とは、主に農村集団経済組織もしくは農民の投資が50%を超えているか、もしくは50%に満たなくとも持株統制もしくは実質的な統制作用を担っている場合を指す。
郷鎮企業は企業法人の条件に合致するものは、法により企業法人の資格を取得する。
第三条 郷鎮企業は農村経済の重要な支柱および国民経済の重要な要素である。
郷鎮企業の主要な任務は、市場の需要に基づく商品生産の発展、社会サービスの提供、社会の効果的な供給の増加、農村の余剰労働力の吸収、農民収入の向上、農業支援の実施、農業と農村の現代化の推進、国民経済と社会事業の発展の促進である。
第四条 郷鎮企業の発展は、農村集団経済を主導とし、多種の経済要素の共同発展を原則とすることを堅持する。
第五条 国家は郷鎮企業に対して積極的に支援し、合理的に計画を立て、分類指導を行い、法に基づいて管理する。
第六条 国家は経済の発達が欠けている地域、少数民族地域において郷鎮企業を育成することを奨励および重点的に支持し、経済の発達した地域の郷鎮企業もしくはその他経済組織が多様な形式で経済の発達が欠けている地域および少数民族地域を支持して郷鎮企業を設立することを奨励する。
第七条 国務院郷鎮企業行政管理部門と関連部門は各自の職責により、全国の郷鎮企業に対して計画、調整、監督、サービスを行う。県級以上の地方各級人民政府郷鎮企業行政管理部門と関連部門は各自の職責により、本行政区域内の郷鎮企業に対して計画、調整、監督、サービスを行う。
第八条 法律により登記して設立される郷鎮企業は、現地の郷鎮企業行政管理部門にて登記登録の手続きを行わなければならない。
郷鎮企業が名称、住所を変更する場合、もしくは分割、合併、操業休止、操業停止するなどの場合、法に基づき変更登記手続、設立登記もしくは登記取り消しを行った後、郷鎮企業行政管理部門に届け出なければならない。
第九条 郷鎮企業が都市に設立した分支機構、もしくは農村集団経済組織が都市に設立し、かつ農業義務の支援を行う企業は郷鎮企業として遇される。
第一〇条 農村集団経済組織が投資して設立した郷鎮企業の企業財産権は、その企業を設立した農民全員の集団所有に属する。
農村集団経済組織とその他の企業、組織、もしくは個人が共同で投資して設立した郷鎮企業の場合、その企業財産権は出資額に応じて、投資者の所有に属する。
農民が共同、もしくは単独で投資して設立した郷鎮企業の場合、その企業財産権は投資者の所有に属する。
第一一条 郷鎮企業は法により独立採算、自主経営、損益の自己負担を行う。
企業法人の資格のある郷鎮企業は、法により法人財産権を享有する。
第一二条 国家は郷鎮企業の合法権益を保護する。郷鎮企業の合法的財産は侵害されない。
いかなる組織もしくは個人も法律、行政法規に違反して、郷鎮企業の生産経営や企業責任者の交代に関与してはならない。郷鎮企業の財産を違法に占有し、もしくは無償で使用してはならない。
第一三条 郷鎮企業は法律、行政法規に規定される企業形式に従って設立され、投資者は関連の法律、行政法規に基づき企業の重大事項を決定し、経営管理制度を打ち立て、法により権利と義務の責任を享有する。
第一四条 郷鎮企業は法により民主管理を実行し、投資者は企業経営管理制度と企業責任者を定め、重大な経営方針決定や従業員給与、福利厚生、労働保護、労働安全などの重要な問題を決定する時は、本企業の組合もしくは従業員の意見を聞き、実施状況は定期的に従業員に向けて公布し、従業員の監督を受けねばならない。
第一五条 国家は条件を具備する地域が郷鎮企業の従業員社会保険制度を確立し、かつそれを整備することを奨励する。
第一六条 郷鎮企業が操業を休止、停止する場合、すでに社会保険制度を設けているものは関連規定に基いてき従業員の配置を行う。法により労働契約を結んだ場合、契約に従い処理する。本来農村集団経済組織に属する従業員は、農村集団経済組織に戻って生産に携わる、もしくは従業員が自ら職業を選択する権利を有する。
第一七条 郷鎮企業は、税引き後利益から一定の割合の資金を農業と農村社会の支援のために用いる。その割合と資金の管理・使用方法は省、自治区、直轄市の人民政府の規定による。
法律、行政法規に別途規定される場合を除き、いかなる機関、組織又は個人は何らかの方式で郷鎮企業から費用を徴収し、割り当てを行ってはならない。
第一八条 国家は郷鎮企業の発展状況に基づき、一定期間内、郷鎮企業に対して一定の割合の減税を行う。減税される税種、期限と割合は国務院の規定による。
第一九条 国家は以下の条件の一つに合致する中小型の郷鎮企業について、異なる状況に基づき、一定期限の優遇税制を実施する。
(一)集団所有形態の郷鎮企業が設立した初期に経営が確実に困難であるもの
(二)少数民族地域、辺境地域や貧困地域に設立されたもの
(三)食料、飼料、肉類の加工、保存、輸送・販売に従事するもの
(四)国家の産業政策によって特殊な支援が必要であると規定されるもの
前項の優遇税制の具体的な方法は国務院の規定による。
第二〇条 国家は融資手段の運用により、郷鎮企業の発展を奨励、支援する。前条の規定する条件の一つに合致し、かつ融資条件に該当する郷鎮企業に対して、国家の関連金融機関は優先的に融資することができる。そのうち、生産資金が困難であるが、発展の見込みがあるものに対しては特別融資を行うことができる。
前項の優先的融資、特別融資の具体的な方法は国務院の規定による。
第二一条 県級以上の人民政府は国家の関連規定に基づき、郷鎮企業発展基金を設立することができる。基金は以下の資金により構成される。
(一)政府が支給する郷鎮企業の発展のための流動資金
(二)郷鎮企業が毎年納める地方税の増加部分における一定の割合の資金
(三)基金運用により生じた利益
(四)農村集団経済組織、郷鎮企業、農民等が自主的に提供する資金
第二二条 郷鎮企業発展基金は、郷鎮企業の発展支援に専用し、その使用範囲は以下の通りである。
(一)少数民族地域、辺境地域や貧困地域が郷鎮企業を育成することを支援する
(二)経済の発達が欠けている地域、少数民族地域の郷鎮企業と経済が発達している地域の郷鎮企業の間で行われる経済技術提携および合弁プロジェクトを支援する
(三)郷鎮企業が国家の産業政策に従って産業構造と製品構造を調整することを支援する
(四)郷鎮企業の技術改造、有名、特別、優良などの特色を備えた新興製品の開発および伝統手工芸製品の生産を支援する
(五)農業生産財の生産に従事する、もしくは農業生産に直接にサービスを提供する郷鎮企業を発展する
(六)食料、飼料、肉類の加工、保存、輸送・販売に従事する郷鎮企業を発展する
(七)郷鎮企業従業員向けの職業教育および技術訓練を支援する
(八)その他支援が必要とされる項目
郷鎮企業発展基金の設立と資金の使用・管理方法は国務院の規定による。
第二三条 国家は郷鎮企業の人材を積極的に養成し、科学技術者、経営管理者および大学、中等専門学校の卒業生が郷鎮企業において勤務し、様々な方式で郷鎮企業のために奉仕することを奨励する。
郷鎮企業は多チャンネル、多様な形式を通じて技術者、経営管理者および操業員を養成し、かつ優遇措置を講じて人材誘致を行う。
第二四条 国家は優遇措置を取り、郷鎮企業と科学研究機関、高等教育機関、国有企業およびその他の企業、組織との各種形式の経済技術協力の展開を奨励する。
第二五条 国家は郷鎮企業による対外経済技術協力や交流の展開を奨励し、輸出商品の生産基地を建設し、輸出による外貨収入を増加する。
条件が具備する郷鎮企業は法により許可を経て、輸出入経営権を取得することができる。
第二六条 地方の各級の人民政府は統一した計画、合理的な配置という原則に基づき、郷鎮企業の発展と小規模な都市の建設を合わせ、郷鎮企業の適切な集中発展を導き、促進し、インフラ整備および公共施設の整備を徐々に強化し、もって小規模な都市の建設を加速する。
第二七条 郷鎮企業は市場の需要と国家の産業政策に基づき、産業構造と製品構成を適切に調整し、技術改造を強化し、先進的な技術、生産工程と設備を絶えず採用し、企業の経営・管理レベルを向上させなければならない。
第二八条 郷鎮企業の設立に当たっては、その建設用地は土地利用の全体計画に合致し、土地利用の厳格なコントロール、土地の合理的利用、土地使用の節約を図らなければならない。利用可能な荒れ地、条件が劣る土地がある場合は、荒れ地、条件が劣る土地を利用せず、耕地や条件が優れる土地を占有してはならない。
郷鎮企業を設立するに当たり、農村の集団所有地を使用する場合は、法律・法規の規定に基づき、関連用地の認可手続きおよび土地の登記手続きを行わなければならない。
郷鎮企業が使用する、農村集団の所有する土地は、連続して二年以上使用されていない、もしくは一年以上経営を停止して放置されている場合は、本来の土地所有者がこの土地の使用権を回収し、新たに使用の手配を行うべきである。
第二九条 郷鎮企業は法により天然資源の合理的な開発・使用を行わなければならない。
郷鎮企業が鉱産資源の採掘に携わる場合、関連の法律・規定に基づき、関連部門の認可を経て、採掘許可証、生産許可証を取得し、正規作業を実施し、資源の浪費を防止し、資源の破壊を厳禁しなければならない。
第三〇条 郷鎮企業は国家の関連規定に基づき、財務会計制度を確立し、財務管理を強化し、法により会計帳簿を設置して、事実通りに財務業務を記録しなければならない。
第三一条 郷鎮企業は国家の統計制度に基づき、事実通りに統計資料を報告しなければならない。国家の規定に違反して編成・公布された統計調査報告表については、郷鎮企業は記入を拒絶する権利を有する。
第三二条 郷鎮企業は法により税務登記の手続きをし、期日通りに納税申告を行い、規定額の税を支払わなければならない。
各級の人民政府は法により、郷鎮企業の税収管理を強化し、関連管理部門は管理権限を越えて郷鎮企業への減免税を行ってはならない。
第三三条 郷鎮企業は製品の品質管理を強化し、製品の品質向上に努めなければならない。生産、販売する製品は人体の健康や人身、財産の安全保障に関する国家基準と業界基準を満たさなければならない。効力を失った、又は変質した製品や国家が明らかに禁止する製品は生産、販売してはならない。製品の中に品質の劣るものや偽物を混入したり、偽物を本物と偽ったり、不良品を良品としてはならない。
第三四条 郷鎮企業は法に基づいて商標を使用し、企業の信用を重視しなければならない。国家の規定により取り扱う商品の標識を制作し、製品産地の偽造、もしくは、他人の工場名や工場住所、認証マークや優良製品マークを偽造、偽称してはならない。
第三五条 郷鎮企業は関連の環境保護の法律・法規を遵守し、国家の産業政策に基づいて、当地の人民政府の統一指導の下、対策を講じ、無公害、もしくは汚染が少ない、資源消費の少ない企業へと発展し、環境汚染・生態破壊の防止、環境の保護・改善を確実に図らなければならない。
地方人民政府は郷鎮企業の環境保護計画を制定、かつそれを実行に移し、郷鎮企業の汚染防止能力を高めなければならない。
第三六条 郷鎮企業が環境に影響を与えるプロジェクトを建設する場合、環境影響評価制度を厳格に執り行わなければならない。
郷鎮企業による建設プロジェクトにおける汚染防止施設は、主体工事と同時に設計し、同時に施工し、かつ同時に操業開始しなければならない。汚染防止施設が、環境保護行政主管部門の検収に合格した後に限り、当該建設プロジェクトは操業を開始する、もしくは使用することができる。
郷鎮企業は、国家が明文化して禁止した深刻な環境汚染を引き起こす生産技術と設備を採用もしくは、使用してはならない。また、国家が明らかに禁止する、深刻な環境汚染を生じる製品を生産、経営してはならない。排出される汚染物質は国家もしくは地方の定める基準を超え、深刻な環境汚染を引き起こす場合は、期限を定めて整備を求めなければならない。期限が過ぎても整備が完了しない場合、法に基づき閉鎖、操業停止もしくは業種転換の措置を講じる。
第三七条 郷鎮企業は労働保護、労働安全に関する法律・法規を遵守し、安全第一、予防を主とする方針を真剣に貫徹し、効果的な労働衛生技術措置と管理措置を取り、生産に伴う死傷事故と職業病の発生を防止しなければならない。従業員の安全に危害を及ぼす事故の隠れた危険については、期限を定めて解決する、もしくは生産を停止して整頓を行う。管理者が規定に反して指揮をとり、従業員に危険な作業を強いることを固く禁ずる。死傷事故が発生した場合は、救急措置を積極的に取り、法に基づき適切な処理を行い、合わせて関連部門に報告しなければならない。
第三八条 本法の規定に違反し、以下に掲げる行為の一つがあった場合、県級以上の人民政府郷鎮企業行政管理部門が是正を命じる。
(一)法律に違反して郷鎮企業の所有権を変更した場合
(二)法律に違反して郷鎮企業の財産を占有し、又は無償で使用した場合
(三)法律に違反して郷鎮企業の責任者を更迭した場合
(四)郷鎮企業の自主経営権を犯した場合
前項の行為が郷鎮企業に経済損失をもたらした場合は、法により賠償しなければならない。
第三九条 郷鎮企業は監査、監察、財政、物価、郷鎮企業行政管理部門に対して、企業に対する費用の不法徴収、利益上納の不当な割り当て、もしくは罰金の不当な処罰を行う組織および個人を控訴、告発する権利を持つ。関連部門と上級機関は、責任者にその行為を停止するように命じ、合わせて期限を定めて関連の財物を返却させなければならない。直接責任者について、関連部門は情状の程度に応じて相応の処罰を行う。
第四〇条 郷鎮企業が、国家の製品品質、環境保護、土地管理、天然資源開発、労働安全、課税およびその他関連法律、法規に違反した場合、法律・法規に基づき処理を行うほか、過ちが是正されるまでに、情状の程度に応じて、本法の規定する優遇措置の一部又は全部の享受を停止させなければならない。
第四一条 郷鎮企業が本法の規定に違反し、農業義務の支援を引き受けない場合、郷鎮企業行政管理部門は是正を命じることとする。過ちが是正されるまでに、本法の規定する優遇措置の一部又は全部の享有を停止させることができる。
第四二条 本法第三八条から第四一条の規定に基づいて行われた処罰、処理の決定について不服がある場合、当事者は法律に従い行政再議、提訴の申請を行うことができる。
第四三条 この法律は1997年1月1日より施行する。
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[1] 「郷」(村)、「鎮」(町)は県の下に置かれた行政単位である。現在の「郷鎮企業」は、狭義の町村営企業ではなく、私営・自営も含めた広範な農村企業の総称となっている。前身は人民公社時代の「社隊企業」で、公社解体後の1984年より郷鎮企業に改称。――訳注
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