渤海碧海行動計画

中華人民共和国国務院

国函[2001]124号

天津市、河北省、遼寧省、山東省人民政府、国家発展計画委員会[1] 、国家経済貿易委員会[2] 、科学技術部、財政部、建設部、交通部、水利部、農業部、環境保護総局、林業局、海洋局:

国家環境保護総局の《渤海碧海行動計画の認可を仰ぐための申請》(環[2001]57号)の提出を受け、ここに以下、回答する。

一、《渤海碧海行動計画》(以下、《計画》と略称する)に原則的に同意する。同計画について、真摯な組織作りを願うものである。認識を高め、広報活動を強化し、一歩一歩着実に活動を展開することにより、以下の目標を達成しなければならない:2005年までに、渤海海域の環境汚染を初歩的に抑制し、生態環境の破壊傾向について、初歩的な緩和が得られるようにし、陸上発生源に起因するCOD(化学的酸素要求量)の海への流入量を対2000年比で10%以上、リン酸塩、無機体窒素及び石油類の海への流入量を同20%以上、それぞれ削減する。2010年までに、渤海海域の環境の質が初歩的に改善され、生態環境の破壊について、効果的な抑制が得られるようにし、陸上発生源に起因するCOD、リン酸塩及び無機体窒素、石油類の海への流入量を対2005年比でそれぞれ10%以上、15%、20%削減する。2015年までに、渤海流域の環境の質が顕著に好転し、生態系が初歩的な改善を得られるようにする。

二、《計画》は渤海及び環渤海地域の水環境保護、生態環境保護、海洋資源保護活動の重要な拠り所となるものである。渤海及び環渤海地域の各種生産、建設活動は《計画》の条件に適合していなければならない。天津市、河北省、遼寧省、山東省(以下、四省・市と略称する)人民政府及び国務院関係部門は《計画》に基づき、所轄地区及び所轄部門の具体的な実施計画を可及的速やかに制定し、基本建設及び技術改造プロジェクトの審査・認可プロセスに従って、地方、部門、国家の国民経済・社会発展5ヵ年計画及び年度計画に組み入れるとともに、その他の環境保護関連計画と結び付け、部門間、地方間の協調を強化し、実施に向けた組織作りを真摯に行わなければならない。

三、渤海の環境保護に関する主な責任は四省・市人民政府にある。四省・市人民政府は《計画》の目標及び措置を省長、市長、県長の目標責任制に組み込み、碧海行動計画に対する指導を確実に強化しなければならない。汚染防止と生態環境保護の双方を重んじ、陸上起因の汚染の防止を重点とし、産業構造調整の積極的な促進、クリーナープロダクションの強力な普及推進、海へ流入する汚染物総量の効果的な抑制を図り、汚染源制御、非汚染性物質による破壊の抑制、生態回復・保護事業、環境マネジメントなどの措置を実施する。《計画》の実施に対する監督を強化し、資金の投下、措置の実施、任務の具体化、責任の明確化を確実に行い、《計画》の期日通りの完了を確保しなければならない。

四、国務院関係部門は各自の職能分業に従い、職責を確実に履行し、《計画》の実施に対する指導と支援を強化しなければならない。《計画》中の国の支援を必要とする一部プロジェクトについては、国家発展計画委員会が指導及び督促を強化すること。産業構造の調整、クリーナープロダクションの普及などに関する活動については、国家経済貿易委員会が指導及び検査を強めること。科学技術の難関突破及びモデル事業の展開については、科学技術部がサポートすること。都市部の汚水処理場、都市部のゴミ処理工事の建設計画の実施については、建設部が指導及び監督を強化すること。港湾、船舶の汚染防止計画及び海上汚染の緊急計画の実施については、交通部などの部門が指導及び監督を行う。環境保全型の農業、漁業、養殖業の計画実施については、農業部が関係部門とともに指導及び監督を強化する。海岸の分離帯[3] 及び緑化事業などのプロジェクトについては、林業局などの部門が指導及び監督を行う。海洋石油プラットホーム、海洋廃棄物投棄などの分野に関する活動については、海洋局が指導及び監督を強化する。軍艦、軍港の汚染防止については、軍組織傘下環境保護部門が各関連部門による実施を組織、督促する。

五、四省・市及び北京市、吉林省、内モンゴル自治区、山西省、河南省人民政府は、《計画》中にある、河口の窒素、リンなど主な汚染物の総量規制に関する条件及び陸と海を統一的に計画案配するという原則に基づき、関連流域の水質汚濁防止計画の更なる充実化を図らなければならない。

六、汚染防止及び生態系整備の資金を多方面から調達すること。渤海の汚染防止及び生態系の整備は地方による投入を主とし、国が適度な支援を与える。四省・市は汚水処理費徴収メカニズムの健全化を急ぎ、汚水処理費の徴収の度合いを強化し、汚水処理費の徴収基準を徐々に引き上げ、汚水処理企業が投資を回収し、僅かながらでも利益を上げられる状態で運営できるようにしなければならない。ゴミ処理費の徴収を徐々に開始すること。《計画》が定める作業項目の実施を加速し、スタート時からのスピードアップを成し遂げ、投入の保証、管理の強化を図り、工事の質を確保しなければならない。

七、渤海流域の水質汚濁防止及び生態保護活動に対する法執行、検査を強化する。環境保護総局、国家海洋局は環境保護に関する法執行、監督、検査を強めなければならない。環境保護総局が陣頭に立ち、渤海碧海行動計画聯席会議[4] 制度を打ち立て、地方政府が《計画》を確実に実施するよう督促を行い、流域の重大な環境問題をめぐって組織協調を強め、解決案を提出するとともに監督を行う。

 2001年10月1日

テーマワード:環境保護 渤海 計画 通知

写し送付先:中国共産党中央弁公庁、北京市、吉林省、内モンゴル自治区、山西省、河南省の各人民政府、国土資源部、中国人民銀行、税務総局、旅遊局、国務院法制弁公室、中国国家開発銀行、中国工商銀行、中国銀行、中国建設銀行、中央軍事委員会弁公庁、中国人民解放軍総後勤部、中国人民解放軍・海軍。

渤海碧海行動計画

第一章 総論

第一節 編成の根拠

一 国家指導者による指示

(一)国家指導者による国家環境保護総局の《渤海を全国環境保護活動の重点に組み入れることに関する指示伺い》に対する指示

(二)国家指導者による全国人民代表大会環境・資源保護委員会の《国務院が渤海を国家環境汚染整備活動の重点に組み入れることについての建議に関する報告》に対する指示

二 第九期全国人民代表大会常務委員会第4回会議報告

“全国人民代表大会常務委員会執法(=法執行)検査グループによる《中華人民共和国海洋環境保護法》の実施状況に対する検査についての報告”(1998年8月24日第9期全国人民代表大会常務委員会第4回会議)

三 法律、行政法規、規則、基準

《中華人民共和国環境保護法》

《中華人民共和国海洋環境保護法》

《中華人民共和国水汚染防止法》

《中華人民共和国水土保持法》

《中華人民共和国漁業法》

《中華人民共和国野生動物保護法》

《中華人民共和国陸上起因の海洋環境の汚染・損害防止管理条例》

《中華人民共和国海岸工事建設プロジェクトによる海洋環境の汚染・損害防止管理条例》

《中華人民共和国船舶による海域汚染防止管理条例》

《中華人民共和国海洋廃棄物投棄管理条例》

《中華人民共和国海洋石油探査・開発環境保護管理条例》

《中華人民共和国自然保護区条例》

《沿岸海域環境機能区管理弁法》

《海水水質基準》(GB3097-1997)

《漁業水質基準》(GB11607-89)

《地表水環境質基準》(GHZB1-1999)

《汚水総合排出基準》(GB8978-1996)

《船舶汚染物排出基準》(GB3552-83)

《海洋石油開発工業における油を含む汚水の排出基準》(GB4914-85)

《海洋汚水処理工事汚染規制基準》(GWKB4-2000)

四 国家関連文書

《国務院、環境保護をめぐる若干の問題に関する決定》(国発[1996]31号)

《国家環境保護“九五”計画(第9次5ヵ年計画、1996~2000年)及び2010年長期目標》

《全国生態環境建設計画》

《全国生態環境保護綱要》

《“九五”期間中における全国の主要汚染物の排出総量規制計画》

《中国の世紀を跨ぐグリーン事業計画》

《海河流域の水質汚濁防止計画》

《遼河流域の水質汚濁防止“九五”計画及び2010年計画》

第二節 指導思想と編成原則

一 指導思想

渤海の水質及び生態環境の回復・改善を立脚点とし、当該地域の生産・生活方式の調整・変更、経済成長方式の転換促進を基本ルートとして、陸と海の双方に配慮し、河川と海について統一的に計画案配し、陸上起因の汚染の整備に重点を置き、海域環境の継続的な悪化の抑制、海域環境の質改善の促進を図り、海洋生態システムのサービス機能の増強に努め、環渤海地域における社会・経済の持続可能な発展を確保する。

二 編成原則

1、重点を強調し、一般的な事項にも配慮する

最優先重点汚染物……N、P、COD、石油類

最優先重点抑制区域……沿海陸域及び沿岸海域

重点汚染源の強化……陸上汚染源

重点環境問題の解決……沿岸海域の水質及び生態環境の破壊

2、汚染防止と生態保護の双方を重んじ、陸地の環境保護と海洋の環境保護について統一的に計画案配し、海岸帯の汚染整備と生態の保護及び回復の双方に配慮し、陸と海の双方に有利なプロジェクトを優先的に手配する。陸域の環境保護を強化すると同時に、船舶などの海上汚染源に対する監督・管理を大いに強化し、突発的な汚染事故に対する防備を確実に行う。

3、重点流域の水質汚濁防止活動との協調、連携
  CODの抑制については、遼河、海河、黄河などの水質汚濁防止計画の内容と協調、連携を図ると同時に、窒素、リン、油による汚染防止、生態の保護と回復などの内容を補充する。

4、科学技術の進歩を拠り所とし、環境モニタリング、環境マネジメントの強化を図る
法制建設(法制度の整備)、監督・管理を強化し、モニタリングを先行させ、渤海碧海行動の実施効果を把握する。科学技術の進歩を拠り所として、計画の実施過程において、継続発展、補充、充実化を図る。

第三節 行動時期と目標

一 行動時期

初期:2001~2005年

中期:2006~2010年

長期:2011~2015年

計画の編成については1998年のデータをベースとし、2000年の予測値を基礎とした。

二 行動目標

1、初期目標(2001~2005年)海域環境の汚染を初歩的に抑制し、生態環境の破壊傾向について、初歩的に緩和が得られるようにする

遼河流域、海河流域、黄河流域など、重点流域の水質汚濁防止計画を真摯に実行に移し、工業汚染源の排出基準達成及び重点都市における水環境機能区の基準達成成果を固め、工業企業によるクリーナープロダクションの実施を推進する。複数の公共汚水処理事業及び設備の建設、改造を完了する。主な汚染物の海への流入総量を効果的に削減する。2005年までに、陸上発生源によるCODの海への流入量を対2000年比で10%以上、リン酸塩、無機体窒素及び石油類の海への流入量を同20%以上、それぞれ削減する。非点源汚染の抑制及び環境保全型養殖について、実験、研究を展開する。渤海海域を出入りする船舶に関する汚染物排出監督・抑制システム及び船舶のバラスト水排出管理制度を初歩的に確立する。渤海における船舶による油類等汚染物質“ゼロエミッション”計画をスタートさせる。港湾に船舶による水汚染物質の受入施設を設ける。渤海海域に油が流れ出した場合の応急システムを構築する。環渤海環境モニタリング拠点システムを打ち立てる。海域環境汚染を初歩的に抑制し、生態破壊の傾向について、初歩的に緩和が得られ、一部海域の環境の質に改善が見られるようにする。

2、中期目標(2006~2010年)海域の環境の質が初歩的に改善され、生態環境の破壊について、効果的な抑制が得られるようにする

非点源汚染の抑制を重点とし、2010年までに、陸上発生源によるCOD、リン酸塩及び無機体窒素、石油類の海への流入量を対2005年比でそれぞれ10%以上、15%、20%削減する。沿岸海域の水質について、環境機能区の保護目標を基本的に達成するようにする。環境保全型養殖モデルを実施する。複数の生態モデル区を完成させる。海岸の分離帯建設について、より一層の充実化を図る。港湾船舶の廃棄物受入施設を竣工させる。環境汚染・赤潮災害モニタリング事前警報処理システムを確立する。海域の環境の質が初歩的に改善され、生態環境の破壊について、効果的な抑制が得られるようにする。

3、長期目標(2011~2015年)海域の環境の質が顕著に好転し、生態系が初歩的な改善を得られるようにする

沿岸海域の環境機能区の条件達成を目標として、持続可能な生態系を初歩的に確立し、生態系のサービス機能を高める。複数の重点海域における環境総合整備を完成させる。水産・養殖業について、環境保全型養殖を基本的に実現する。海上の移動汚染源及びそれに関する作業に対する監督・制御、管理を全面的に実施する。船舶及び関連作業による油類汚染物の“ゼロエミッション”計画を全面的に実施する。海域の環境の質が顕著に好転し、生態系が初歩的な改善を得られるようにする。

第四節 区域範囲

本計画の区域範囲は海域と陸域の2つの部分に分けることができ、重点は沿海陸域及び沿岸海域区域に置く。

海域は遼東半島に位置する大連、丹東の両市の海岸線が交差する場所と山東半島の煙台、威海の両市の海岸線が交差する場所の間の連結線を境とする西側の海域(渤海全体及び大連市と煙台市に接する黄海海域を含む。以下、渤海と総称する)で、面積は9万5,000㎢に及ぶ。

渤海は主に以下の5つの部分からなる:北側の遼東湾、西側の渤海湾、南側の莱州湾、中間の中央盆地及び東側の渤海海峡。渤海海峡は渤海と黄海に境を接し、最も狭い場所はわずか57海里(遼寧の老鉄山から山東半島北端の蓬莱まで)で、列島によって若干の水道に分かれている。

陸域は遼寧、河北、山東、天津の3省1直轄市内の13の沿海都市が含まれる。これら13都市は次の通り:遼寧省の大連市、営口市、盤錦市、錦州市、葫蘆島市。河北省の唐山市、秦皇島市、滄州市。山東省の濱州市、東営市、濰坊市、煙台市(莱陽及び海陽の2県・市を除く)。天津市。13沿海都市の管轄区面積は13万4,000㎢に及ぶ。

渤海に流れ込む水系には、遼東半島の各河川、遼河、遼西沿海の各河川、灤河、海河、黄河、山東半島の各河川の7つの水系が含まれる(図1-1参照)。

便宜上、計画においては上述の市を13市と略称する。以下、特に説明がない場合、文中で言及される遼寧、山東、河北省の統計数字は上述の所轄沿海都市のみが含まれるものとする。

第五節 指標体系

一 汚染物の海への流入総量規制指標

無機体窒素、リン酸塩、COD(CODは汚染源の際はCODcrを指し、海洋水質の際はCODMnを指す。以下、同様。)、石油類

二 沿岸海域の水環境質指標

(一)水質指標

無機体窒素、活性リン酸塩、COD、石油類

(二)堆積物の環境質

鉛、水銀、カドミウム、銅、有機質、硫化物、N、Pなど。

(三)生物体汚染物含量指標

水銀、銅、鉛、カドミウム、油類、農薬など。

三 生態系の健康度指標

(一)生物指標

動物プランクトン群落:個体総数、種類数、種の多様性及び優位度

植物プランクトン群落:細胞総数、種類数、種の多様性及び優位度

底生動物群落:生物量、種類数、優勢種及びその優位度、生物多様性

潮間帯生物群落:生物量、種類数、優勢種及びその優位度、生物多様性

漁業資源:生物資源量、種類、優勢種及び多様性

(二)生物生産力

クロロフィルa、一次生産力、二次生産力

   図1-1 渤海流域水系図(省略)

第二章 行動背景

第一節 環渤海区域の社会・経済概況
 

環渤海地域は陸海の豊富な自然資源を有しており、我が国の北方地方における経済が最も発達した地域であり、我が国の経済発展の中で重要な位置を占めている。渤海は我が国最大の海水養殖基地であり、同エリアの生産量は全国の総生産量の40.9%を占めている。このほか、塩業の生産額の対全国比は73.8%、交通・輸送業の対全国比は23%にそれぞれ達している。建設済み、建設中の港湾は66ヵ所を数え、全国港湾総数の20%を占める。渤海は天然ガス資源が非常に豊富であり、1998年の原油生産量は全国の海洋原油生産量の16%に達した。改革開放以来、環渤海地域の海洋産業は非常に速い速度で発展しており、海洋産業の総生産額は1986年の64億元から1996年には887億元に達し、1998年には1,104億元まで増加した。

環渤海地域の13市の概況については、表2-1を参照のこと。

表2-1 環渤海地域13市概況

項目

遼寧5市

河北3市

天津市

山東4市

合計

1998年域内総生産(億元)

1637

1433

1336

1836

6243[5]

1998年人口(万人)*

1451

1585

905

1856

5797

人口自然増加率(‰)

4.58

6.83

3.40

5.46

5.29

海岸砂丘面積(㎢)

1826.7

1167.9

370

1549.3

4914

陸域面積(㎢)

43743

34622

11920

43651

133935[6]

耕地面積(㎢)

12540

15600

4250

15845

48235

海岸線距離(㎢)

1392

422

153

1053

3020

海への主要河川流入量の長期平均(億㎥)

297

55

27

239

618

1998年の海洋漁獲高(万t)

152.8

26.8

2.4

60.7

243

1998年の(海洋)養殖生産量(万t)

113.8

8.3

0.3

234.0#

356

* 13市の非農業人は約32%を占める。# 黄海の部分を含む。

各市の国民経済・社会発展“九五”計画及び2010年長期計画に基づき、環渤海地域の域内総生産(GDP)の年成長率を8~12%に確定する。同地域のGDPは2000年に7,300億元、2005年に1兆1,200億元、2010年に1兆7,200億元にそれぞれ達する見込み。

年間の人口自然増加率を0.6%以内に抑制するとすると、環渤海13市の2000年の人口は5,870万人以内、2005年は6,050万人以内、2010年は6,230万人以内、2015年は6,400万人以内にそれぞれ抑制される。

予測によると、2010年時点の13市の都市化水準は60%、都市部の人口は3,738万人に達し、都市の汚水量は1998年の28億t/年から40億t/年以上のレベルまで増え、河川及び沿岸海域の水環境に対して、更に大きな圧力が加わるものとみられる。

第二節 海に流入する汚染物の排出状況

1998年の調査に基づく、異なる類型の汚染源の海への流入量及び全体比の予想値については、表2-2参照のこと。

各汚染源が全体に占める割合から、汚染抑制の重点は主に陸域にあることが分かる。陸上汚染源による汚染物質が海へ流入する主なルートには河川、混合排出口、直接排出口、市政下水道排出口の4種類の排出口がある。うち、河川には相当な量の非点源排出量が含まれる。

表2-2 1998年の渤海への汚染物流入量推算表

 

海への

流入総量

 

陸域汚染源の海への

流入量

海域汚染源の海への流入量

四種の

排水口₁₎

沿岸陸域非点源₂₎

海面の大気沈降₃₎

タイショウエビの養殖₄₎

輸送船舶₅₎

漁船₆₎

事故による油の流出₇₎

窒素t/a)

212290

174970

10920

26180

142

 

78.4

 

比率

100%

82.42%

5.14%

12.33%

0.07%

 

0.04%

 

リン(t/a)

17094

14096

2214

770

14

 

0.19

 

比率

100%

82.46%

12.95%

4.50%

0.08%

 

0.00%

 

COD(t/a)

1623434

1425448

 

192500

2838

 

2648

 

比率

100%

87.80%

 

11.86%

0.17%

 

0.16%

 

石油類(t/a)

25242

15218

 

 

 

7000

2926

98

比率

100%

60.29%

 

 

 

27.73%

11.59%

0.39%

注:

1)四種の排水口:河川、混合排出口、直接排出口、市政下水道排出口。1998年に調査の対象となった四種類の排水口143ヵ所のうち、窒素濃度、リン濃度のデータがない排水口が40~51%を占める。海への流入量が極めて少なく、計画データとして用いるには明らかに合理性に欠けることから、表中では各省の推算データを採用した。

2)河川、混合排出口、直接排出口、市政下水道排出口の4種類の排水口に流入しない非点源を指す。

3)類推法を採用した推算値。

4)タイショウエビの養殖における通常排水の排出量のみを指す。清掃によって海へ流入する養殖池の堆積物は含まれていない。その他の養殖による窒素、リンなどの汚染物の海への流入量についても統一的なデータはない。

5)渤海海域を航行する国内外輸送船舶から生じる機関部の油を含んだ汚水は50万t(油含有量2,500t)、油を含んだバラスト水及び船室洗浄水は150万t(油含有量4,500t)に上る。7,000tは如何なる処理も経ておらず、排出基準未達成の汚水の排出量。窒素、リン、CODの排出量は未統計。

6)1997年の調査結果。うち、遼寧省黄海部分を含む。

7)1973年11月~1999年6月の油流出量の平均値から推算。

第三節 主な環境問題

一 沿岸海域の汚染は日に日に深刻化し、範囲が絶えず拡大している

陸上発生源による汚染物の絶え間ない増加によって、渤海沿岸海域の汚染は日に日に深刻化しており、その範囲も絶えず拡大している。1980年時点の陸地から渤海に流入する水量は314億t、CODは54万4,600tだった。1998年には海へ流入する水量は252億tに減少してものの、CODは142万5,400tまで増え、1980年の260%に達し、沿岸海域の水質汚濁の持続的な悪化を招いた。1998年のモニタリング結果によると、沿岸海域の1類水質の対全体比は21.1%、2類水質は同13.7%、3類水質は同32.5%、4類水質は同8.19%、4類基準を超える水質は24.6%で、4類、超4類の水質が測定された観測スポットは全スポットの3分の1に達した。主な汚染物質は無機体窒素、リン酸塩などの栄養物質で、無機体窒素、リン酸塩のモニタリングスポットにおける基準超過率はそれぞれ、65.9%、20.0%に達した。このほか、一部地域では油による汚染も徐々に目立ってきている。

90年代のモニタリング及び評価結果によると、渤海海域の水体中の主要汚染物含有量は急速に増加しており(表2-3)、渤海沿岸海域の汚染範囲も速い速度で拡大している。1992年時点の渤海における水環境の汚染面積は26%足らずであったが、1995年以降は50%以上に達している。1998年の栄養塩基準超過面積は同海域の総面積の35~40%前後を占めた。油類の基準超過エリアは同海域の総面積の30%前後に達し、水質が1類海水水質基準を下回る区域は岸から10~30㎞の場所まで広がり、遼東湾では岸から100㎞の場所まで拡大している。沿岸海域の水質は既に環境機能区の条件に遠く及ばない状態である。

表2-3 渤海の主要汚染物の変化趨勢(平均値、μg/l)

汚染物

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

無機体窒素

104.61

120

137

182.78

268.13

200.14

250

無機体リン

18.43

13

13

9.66

16.6

31.7

19

油類

30

50

40

40

70

100

15

水銀

0.02

0.08

0.02

0.03

0.04

0.18

0.09

11.12

1.41

1.01

3.07

0.59

5.17

2.37

COD

950

1050

370

620

680

1990

1430

表2-4 渤海沿岸海域の環境機能区の水質基準達成状況統計表(1998年)

区類別

水質基準達成率%

遼寧

河北

天津市

山東

渤海海域

一類機能区

16.6

50.00

8.33

50.00

18.75

二類機能区

43.5

53.13

3.33

57.14

40.00

三類機能区

85.7

100.00

13.33

77.78

60.87

四類機能区

41.4

100.00

66.67

72.73

82.26

二 赤潮災害の頻繁な発生、深刻な損害

60年代以前は、渤海での赤潮の発生は非常に少なく、70年代には3回の赤潮発生が記録されている。80年代以降、沿岸海域の汚染が日に日に悪化するのに伴い、赤潮が頻繁に発生するようになり、その影響範囲、持続時間、環境への危害も徐々に増加傾向を示している。1990~1998年の間に、秦皇島、濱州、東営、煙台付近の海域だけで、赤潮が20回以上発生した。ここ数年、渤海では毎年、10回以上の赤潮が発生している。赤潮の持続時間は益々長く、面積は益々拡大しており、漁業が被る直接的な経済損失も益々深刻化している。中でも、1998~1999年に遼東湾で連続発生した特大級の赤潮の面積はそれぞれ5,000㎢、6,000㎢に及び(図2-1、図2-2参照)、1998年の赤潮による海洋水産分野における直接的な経済損失だけで約5億元に上った。目下のところ、海域全体の富栄養化指数は4.4で、このうち、遼東湾の富栄養化指数は29.36に達しており、深刻な富栄養化状態にあり、赤潮が極端に発生し易い状況である。このことは、渤海の水質によって引き起こされる環境災害が既に抑制されなければならないレベルに達していることを意味する。

三 漁業資源の深刻な衰退

渤海は中国の近海中、海洋生物の生産力が比較的高い海域であり、海洋生物の種類は非常に多く、漁業資源が豊富である。渤海の漁業資源は70年代中期以降、過剰な利用が始まった。これに、水域汚染の影響が加わり、一部の主要経済魚類資源がそれぞれ異なる程度で衰退し始めた。90年代に入ると、渤海における伝統的な経済魚類資源は、あるものは深刻な衰退状況を呈し、あるものは既に枯渇するなどした。具体的な内容は次の通り:

1、渤海の漁業資源量の減少。1959年時点の単位網当たりの漁獲量は221~243kg/網、主要経済魚種の漁獲量は138.8kg/網だった。しかし、1998年には、漁獲量は90%近く減少し、主な魚種の漁獲量も11.18㎏/網まで落ち込んだ。表2-5参照。

2、漁獲される魚の質の低下。優良な経済種から低質な小型種へと入れ替わり、漁獲される魚の質の低下を反映している。例として次のような変化が挙げられる:タチウオ→キグチ。オオクチシラウオ→ネオサランクス・アンデルソニィ。ベラ→コウライ・アンチョビー[7] 。チョウセンエツ→エツ。

3、種の入れ替わりが頻繁である。高レベルから低レベルに移り、生態系をより一層不安定なものにしている。特に、ここ10年来、優位性のある漁獲種類にツマリエツ→コハダ→アンチョビー→コウライ・アンチョビーなどの変化がみられる。

表2-6は黄海水産研究所などの部門による、1959~1998年の間の4回の年度末におけるトロール資料。同表から渤海における優勢種の退化状況を見て取ることができる。
 

表2-5 渤海における主要経済魚種の単位網当たりの漁獲量の変化(㎏/網/時間)

経済魚種

1959

1982

1992

1998

キグチ

51

7.2

5.7

0.4

タチウオ

50.7

0.8

0.1

0.08

ツマリエツ

8.2

18.0

8.0

 

アンチョビー

 

6.8

25

0.2

コハダ

 

 

6.5

1.6

コウライ・アンチョビー

 

 

2.6

7.2

サワラ

 

3.8

0.2

0.8

タイショウエビ

25.2

0.9

0.4

 

シャコ

 

3.7

4.8

0.5

ワタリガニ

3.7

9.2

2.9

0.4

合計

138.8

50.4

56.2

11.18

表2-6 渤海の主要優位性ある種の漁獲構成における比率(%)

年度

春季

夏季

秋季

1959

タチウオ45.1:キグチ40

キグチ31.5:タチウオ16.8:タイショウエビ7

タイショウエビ38.9:キグチ33.4:タチウオ13.2

1982

ソマリエツ32.6:アンチョビー24.1

イカ21.7: ツマリエツ17.7:キグチ10.6

ワタリガニ20: ツマリエツ13.8:イカ7.2

1992

アンチョビー66

アンチョビー23:キグチ13.5

サワラ20:イカ11.1:コハダ10.6: ツマリエツ9.7

1998

シャコ23.8:コウライ・アンチョビー20.5

サワラ42.1: ツマリエツ14:シマガツオ・ツマリエツ12.7

コハダ31.6: ツマリエツ19.5: マナガツオ12

図2‐1 渤海1998年9月赤潮の発生状況(図省略)

図2‐1 渤海1999年7月14日赤潮の発生状況(図省略)

四 海洋生態環境の悪化、海洋生物種の顕著な減少

 70年代初めから、渤海の生態系の構造と機能が破壊を受けるようになり、魚類の栄養構造に草食の底生動物を食性とする魚類の増加、回遊性の底生動物を食性とする魚類の減少という変化が生じ、魚類に高栄養レベルから低栄養レベルへの変化プロセスが見られる。漁業資源は徐々に低年齢化、小型化、低質化に向かっており、その変化は明らかである。渤海の海洋生物の多様性は一定の損害を受けており、海洋生物の種類は顕著に減少している。

渤海の魚類及び無脊椎動物の生物学的特徴に関する研究結果によると、90年代初期までは、渤海の魚類のうち、減少する主な魚類はタイ科魚類とヒラメ・カレイ類であった。魚類及び無脊椎動物群系の多様性指数は1982年の3.6から1992年には2.5まで下がった。年中平均的に分布する地方性生物群系が総生物量に占める割合は17.6%から13.9%に低下した。冬季に海峡の深水区に向かう生物の総生物量に占める割合は4.7%から2.1%に減少し、夏季に河口へ向かう、或いは川を遡る生物群が総生物量に占める割合は1.9%から0.1%に減った。一方、回遊性生物群系が総生物量に占める割合は76%から84%まで上昇しており、このことは、地方性生物群系の衰退が速い速度で進んでいることを物語っている。底生動物及び遊泳動物を食性とする種類は顕著に減少しており、総生物量に占める割合は38.5%から18.2%まで低下した。低栄養レベル、やや高栄養レベル、高栄養レベルの生物量の割合は1982年の100:58:14から100:26:1に変わっている。魚類の長さの変化も極めて顕著で、100㎜未満の個体が総生物量に占める割合は75.7%に達し(うち、低価値魚類が60.8%を占める)、10年前に比べて190%増加した。ツマリエツなど、一定の経済価値を持つ魚類は全体の14.9%で、10年前に比べて52%減った。体長200㎜の中型魚が総生物量に占める割合は9%、体長300㎜以上の魚類のそれは6%で、それぞれ10年前に比べて、59%、72.8%減少した。

おおよその概算によると、渤海の産卵場はほぼすべてが汚染されており、中でも、渤海の莱州湾及び黄河口水域、遼東湾と渤海湾の産卵場、渤海、黄海、東海(長江以南、台湾に至るまでの海)北部の重要な漁業資源の40%がここで産出されるが、これら3つの湾は目下のところ、我が国近海の中で最も汚染が深刻な水域となっている。特に、幼体が川を遡る特性を持つ一部の魚・エビ類――タイショウエビ(クルマエビ)、スズキ、ボラなどについては、河川の汚染に水枯れが加わり、生存条件が既に失われ、幼体群が死亡するに至っている。潮間帯や浅海を生息地とする一部貝類、中でも、河口付近に分布するイタヤガイ(サルボウ、トリガイの類)、ハマグリ、アカガイ、魁蚶[8] などについては、生息地の水質の悪化、底質の悪臭によって、生存条件が既に失われた。遼東湾のクラゲの漁獲量は80年代の2万t余りから現在では約2,000tまで減少した。蓋州には元々、砂浜[9] のハマグリ密集エリアが12万ムー(1ムーは約6.67a)余りあったが、現在では3万ムー足らずが残るのみとなっている。山東、天津のイタヤガイ(サルボウ、トリガイの類)、ホタテガイ(アキタガイ)、ヒメアサリ(カガミガイ)など、砂浜に生息する貝類資源も衰退が続いている。

五 非汚染性損害による、海岸帯の生態環境の深刻な破壊

河川上流の水資源の過度な開発により、海へ流入する地表水量が大幅に減少し、河口地域の生態環境に重大な影響がもたらされた。我が国の黄海・渤海の沿岸海域における産卵場及び幼魚の成育の場では、排出汚水や河川の淡水の流入などの影響によって、顕著な変異が生じている。歴史上、黄海・渤海の沿岸海域は様々な経済魚類の重要な生息環境となっていた。しかしながら、ここ数年、従来からの主要な経済魚類の漁獲量が激減している。これは、産卵場及び幼魚の成育の場が排出汚水や河川の淡水の流入の影響を受けていることと直接関係している。例えば、黄河は70年代から水枯れが始まり、ここ数年、状態は益々悪化しており、1997年には水枯れの日数が226日に達した。黄河の水枯れは黄河のデルタ海岸の侵食、デルタ湿地の生態環境の退化、近海の生態環境及び生物資源の変化などに対して、深刻な影響を及ぼし、黄河河口の産卵場は既にほぼ失われた。60年代、双台子河と繞陽河に相次いで水門が設けられた後、遼東湾のシナモクズガニ、エツ、シラウオなど、河口に生息する回遊魚、カニ、エビ類の衰退が深刻化した。

渤海沿岸、中でも遼河デルタ、黄河デルタの先端は我が国の主要なヨシ産地の一つである。遼河デルタのヨシエリアでは、塩沼[10] ―ヨシ―草地―鳥類の生態系が形作られていた。しかし、一部地域では自然法則及び経済法則に背き、ヨシを焼き払い、開墾を行った。元々健やかに生長していたヨシを焼き尽くし、食糧作物を植えた結果、ヨシ資源の破壊、食糧の未収穫という状態となり、ヨシ、食糧の双方が得られないばかりか、海岸帯の湿地の生態系が深刻な破壊を受ける結果となった。

我が国沿海最大の七里海の天然の入り江は、灤河の防潮水門建設後、泥の堆積が進み、湖の水深が浅くなり、湖面は縮小し、海浜湿地へと徐々に変化している。

長期にわたり、海岸や砂浜の砂・石の掘り起こしは基本的に、無秩序、無節度な状態にあった。盲目的かつ大規模な砂・石の掘り起こしは動力と海岸・砂浜のバランスを破壊し、海岸と砂浜の侵食を引き起こした。一部の海岸工事も海洋の動力環境に一定の影響を及ぼした。秦皇島の近隣海域の入り江に形成された古期礫岩層――古期礫岩による堤防は、秦皇島のオイル埠頭及びその他の海岸工事による海洋の動力環境の変化に伴い、一部は侵食を受けて砂浜に露出し、一部は完全に破壊されるに至っている。錦州港では港建設から10年間で、有名な自然景観である“筆架山天橋”の象鼻洞が泥に埋まり、“天橋”が“断橋”に変わり、“天橋”と港の堤防との間は“死水域”となり、泥などの堆積が急速に進んでいる。

六 重大な海上の油流出汚染事故が絶えない

概算統計によると、遼寧、河北、山東3省では1991~1998年の間に、船舶、海洋石油プラットホーム、海上オイル輸送パイプなどの油流出による汚染事故が71件発生した。海上の油流出事故のうち、主な事故は船舶による油の流出となっている。統計によると、1973年11月~1999年6月までに、1回の油流出量が10t以上の船舶の油流出事故は11件に上り、流出した油は合計2,497tに達した。1998年末、勝利油田で油井やぐらが倒壊した際には、6ヵ月近くにわたって油が流出し続けた。油流出は深刻な環境汚染を引き起こすだけでなく、生態系の機能を破壊し、水産業や旅行業についても、数億元規模の巨大な経済損失をもたらすものである。

第三章 行動計画のデザイン

第一節 行動戦略

碧海行動計画の指導思想の条件に基づき、環渤海地域を持続可能な発展のレールに乗せるために、富栄養化、有機汚染、石油汚染、その他の汚染、非汚染性破壊など、異なる環境及び生態問題に対して、それぞれ異なる抑制戦略を採用する必要がある。行動計画は環境マネジメント、汚染源整備、非汚染破壊の抑制、生態回復、各種類型の生態技術の開発・利用(環境保全型の農業、漁業、養殖、生態系の修復、エコ工業団地、汚水及び固形廃棄物の資源化など、グリーンエコノミーの手段)などの方面からデザインする。

一 汚染源抑制戦略

(一)工業汚染源の抑制

1、経済効果が劣り、汚染排出量が大きく、汚染物の排出について基準を達成することができない企業の閉鎖、生産停止。

2、工業配置及び経済構造の調整。

3、水の再利用率の向上、節水工程の開発。

4、各種クリーナープロダクション技術の積極的な推進。

5、エコ工業団地の試験事業の展開。

6、整備専門企業の計画・設立。“汚染者負担”の原則に基づいた専門管理、エリア別整備の実施。

(二)都市の生活汚染源の抑制

1、都市汚水処理施設の数を増やし、処理レベルを高める。

2、都市化水準を徐々に高め、都市部の汚水収集能力の増強、都市部汚水処理施設の数の増加、処理レベルの向上を図る。

3、都市の汚水処理施設の脱リン、脱窒素能力を高める。

4、条件を備えた区域で、汚水の適切な処理が可能な、岸壁から離れた場所で排出する海洋処理工事を実施する。

5、都市ゴミ処理施設の数を増やし、処理レベルを高める。

(三)陸地の非点源(汚染)の抑制

我が国が現在実施している西部大開発、三北(中国の西北、華北、東北地区)防護林計画、水土保持計画など、その他の部門の各計画と有機的に結合させ、窒素・リンの海への流入量の削減、海と陸の双方に有利に働く各種工事を積極的に実施する。

1、水土保持事業と小流域総合整備事業。

2、都市緑化事業。

3、海岸の生態系保護機能を持つ分離帯

沿海防護林事業。

湿地の回復及び建設事業。

沿岸陸域における自然保護区の建設事業。

4、農地の防護林事業

5、環境保全型農業及び廃棄物削減対策が施された農地の造成・整備事業。

6、農村の有機廃棄物の資源化事業。

7、生態モデル区の建設。

8、海洋自然保護区の建設事業。

 

(四)汚水の資源化利用

処理後の汚水の利用、海へ流入する窒素・リン総量の削減。

1、工業分野における処理後の汚水の再利用。

2、処理後の汚水による農業灌漑、化学肥料の使用量の削減。

3、都市の緑化及び都市の中水道における処理後の汚水の再利用。

4、処理後の汚水による海岸防護林の灌漑に関する研究の展開。

5、沿海の湿地で生活汚水を処理することで、ヨシの生産量を増やすことができ、湿地の生態系保護に有利に働く。

(五)海上の移動汚染源の抑制

1、監督・管理の強化、技術更新の促進、港湾船舶の廃棄物の受入処理施設の充実化を図り、輸送船舶の油類汚染物について、“ゼロエミッション”へ徐々に移行する。

2、海上石油探査・開発をめぐる油を含んだ汚水の処理システム及び緊急対応システムの充実化を図り、石油探査・開発エリアに対するモニタリングと評価を強化する。

3、北方海区における海上船舶の油流出応急対応計画及び海上石油プラットホームの応急対応計画の実施と結び付け、港湾に油流出に関する応急対応設備を全面的に配置し、毎年の油の海への流入量を引き下げる。

4、漁船・漁港に対する監督・管理を強化し、漁港における船舶からの汚染物の受入処理施設を増やし、経済におけるレバレッジ(てこの原理)及び市場による調整を通じて、漁船による海への汚染排出量を徐々に減らしていく。

5、海上投棄エリアに対する監督・管理、法執行・監察を強化し、海上投棄活動に対する追跡モニタリングを実施する。海上投棄エリアについて、モニタリング及び許容可能なレベルに関する評価を行う。

(六)重大な海洋関連汚染事故の抑制

1、各地の重大汚染事故の応急対応計画の制定。

2、有毒化学品、石油貯蔵施設などを持ち、海洋関連の重大な汚染事故を起こす可能性のある沿海の事業所・企業による重大汚染事故の応急対応計画の制定。

3、沿海油田の油流出に関する応急対応計画の制定。

(七)養殖業の汚染排出抑制

1、環境保全型養殖の研究及び普及を展開し、環境保全型養殖の割合を徐々に拡大する。

2、海洋養殖の投餌量を厳格に制御し、養殖区域及び面積を合理的にコントロールする。

3、養殖池の廃水排出基準の制定。

(八)グリーン消費

1、有リン洗剤の販売及び使用の禁止。

2、生活用水の節約。

二 生態回復戦略

(一)管理を強化し、海岸付近の岩石の採掘、砂の掘り起こしによる海岸侵食、生態環境の破壊を抑制する

(二)黄河など、河川流量の回復をめぐる工事計画及び管理措置に関する研究を積極的に行い、河口付近の産卵場における生息環境を回復する

(三)条件を積極的に創造し、陸上汚染源による汚染物質中の重金属を完全に抑制した後、河口付近の深刻な汚染の元となっている堆積物を除去し、底生生物の生息環境を回復する

(四)既に破壊を被っている沿海の湿地及び入り江の積極的な回復を図り、湿地と入り江の面積を徐々に拡大する

(五)禁猟区、禁猟期、人工漁礁の建設など、環境保全型漁業の各種措置を積極的に実行に移し、持続的な利用が可能な漁獲量の向上、回復を図る

(六)油流出事故による観光地、海水浴場、特殊生態区、自然保護区の油汚染については、応急対応計画に基づき、可及的速やかに緊急措置を実施し、回復を図らなければならない

(七)複数の自然保護区を建設し、海岸帯の総合管理を強化し、沿岸の土地の生態系への破壊が懸念される開発を抑制する

(八)沿岸都市の緑化活動を強化し、沿岸公園の建設を確実に行い、植樹に努め、緑化帯を徐々に形成し、沿岸の生態環境を改善する

三 環境マネジメント戦略

(一)組織・指導を強化し、渤海における環境保護目標責任制を実行する

(二)監督・管理を強化し、総量規制制度を実施する

 (三)環境法制度の整備を強化し、環境関連問題に的を絞り環境保護に関する条例、基準、管理規定の制定及び充実化を図る

 (四)渤海環境情報システム及び環境マネジメント意思決定支援システムを構築し、マクロマネジメント能力を高める

 (五)沿岸海域モニタリング及びモニタリングをめぐるキャパシティビルディングを強化し、現代的な科学技術手段を十分に
     活用し、立体的なモニタリング・ネットワークを形作り、碧海行動計画の実施効果を即時かつ正確に把握する

 (六)科学技術の進歩を拠り所とし、科学技術への投入を増やし、照準性が高い科学研究項目を手配することで、
     本計画の円滑な実施の条件を創造する

第二節 環境マネジメント制御区画

一 マネジメント制御区画の要点

海岸帯の管理を中心として、水陸が交錯する地帯の汚染源抑制を確実に行うとともに、13市の上流区域の汚染負荷量に対する監視・制御を強化し、陸上汚染源及び海洋養殖の汚染源などに対する長期的な汚染排出に関する制御体系を形成する。日増しに頻繁化している渤海の海上輸送及び石油採掘活動については、油流出による汚染に対する応急汚染制御体系を確立する。

二 汚染制御体系のレベル構造

縦方向については、陸から海に向かって制御地帯の区分けを行う。横方向については、水系の合流の特徴、行政区画の特徴、海域の特徴に従って、制御区の区分けを行う。

陸域の制御区内は水の合流の特徴に基づいて制御ユニットの区分けを行い、海域の制御区内は環境機能区に基づいて制御ユニットを区分けする。

制御地帯、制御区における具体的な制御については、ユニットを制御すること実現させる。陸域の制御ユニットにおける制御は主に河川の断面の制御における監視・制御として、海域の制御ユニットにおける制御は海域の制御スポットにおける監視・制御として、それぞれ具体的に表れる。

三 制御区画

渤海碧海行動計画における環境マネジメントは、上流流域制御地帯、沿岸陸域制御地帯、沿岸海域制御地帯、渤海中部海域の4つの制御地帯(圏)に分けられる。図1-1、図3-1参照。

各制御地帯内の制御区の区分は次の通り。
 

1、上流流域制御地帯

渤海に注ぐ7つの水系には、遼東半島の各河川水系、遼河水系、遼西沿海の各河川水系、灤河水系、海河水系、黄河水系、山東半島の各河川流域水系がある。うち、遼東半島の各河川水系、遼西沿海の各河川水系、灤河水系、山東半島の各河川水系は省内或いは基本的に省内の水系であり、遼河水系、海河水系、黄河水系は省を跨いだ水系である。図1-1、図3-1参照。当該制御地帯は上流の河川水系に基づき、6つの上流制御区(遼東半島の各河川水系はいずれも13市の管轄区内にあることから、上流制御区に関する区分けをしない)、22の制御ユニット及び相応する30の制御断面に分かれる。当該制御地帯の重点は上流点源、非点源の海岸区域に対する影響の監視・制御にあり、上流行政区に整備に関する意見及び条件を提出する。制御地帯の制御ユニットの区分については付表6-1-1を参照のこと。

図3-1 渤海流域制御区分における上流流域制御断面分布図(図省略)

図3-2 渤海沿海海域の環境機能区分とモニタリングポイント図(図省略)

図3-3 渤海流域における4種類の排出口の海への流入位置図(図省略)

図3-4 渤海海岸帯制御区画図(図省略)

2、沿岸陸域制御地帯

当該制御地帯内の制御区は行政区に従って区分する。即ち、13都市の行政管轄区に従って区画を行うものであり、これによって、管理・制御の便宜を図る。制御区内の制御ユニットは省流域における汚水の集中状況に基づいて、74の制御ユニット及び74の海への流入量規制断面に分かれる。うち、重点制御ユニットは17となっている(付表6-1-1中の“*”印が施されている場所)。制御地帯の制御ユニットの区分については、付表6-1-1を参照のこと。

遼河、海・灤河、小清河などの流域における汚染抑制計画は既に批准、執行されており、黄河流域の計画も既に制定を終えていることから、渤海行動計画における制御は主にこれら計画と結び付けて行うこととなる。既存の制御ユニットにおける規制断面から市を流れる河川の規制断面と海に流入する河川の規制断面を選定し、未選定の地域に増設を行う。重点制御地域は海河流域、遼河流域、大・小凌河流域、灤河、黄河、小清河流域とする。

3、沿岸海域制御地帯

当該制御地帯内の制御区は海域の特徴を考慮して、5つの制御区に分ける。うち、遼東湾、渤海湾、莱州湾沿岸海域の3つを重点制御区とし、各区で制御ユニットを区分し、各ユニットの水質目標は制御ユニット内の沿岸海域の環境機能区によって確定する。図3-2参照。重点制御ユニットは13都市(市・区)の近隣海域、7つの重点河口、重要漁業水域、船舶の航行が密集する重要水道、港湾、航路、投錨水域、自然保護区及びその他の重点保護水域を中心とする。主要抑制対象は富栄養化及び油類汚染とする。主要汚染源が海に流入する場所付近の海域に規制スポットを設け、河口の汚染状況及び(汚水と海水との)混合エリアの範囲に対する監視・制御を行う。海に注ぐ河川及び各種排出口の位置については、図3-3参照のこと。

海区全体は47の制御ユニットに分かれ、各制御ユニットには1つ或いは複数の環境機能区が含まれる。区分原則は主に重点点源(或いは点源群)の影響区域、及び行政管理上の便宜を考慮したものである。制御地帯の制御ユニットの区分については、図3-4、付表6-1-2を参照のこと。

4、渤海中部海域

具体的な制御区の区分は、開発・利用状況に基づいて確定する。


 

第三節 陸上起因汚染物の海への流入総量規制目標

1998年、渤海に流入した地表水及び汚水の総量は約252億㎥で、近年の資料分析によると、この値は河川の水位が正常である年の水準に相当する。本計画は1998年における汚染物の海への流入総量をベースとして、2000年の予測値を削減の基礎とするものである。

渤海に流れ込む主要汚染物の総量規制目標については、表3-1を参照のこと。当該案の実現にはおよそ555億元の投資が必要とされ、これには、海河、遼河プロジェクトへの投資88億7,400万元が含まれる。

計画の各段階における、渤海に流入する窒素、リン、石油類の総量分配指標は付表6-2-1~付表6-2-3を参照のこと。

海河、遼河、黄河流域で計画されているCODの排出総量の削減計画から分析すると、三大流域におけるCODの海への流入総量の削減によって、渤海行動計画の目標総量を満たすことができ、新たな割当は行わないこととする。その他の流域のCOD削減指標は第四章、第五章の関連内容を参照のこと。

表3-1 主要汚染物の各段階における海への流入総量規制目標 単位:t/年

年度

リン

窒素

石油類

COD

2000予測

12648

165414

13831

1140000

2005

10118

132332

11065

1026000

2010

8600

112482

8852

923400

第四章 2001~2005年・碧海行動計画

2001~2005年・碧海行動計画の基本目標は次の通り:海域の環境汚染を初歩的に抑制し、生態破壊の傾向について、初歩的な緩和が得られるようにする。計画は、窒素、リン、COD、石油類など、汚染物の海への流入量の抑制、生態系の保護と回復など4つの具体的行動に分けられる。

第一節 窒素、リンの総量規制

一 目標

陸域から渤海に流入する窒素、リンの総量を対2000年比でそれぞれ20%削減する。

 2005年時点の窒素、リンの海への流入総量をそれぞれ、13万2,300t/年、1億118t/年(13市内及び13市外の貢献を含む)に抑制し、13市内の目標削減量をそれぞれ2万7,600t/年、3,162t/年とする。各省の数値は表4-1を参照のこと。

表4-1 2005年の窒素、リンの海への流入量規制目標 単位:t/年

年度

規制指標

海岸エリア

合計

遼寧

河北

天津

山東

2000予測

窒素の海への

流入量

94661

11469

25279

34005

165414

2001-2005

窒素の海への流入の予測増加量

4733

573

1264

1700

8270

2005

窒素の海への流入の削減量

24188

2867

6319

7978

41352

 

 13市内

17513

2191

4508

3400

27612

2005

窒素の海への

流入総量

75206

9175

20224

27727

132332

2000予測

リンの海への

流入量

2123

2611

1309

6605

12648

2001-2005

リンの海への流入の予測増加量

106

131

65

330

632

2005

リンの海への流入の削減量

804

897

347

1114

3162

 

 13市内

804

897

347

1114

3162

2005

リンの海への

流入総量

1425

1845

1027

5821

10118

13市外の削減量は現地の汚染負荷総量の規制目標を満たし、その渤海海域への流入量の削減と13市内の海への流入の削減量との和は削減総量の要求を満たすものでなければならない。渤海碧海行動計画の遼河、大・小凌河、海・灤河、黄河上流域の各省・市に対する全体的な要求は“十五”期間中に、窒素、リンの排出量を“九五”期間中に

比べて10%削減し、上流域で排出される窒素の海への流入量を1億3,740t/年(河川の水位が正常である年)とし、上流域の窒素排出量を5万5,000t/年削減しようとするものである。削減目標を達成するための主な措置は、各流域の上・中流地域の水土保持工事プロジェクト及び生態回復プロジェクト、退耕還林・還草[11] 、植樹・造林の積極的な実施展開、環境保全型の農業、牧畜業の普及推進、化学肥料や農薬の施用量の減少、人口増加速度の抑制、都市汚水処理施設の建設増加、経済開発活動による植生破壊の減少などが挙げられる。

二 行動計画

(一)都市部汚水処理施設の建設加速

流域計画及び都市発展計画と結び付け、2001~2005年の環渤海13市計画において、都市二級汚水処理施設65ヵ所を新設・拡張し、処理能力を新たに495万t/日増やし、窒素の総削減量1万9,400t/年、リンの総削減量4,100t/年を達成する。都市汚水処理率70%以上を達成する。具体的な項目は付表1-1-1~付表1-1-4を参照のこと。小都市の汚水処理施設については各地が計画・手配するものとし、本計画には組み込まない。

既存の一部都市汚水処理工場の脱窒素、脱リン効率が低く、渤海の環境保護条件に適応できないという事情に鑑み、これら都市汚水処理工場において、条件を創造し、脱リン効率を高める必要がある。2001年から、当該区域において都市汚水処理施設を新たに設ける場合は、比較的高度な脱リン、脱窒素効率を備えた工程を採用しなければならない。

環渤海地区の水資源は非常に不足していることから、汚水の資源化に関する活動を確実に行うことが重要である。都市汚水処理施設の計画は汚水の再利用を重要な内容として考慮し、集中と分散を相互に組み合わせる方式を採用し、最寄地区に区分けして配置するなど、汚水再利用に有利な条件を作り出さなければならない。

表4-2 2001~2005年・環渤海13市の都市汚水集中規制計画

地区

プロジェクト数

規模

投資額

汚染物削減量

t/

 

t/日

万元

窒素(総量)

リン(総量)

遼寧5市

22

157

348234

6550

810

河北3市

9

75

167614

4270

514

天津市

26

189

500630

5623

1906

山東4

8

74

105093

2992

873

合計

65

495

1121571

19435

4103

注:うち、海河、遼河プロジェクトは30件、投資額は73億2,798万元。

(二)無リン洗浄用品の普及を積極的に行い、沿海地域で有リン洗剤の販売、使用を徐々に禁止する

目下のところ、環渤海地域の1人当たりの年間洗浄用品消費量は2㎏余りで、先進国の年間消費量10㎏以上と比べると、その消費面での成長潜在力は非常に大きい。こうした中、早急に措置を講じなければ、リンの海への流入量は徐々に増加していくであろう。

遼寧省政府弁公庁は既に文書を発し、2000年7月1日から、渤海沿岸各市における有リン洗剤の販売と使用を禁止した。山東省環境保護局、経済貿易委員会、技術監督局、工商行政管理局も既に共同で文書を発し、2001年4月1日から、全省において、有リン洗剤の生産を制限し、その販売及び使用を禁止するとした。本計画では以下の要求を提起する:環渤海13市で、2000年から“リン禁止”措置の採用を徐々に開始、2001年末までに“リン禁止”に関する地方法規を公布、2002年に有リン洗剤の販売及び使用の全面禁止を実現する。

有リン洗剤の販売・使用の全面禁止後、13市ではリン汚染物の年間排出量を合計約5,300t余り減少させることが可能となる。海への流入率を40%として計算すると、海への年間流入量を2,148t余り減らすことができる。表4-3参照。

表4-3 環渤海13市の有リン洗剤使用量

及びリン全面禁止後におけるリンの海への流入の削減効果  単位:t/年

地区

洗浄用品年間使用量

リン含有量

洗浄用品のリンの海への流入削減量

遼寧5市

36300

1500

600

河北3市

50000

2000

800

天津市

16000

670

268

山東4

30000

1200

480

合計

132300

5370

2148

(三)海岸帯の総合整備及び管理の強化、非点源の効果的な削減の実施

統計によると、1995~1998年の環渤海地域におけるリン肥料及び農薬の施用量の増加傾向は既に初歩的に抑制されているが、窒素肥料の施用量の増加傾向は未だ効果的に抑制されていない。このことから、環境保全型農業の展開、廃棄物の削減対策が施された農地の整備、化学肥料の施用量の減少、土壌流失の防止、樹木や草などの植生回復のスピードアップが必要である。計画の実施については、農業、林業、水利など、各部門の協力及び地方政府による指導・協調により、統一的に計画、案配する。黄河、海河、遼河流域上流における水土保持、退耕還林・還草などの生態の回復・保護プロジェクト、三北防護林の造成活動などは、窒素、リンの海への流入量の削減に積極的な意義を持つものである。窒素、リンの抑制に関する具体的な措置は以下の通り:

1、農業の非点源汚染の抑制事業

環渤海地域における農薬、化学肥料汚染重点抑制県名、区名リストを発表し、抑制指標を打ち出し、抑制任務を明確にする。農薬環境汚染追跡監視・制御体系モデルスポットを1~2ヵ所設け、化学肥料汚染制御モデル区を2ヵ所建設し、農薬、化学肥料の環境安全制御基準を打ち出す。

環境保全型農業事業及び環境保全型農業モデル区の建設を行い、環境保全型農業をめぐる環境の改善に重要な影響を及ぼす事業を完成させる。(穀物の粒を穂から取った後の)茎の農地還元関連総合技術の採用、土壌構造の改善、廃棄物の削減対策を施した農地の普及推進、化学肥料施用量の減少を図る。バイオ農薬、複合肥料の使用をより一層推進し、使用総量を制御し、農業生態環境モニタリングステーションの建設を完了させる。各分野の具体的なプロジェクトについては、付表2-1-1~付表2-1-4を参照のこと。

2、水土保持及び小流域総合整備モデル事業

《水土保持法》の関連規定を真摯に実施・貫徹し、水土保持活動の展開、沿海地域の生態環境の保護、土壌流失の防止を図り、建設プロジェクトに対する管理を強化し、新たな土壌流失の発生を回避し、非点源汚染による渤海の水質に対する汚染を防止し、各方面の力を結集、発揮し、積極的に資金調達を行う。各地の水土保持総合整備における具体的な項目には、山地の水土保持、平野部の砂質化した土地の整備、小流域整備モデル事業、傾斜耕地の改造、退耕還林、山岳部における水源涵養林の建設事業などが含まれる。各分野の具体的なプロジェクトについては、付表2-1-1~付表2-1-4を参照のこと。

3、海岸の分離帯建設計画

各地は現地の事情に基づき、海岸の分離帯或いは生態保護区を設け、沿海の湿地、入り江の保護・回復を図り、海岸の生態整備を強化し、林を中心とする、林、潅木、草が有機的に結び付いた、海岸におけるグリーンベルトを形成し、窒素、リン汚染物の海への流入量を削減、抑制する。分離帯又は保護区内での砂の採取、養殖、開墾、植生の破壊などの活動を禁止する。新規建設プロジェクト及び観光施設の着工を禁じ、既に開墾済みの土地については、化学肥料及び化学農薬の使用を禁止し、徐々に耕作を停止する。既に完成済みの建設プロジェクト及び観光施設については排出基準を全面的に達成するものとし、未達成の場合には期限を設けて、“閉鎖、操業停止、合併、転業”を行わなければならない。

2005年までに、環渤海13市に、沿海防護林基幹樹林帯を全面的に構築する。遼寧、河北における海岸線の防護林の造成については、全線をつなげる。天津の塘沽、漢沽、大港及び開発区における主要道路、河川、工業区の分離帯の間に沿海防護林による生態システムを構築し、濱海新区の生態系の充実化を図る。山東は“黄河デルタ100万ムー生態防護林建設事業”と結び付け、沿海防護林帯の造成に力を入れ、グリーンベルトを形作り、好循環の促進を図る。大連市は海岸線から2~5㎞の範囲内の農地において、化学肥料及び化学農薬の使用を禁止する。このほか、遼寧、山東の一部地区で湿地の保護・回復事業を展開し、湿地の生態系を保護し、窒素、リンの海への流入量を減らす。各具体的なプロジェクトについては、付表2-1-1~付表2-1-4を参照のこと。

4、集約化による家畜・家禽飼養場の廃水の排出基準達成と資源化利用

家畜・家禽の飼養によって生じる廃水による海域に対する汚染を効果的に抑制するために、2003年末までに、大・中型の集約化された家畜・家畜飼養場の廃水はすべて、汚染物排出基準の条件に基づき、排出基準を達成しなければならない。畜産廃水の土地処理について積極的な普及を図り、家畜・家禽排泄物の再生資源化利用率を高める。

2001~2002年の重点は、天津、大連の郊外県における家畜・家禽飼養汚水処理モデル事業、家畜・家禽排泄物資源化モデル事業に置く。

2005年までに、海岸帯の管理及び非点源削減事業における窒素、リンの対2000年比削減効果として、それぞれ1万7,850t/年、778t/年を達成する。13市の海岸帯の管理及び非点源削減事業の規模と効果については、表4-4を参照のこと。

三 行動効果

2005年までに、各行動計画によるリンの海への年間流入総量を5,265t削減する。総括データは表4-5を参照のこと。

2005年までに、各行動計画による窒素の海への年間流入総量を2万8,928t削減する。総括データは表4-6を参照のこと。

表4-4 2005年・環渤海13市の海岸帯の管理及び非点源削減事業規模・効果表

沿海防護林

(㎢)

水土保持防護林(㎢)

廃棄物の削減対策を施した農地(㎢)

生態モデル区(㎢)

土壌流失整備面積(㎢)

窒素の海への流入削減量(t/年)

リンの海への流入削減量(t/年)

遼寧5

833.3

5198.3

3139

3464

2865

13150

487

河北3

200.7

3.8

666.6

2533

1250.0

1621

34

天津市

2.1

60.0

533.6

66.7

0.0

1045

6

山東4

102.0

225.5

880.0

3679.7

299.9

2034

251

合計

1138.1

5487.6

5219.2

9743.4

4414.9

17850

778

注:非点源の削減には侵食による損失の減少、化学肥料使用量、植生の成長に伴う二酸化炭素固定量が含まれる。うち、農地の廃棄物削減量は1998年の各地の単位耕地面積における窒素肥料施用の15%で見積り、海への流入量には流入水路の水質基準達成率が考慮されている。

表4-5 環渤海13市の2005年計画におけるリン削減量一覧表 単位:t/年

都市汚水処理場

生態事業

有リン洗剤の使用禁止

段階合計

段階目標

削減量

リン除去量

リンの海への

流入削減量

リンの海への

流入削減量

リンの海への

流入削減量

4103

2339

778

2148

5265

3162

表4-6 環渤海13市の2005年計画における窒素削減量一覧表 単位:t/年

都市汚水処理場

生態事業

段階合計

段階目標削減量

窒素除去量

窒素の海への

流入削減量

窒素の海への

流入削減量

19435

11078

17850

28928

27612

第二節 COD総量規制

一 目標

陸上汚染源による汚染物質の海への流入総量目標:COD総量を対2000年比で10%以上削減する。

総量規制計画指標

渤海の7つの水系のうち、遼河流域、海河流域(灤河流域を含む)の水質汚濁防止計画については、既に国務院の認可を経ており、現在実行中である。黄河流域の水質汚濁防止“十五”計画はまもなく編成が完了する。上述の流域計画すべてで、CODを規制指標とし、上述の流域計画と関連付けるために、本計画では上述の流域計画範囲内の区域で、既存計画による成果を採用することとする。その他の地域には、上述の三大流域以外のその他の流域が含まれるほか、主に次の区域が含まれる:遼東半島の各河川流域(大連市、営口市)、遼西沿海の各河川流域(錦州市、葫蘆島、朝陽、阜新などの市)、山東半島の各河川流域濰坊市、東営市、煙台市、淄博、済南など)。

遼河、海河流域計画の実行状況及び《国家環境保護“十五”計画及び2010年目標綱要》に基づき、調整後の遼河、海(灤)河におけるCODの基本規制目標と黄河流域におけるCODの基本規制目標は表4-7を参照のこと。ここ数年、天津、河北、山東の濱州市などで、黄河からの引水が増加していることから、黄河の一部汚染物が海河流域に移動する傾向が見られ、汚染物の海への流入量の分布に一定の変化が生じる可能性がある。「南水北調」[12] によってもたらされる渤海への汚染物の流入総量の増加については、本計画では暫時考慮しないものとする。

表4-7 海河、遼河、黄河三流域における2005年時点のCOD計画指標 単位:万t/年

流域

排出量

海への流入量

遼河

27

4.89

海河、灤河

120

21.72

黄河

79

19.75

合計

226

46.36

三大流域外のその他の区域(13市外の済南、淄博、朝陽、阜新の4市を含む)の2005年時点のCOD排出総量規制案に基づく、三大流域外のその他の区域における2005年時点のCOD参考規制指標については、表4-8を参照のこと。

表4-8 三大流域外のその他の区域における2005年時点のCOD制御指標 単位:万t/年

海に注ぐ水系の名称

排出量

海への流入量

遼東半島各河川水系

6

3.69

遼西沿海各河川水系

17.25

10.64

山東半島各河川水系

17.96

8.54

合計

41.21

22.87

注:朝陽市、阜新市、済南市、淄博市など、13市外の地区のCOD排出総量は20万t/年以内の範囲に抑制する方向で、考慮する。

2005年時点の渤海へのCOD排出総量を10%以上削減するという目標に基づき、海への流入総量を102万6,000t以下まで削減しなければならない。これには、1年当たり最少で11万4,000t削減する必要がある。表4-9は2001~2005年のCOD削減総量をまとめたものである。これによると、海(灤)河、遼河、黄河の三流域及びその他の地域における、海へ流入するCODの削減量は44万4,400t/年、削減量は39%となっており、渤海へ流入するCODの年間削減量11万4,000t超(削減>10%)という要求を満たすことが可能である。表4-9の数字から見て、海(灤)河、遼河、黄河の三大流域において計画任務を達成することができさえすれば、碧海行動における抑制目標を満たすことができる。よって、碧海行動における制御計画は流域計画を基準とし、海域のCOD総量が確定するまで、暫時調整は行わないこととする。

表4-9 渤海へのCOD流入総量削減計画 単位:万t/年

 

2000年・海への流入量

2005年・海への流入量

5年間の総削減量

海(灤)河、遼河、黄河の三流域

 76.8

46.36

30.44

その他の地域

 37.2

22.87

14.33

合計

 114

69.23

44.44[13]

碧海行動制御目標(削減>10%)

 

102.6

11.4

二 行動計画

(一)遼河、海河、黄河の三流域の行動計画

黄河流域計画では2005年までに、以下の事業を実施・完了させる:工業点源整備事業155件(総投資額128億7,000万元、COD削減量39万t/年)、都市汚水処理事業158件(総投資額138億元、COD削減量27万t/年)。これら事業によるCOD排出量の総削減量、海へ流入するCODの削減量はそれぞれ、66万t/年、16万5,000t/年に達する。

遼河流域、海河流域の水質汚濁防止計画は国の“十五”計画の調整案に従い、整備プロジェクトにおけるCOD排出量の削減量を77万t/年以上とし、海へ流入するCODの削減量13万9,400t/年の目標を達成しなければならない。

上述の三流域の所在省(自治区、直轄市)人民政府は“十五”期間中、工業汚染源の排出における基準達成成果を固め、積極的に資金を調達し、流域計画を確実に実行に移し、計画に組み込まれた工事措置を完了し、COD総量の削減任務の完了を確保しなければならない。

(二)三大流域以外のその他の地域の行動計画

行動計画に基づき、2001~2005年の間に、三大流域以外の13市の範囲内に、都市汚水処理施設21ヵ所を設ける。これら施設の1日当たりの汚水処理規模は146万t、総投資額は約26億5,000万元で、CODの排出量を年間で9万3,400t削減することができる。表4-10参照。具体的な項目については、付表1-1-1、付表1-1-4を参照のこと。沿海都市からの海への流入係数から見て、CODの海への流入量は年間5万3,000tの削減が可能である。

表4-10 計画区内の都市汚水処理施設のCOD排出量削減計画

水系の名称

 数

規模(万t/

投資額

億元

削減量

t/

遼寧半島各河川水系

8

38

11

2.30

遼西各河川水系

7

54

7.44

2.99

山東半島各河川水系

6

54

8.01

4.05

合計

21

146

26.45

9.34

注:13市以外の朝陽市、阜新市、済南市、淄博市などの整備計画は含まず。

第三節 石油類などの汚染制御

一 目標

港湾に船舶汚水の受入・処理施設を建設する。渤海の船舶及び関連作業による油類汚染物の“ゼロエミッション”計画をスタートさせる。十分な港湾、船舶廃棄物の受入・処理施設を設ける。船舶関連作業で生じる汚染物について、排出基準を達成する。移動汚染源に関する応急処理体系を確立し、地域的及び港湾における船舶の油流出応急処理体系を完成する。陸上に起因する油類の海への流入量を対2000年比で20%削減する。

二 行動計画

(一)陸上に起因する油類の削減計画

石油類の陸域における重点規制区域は海岸帯地域である。環渤海13市に対して、油類汚染物の排出企業、事業体を効果的に監視・制御するよう求め、2000年のCOD排出基準達成レベルを基礎として、2005年までに、油類物質を含む汚染物質の排出基準の全面達成を実現する。石油精製・化学企業に対し、重点的な監視・制御を行い、整備の度合いを強化・拡大する。河川の水位が正常であるという条件の下での、2000年及び2005年の石油類の海への流入量予測は4-11の通り。

表4-11 陸上に起因する石油類の海への流入総量 単位:t/年

2000年の海への流入量

(予測)

2001~2005年の海への流入量の削減量

2005年時点の海への流入量

(計画)

13831

 2766

11065

(二)輸送船舶及び港湾の汚染整備計画

2000年の汚水排出基準達成レベルを基礎として、各地は港湾及び船舶による油類汚染物の整備を引き続き強化する。重点は港湾に出入りする船舶のバラスト水、生産廃水などとする。関連項目については、付表3-1-1を参照のこと。

1、油類物質の汚染抑制

環渤海におけるすべての港湾は含油汚水処理場(ステーション)、含油汚水回収船などの回収設備の建設を完了し、港内における機関部の汚水の排出を禁止し、船底の油を含む汚水がすべて港湾の受入施設に排出されるようにしなければならない。燃油、潤滑油の回収技術の普及を図る。渤海海域に進入するタンカー及び400t級以上のタンカー以外の船舶については油水分離器の取り付けを、1万t級以上の船舶には排出自動停止システムの取り付けをそれぞれ義務付け、良好な状態での運航を保証する。400t級未満のタンカー以外の船舶については、簡易油水分離装置及び残油貯蔵タンクを設けることとする。

油排出監視・制御システムを備えていないタンカーに対する監視・制御を行い、渤海内でのバラスト水及び船室洗浄水の排出を禁じ、港湾におけるバラスト水の水量を厳格に制御する。各オイル埠頭はバラスト水及び船室洗浄水の受入に十分な施設を備えなければならない。

“船上油類汚染応急対応計画”の充実化を図り、船員の育成訓練、演習訓練に対する監督を強化する。

2、有毒液体物質の汚染の抑制

有毒液体物質の流出応急対応計画を実施する。各種船舶による渤海内での有毒液体物質を含んだバラスト水、船室洗浄水或いはその残余物、混合物の排出を禁止する。ばら積みの有毒液体物質を持つ港湾については、有毒液体物質を含むバラスト水及び船室洗浄水の受入施設を建設しなければならない。有毒液体物質を積載したばら積み船は“手順・手配ハンドブック”の完全化を図り、貨物の積み下ろしについて、手順規定に厳格に従って操作を行うこととする。

渤海海域内に進入する、有毒液体物質を積載したばら積み船については、その船上において、有毒液体物質の“流出応急対応計画”に基づく配備がなされていなければならない。

3、船舶バラスト水による汚染の抑制措置

 2002年までに、渤海海域における船舶バラスト水の排出に関する法規および管理計画を制定する。“船舶バラスト水管理計画編成ガイドライン”の要求に基づき、船舶バラスト水の排出管理計画を編成し、港湾の船舶バラスト水集中処理における排出基準達成状況に対する検査・監督を強め、排出の基準超過を防止する。油或いはその他の有毒物質を含んだバラスト水による水質汚濁の防止を強化すると同時に、現在大連でデモンストレーション的に行われているバラスト水のグローバル管理プロジェクトを利用し、船舶バラスト水に含まれる生物がもたらした汚染に関する研究及び防止活動を展開する。2003年までに、《船舶バラスト水管理規定》を起草、制定するとともに、中国船籍の船上に“船舶バラスト水管理計画”に基づく配備を敷く。

4、船舶から排出される生活汚水による汚染防止措置

船舶の生活汚水の排出状況を監視・制御する。生活汚水の排出は陸地から最も近い距離でも4海里以上とし、排出される汚水によって周辺の水域に浮遊固形物が発生しないこと、水体が変色しないことを保証しなければならない。

5、船舶から排出されるゴミによる汚染防止措置

国内を航行する船舶について、船舶ゴミ管理計画を実施する。渤海海域内を航行する150t級以上のすべての船舶及び査定を経た、積載人数15人以上の船舶は、その船上において、主管機関の認可を経た“船舶ゴミ管理計画”に基づく配備を敷くとともに、“管理計画”の規定に厳格に従って、管理、ゴミ処理を行わなければならない。長さ12m以上の船舶は船上に、ゴミ管理に関する公告標示を張り出し、海上にむやみにゴミを投棄してはならない。

港湾、埠頭に船舶ゴミ受入施設を設け、ゴミ回収車・船を購入又は建造し、各船舶のゴミを集め、都市ゴミ衛生処理システムへ集中的に運び、処理する。プラスチック製品は一切海へ投棄してはならない。

6、海上汚染応急対応メカニズムの完全化、重大な海洋関連汚染事故による危害の制御

有毒化学品、貯油施設など、重大な汚染事故が発生する可能性がある沿海の企業・事業体は、重大汚染事故に関する応急処置策を定めなければならない。海区、港湾区、船舶、沿海地区の油田は油流出応急対応計画を制定すること。

2003年までに、応急対応システム案のデザイン、技術デザインを完成し、応急処理メカニズムの改善に関する論証報告を提出しなければならない。2004年までに、渤海海域油流出応急対応センターの建設を完了し、応急対応能力の目標要求を達成する。2005年までに、応急対応システムの運用を開始し、交通部が下達する北方海区の海上油流出事故応急対応システムの構築を完了し、油流出応急対応訓練を定期的に実施する。

渤海地域の海上油流出事故応急対応体系の整備計画における重点項目は付表3-3-1を参照のこと。

7、渤海の船舶及び関連作業による油類汚染物“ゼロエミッション”計画のスタート

渤海の船舶及び関連作業による油類汚染物“ゼロエミッション”計画をスタートさせ、渤海特殊航行区の構築案の設計を行う。

(三)漁船・漁港の汚染防止

 2001~2005年に、中型及び大型漁船に油水分離装置を取り付け、油と汚水の排出基準を達成しなければならない。生活廃水の排出制限に関する政策を制定し、排出に制限を加える。小型漁船の油を含んだ廃水について、集中回収を実現し、岸の上での回収を図り、処理後の汚水が排出基準を達成するようにしなければならない。漁業船舶については、生活ゴミ回収袋の使用を強制し、漁港及び漁業水域内でのゴミや不用になった魚箱などの廃棄物のむやみな投棄を禁止する。

環渤海の大型漁港に廃水、廃油、固形廃棄物の回収・処理装置を建設、設置し、漁船による含油汚水などの受入・処理条件を満たす。漁港には生活ゴミ受入・処理施設及び生活ゴミの回収車又は回収船を設置し、回収した生活ゴミは集中、統一処理しなければならない。漁港水域に生態環境モニタリング拠点を設け、定期的なモニタリングを実施し、港湾区における排出基準を超過した汚水の排出、魚の洗浄を禁止する。2005年までに、漁港生態環境管理弁法を制定し、埠頭の生態環境を厳格に管理する。

(四)軍艦・軍港の汚染防止

1、艦艇の含油汚水受入・処理計画

軍港の含油汚水処理システムの構築作業、艦艇の含油汚水受入に関する設備、装備、関連設備を強化し、各軍港が艦艇による含油汚水の受入・処理能力を備えるようにする。2001~2005年、含油汚水輸送パイプラインの建設、含油汚水回収車の配備、既存の含油汚水ステーションの処理能力の向上及び同類ステーションの新設、含油汚水回収船の配備に、2,265億元の投資が必要とされる。

2、艦艇の含油汚水及び生活汚水の整備計画

水面の艦艇による油類汚染物について、2002年までに排出基準をすべて達成するとともに、軍港の含油汚水処理システムへのインプットに便宜を図る。2003年以降に建造を開始する海軍艦艇の汚染対策設備は、2015年の船舶汚染物排出基準に基づいて設置する。

3、陸上汚染源の排出基準の達成

軍港及びその近隣に位置する船舶修理工場(所)、兵器検査・測定(修理)機関、病院、食品加工などの事業体の汚染源について整備を行い、排出基準を達成すること。区域内の艦船修理工場(所)、兵器検査・測定(修理)機関、病院、食品加工などの事業組織は、独立した汚水処理システムを構築するとともに、新工程、新技術を採用し、窒素、リン、油、その他の有害物質の排出量を引き下げること。公共下水システムのパイプ敷設、相応の関連施設の建設、独立した処理ユニットの建設に6,215万元を投入する。

4、艦艇から排出されるゴミの回収・処理方式の完全化、軍港水域の漂流物・浮遊物の効果的な除去

艦艇から排出されるゴミの回収・処理作業を強化し、環渤海における同類ゴミの回収・処理制度を確立する。中型以上の軍港は艦艇から排出されるゴミの分類回収、処理を行うとともに、同類ゴミの分類回収制度を制定する。すべての艦艇に標準化されたゴミ回収・貯蔵容器を置き、1,000t級以上の艦船及びすべての水上戦闘艦艇にゴミ粉砕処理機を配置する。軍港水域の清潔を保ち、水域の漂流物・浮遊物に対する日常清掃作業を確実に行う。2005年までに、999万1,300元を投資し、艦艇へのゴミ箱、ゴミ粉砕機、軍港水上汚染物の清掃設備の設置に充てる。

5、軍港及び艦艇の建設・建造における汚染防止モデル事業

旅順軍港をモデルとして、軍港及びその付近の陸上汚染源、停泊艦艇のゴミ、含油汚水、生活汚水の整備、油流出応急対応計画の確立などについて、各部分を考慮した全体的な計画を立てる。2~3年の時間を費やし、5,000万元を投じて、旅順港の総合整備を実施し、同港の汚染整備事業が一つの完全な体系を成し、その他の軍港の汚染整備活動に成功経験と模範を示すことができるようにする。

6、基地の油流出応急対応体系の確立

艦艇、埠頭、オイル倉庫を基本ユニットとする基地の油流出応急体系を確立し、各レベルの応急対応案を制定する。油流出応急対応計画の組織体系、応急対応案のレベル、主な内容、部門別作業分担などの研究、確定を行った上で、各軍港における油流出汚染応急対応計画を基本的に確立する。

(五)海上石油開発による汚染防止・抑制措置

海上石油プラットホームから発生する石油類などの汚染物及び生活ゴミによる海洋環境に対する影響を制御し、ボーリングや採油の作業プラットホームに含油汚水、生活汚水処理施設を設置し、含油汚水、生活汚水について、排出基準を達成するようにする。海区の石油プラットホームで試験的に行われる油の噴出作業について、密閉作業を厳格に実施し、石油ガスを徹底燃焼させ、バーナチップに残油回収装置と回収パイプを設置する。

海洋石油探査・開発については、油流出応急対応案を制定し、相応の流出油回収施設を設置しなければならない。ボーリング作業での鉄、クロム、ソルトなど重金属成分を含むスラリー及びオイルベースマッドの使用を禁止する。

三 行動効果

 2005年までに、陸域における石油類の海への年間流入量は対2000年比で2,766t、海域の石油類の海への年間流入量は6,000t(1998年の海域からの石油類の海への流入量9,926tから推算)それぞれ削減される見込み。

第四節 生態系の保護と回復

一 目標

渤海における生態の急激な悪化傾向、重要な生態機能区内における生態環境の悪化傾向について、緩和、抑止が得られるようにし、海岸帯の厳格な管理、環境保全型養殖の発展、過度な漁労の防止、合理的な繁殖・養殖を図り、持続可能な発展に向けた局面を創り出す。

二 行動計画

(一)重点養殖水域の生態環境調査と区画

“十五”期間中、エビの養殖区、貝類の繁殖・養殖区、海の希少種繁殖繁殖・養殖区の生態環境に関する現状調査を展開するとともに、養殖品種の生長・繁殖要求に基づき、生態環境区画を打ち出す。重点区域は莱州湾、遼東湾、渤海湾のタイショウエビ(クルマエビ)養殖区、莱州湾のホタテガイ(アキタガイ)養殖区とイタヤガイ(アカガイ、サルボウ、トリガイの類)養殖区、秦皇島沿海のホタテガイ(アキタガイ)養殖区と蛤繁殖区、遼東湾の貝類繁殖区、廟島群島のホタテガイ(アキタガイ)養殖区及び海の希少種繁殖繁殖区とする。沿岸海域における魚・エビ、カニ類の稚魚や幼生の増殖エリアなど、敏感な海域については、重点的な保護を加えるものとする。

(二)汚水排出禁止区の区画

重要な魚・エビの産卵場、索餌場、天然貝類の生息地、稀少水生野生動植物の生息地、重要養殖区を保護するため、汚水排出禁止区を計画的に確定しなければならない。重点区域は莱州湾、渤海湾、遼湾のタイショウエビ(クルマエビ)産卵場、莱州湾と錦州湾のイタヤガイ(アカガイ、サルボウ、トリガイの類)生息地、河北沿海のハマグリ及び魁蚶生息地、大連のゼニガタアザラシ自然保護区、大連の長海海珍品(海の希少種)自然保護区、朝陽の小凌河自然保護区、大連の三山島海の希少種資源繁殖自然保護区、王宝河自然保護区、廟島群島の海の希少種増殖区などとする。

(三)禁漁期、禁漁区の積極的な確定・実施、適度な漁労、資源の永続利用の実現

重要漁業資源の生活・繁殖習性と特徴に基づき、禁漁期、禁漁区など、休漁管理政策を確実に実施し、繁殖・養殖、放流の向上、人工漁礁の合理的な建設などの措置を採用し、漁業を取り巻く生態環境の回復と改善、関連政策の制定、充実化を図り、渤海の漁獲総量を計画的にコントロールし、適度な漁猟を実施する。

(四)環境保全型養殖の実施、海洋養殖による汚染の防止

環境保全型養殖とは、生物の共生及び物質循環システムを利用し、良好な管理を加えることで、海水養殖の効率及び経済効果を高める養殖法である。現在、山東、河北、遼寧などの省・市で、エビと貝の混合養殖、エビと草食性魚類の混合養殖、エビ・魚・貝の混合養殖など、環境汚染を軽減させることができる養殖モデルなどの様々な環境保全型養殖方式が開発されている。“十五”期間中、環渤海13市における環境保全型養殖面積60%の達成を目指す。管理面では、海洋養殖プロジェクトに対する環境アセスメント制度の実施度合いを強化し、養殖構造及び配置の積極的な調整、養殖密度及び面積の合理的な制御、養殖における給餌量の厳格なコントロール、沿岸海域の水体に対する直接施肥の段階的な禁止、養殖池の汚泥除去に関する合理的な処置を図り、養殖地の除去汚泥の海への排出を防止する。環境保全型養殖の考査方法及び関連基準、“海水を利用した養殖池の廃水基準”を制定し、2005年までに養殖地排水の排出基準達成を実現する。

各地の環境保全型養殖の規模、実施計画については表4-12を、重点プロジェクトについては付表4-1-1~付表4-1-4をそれぞれ参照のこと。

これらプロジェクト実施後、単位当たりの養殖汚染物の海への流入量及び養殖汚染による沿岸海域の水質に対する影響は顕著に減少する見通し。しかしながら、総体的な規模の拡大により、養殖汚染物の海への流入総量の規制は依然として困難であり、各地の養殖における給餌面積の拡大については、厳格な科学的評価と環境アセスメントを経る必要がある。

(五)底生植生の繁殖

渤海区での繁殖が可能な底生及び潮間帯植物について、優良品種の選択・導入が可能である。中でも、汚染河口(重点は黄河口、小清河口、海河口、遼東湾の各汚染河口)での植栽によって、過剰な栄養塩を十分に利用する。2001~2005年に、優良品種の導入試験を行う。

表4-12 2001~2005年の沿海における環境保全型漁業の発展計画

養殖面積(㎢)

うち、

環境保全型養殖面積

対全体比(%)

大連市

1067

400

 

営口市

813

267

            32.8

盤錦市

847

807

            95.3

錦州市

360

167

            46.4

葫蘆島市

100

67

            67.0

遼寧省小計

3187

1708

            53.6

秦皇島市

147

133

            90.5

唐山市

660

435

            65.9

滄州市

87

52

            60.0

河北省小計

894

620

            69.4

濱州地区

520

293

56.3

東営市

847

593

70.0

煙台市

233

187

80.3

山東省小計

1600

1073

67.1

天津

66.7

53.3

80.0

合計

5748

3454

60

(六)生態系の保護と生態の修復

1、重点保護海洋生物と産卵場保護区の区画

重点保護海洋生物と経済魚・エビの生物学的繁殖習性と歴史調査資料に基づき、2001年に、渤海の重要漁業水域と重点保護水生野生動植物の保護区の区画を実施、完了する。主な対象種類は海洋哺乳動物、中国タイショウエビ(クルマエビ)、真明[14] 、キグチ、マナガツオ、コイチ、タチウオ、東方純[15] 、タカノツメエビ[16] など。重点区域は渤海湾、莱州湾、遼東湾とする。

2、損傷を受けた生態系の保護と重点海域の生態修復

2003~2004年、損傷を受けた生態系に対する総合調査を実施し、システム総合評価体系及び整備・修復案を打ち出す。総合調査の結果とシステム評価の状況に基づき、まず、1~2ヵ所の典型的な区域を選び出し、生態回復の試験、モデル作業を行う。2005年に、重要な魚・エビの産卵場の生態修復計画をスタートさせる。汚水排出の制限、海岸帯及び海へ注ぐ主要河川における生態環境の整備強化、藻類、貝類の繁殖など、一連の措置を通じて、一部の重要な産卵場の生態環境の質を回復し、魚・エビの卵・胚胎の発育及び幼体の生長に良好な生態環境を創り出す。重点区域は渤海湾の海河口、莱州湾の黄河口、小清河口、虞河口、膠莱河口、遼東湾の大遼河口、大凌河口とする。

3、非汚染性損害の抑制

海岸帯の総合管理の強化、沿岸の土地の生態破壊が懸念される開発の抑制、海岸付近の岩石の採掘、砂の掘り起こしなどによる海岸の侵食及び生息環境の破壊の抑制を図る。既に建設済みの環境を汚染し、景観を破壊する工事プロジェクトについては、整備、調整、改造などを実施し、海水浴場、重要な漁業水域、海水の淡水化のための取水エリアなど、特殊な保護を必要とする重要区域を保護する。工事・建設材料における放射性物質、或いは溶け出し易い有毒有害物質に関する抑制基準を制定、実施する。港の建設、海の埋立、航路の整備、汚泥の浚渫、堆積物除去などの環境整備の過程において、汚染物の拡散防止措置及び追跡モニタリングを実施し、海洋水産資源の損失を防止する。

黄河などの河川の流量回復工事計画及び管理措置に関する研究を行い、河口付近の産卵場の生息環境を回復する。

(七)海洋における廃棄物投棄の管理強化

 2001年から、渤海における海洋廃棄物投棄エリアの新設を厳格に制御する。渤海内の既存の海洋廃棄物投棄エリアについては、整備・調整、評価を行う。海洋生態系に対して明らかな影響を及ぼしている場合は、2005年までにすべて使用停止、閉鎖し、環境回復活動を実施し、海洋環境に及ぼす影響を軽減しなければならない。
新たに廃棄物投棄エリアを設ける必要がある場合は、厳格に検査を行い、監督・管理を強化すること。

(八)都市ゴミ処理

都市ゴミによる景観、地下水、地表水、沿岸海水の汚染を軽減するため、“十五”期間中、13都市において24の都市ゴミ処理プロジェクトの実施を計画する。これにより、都市ゴミ処理能力を約8,900t/日まで引き上げることが可能となる。具体的なプロジェクトについては、付表1-4-1を参照のこと。プロジェクトの実施により、各種汚染物(特に有毒有機物質)による渤海の生態系に対する影響を軽減することができる。

(九)自然保護区の整備計画

環渤海13市で2001~2005年の間に、38ヵ所の自然保護区を新設・拡張する。これにより、生物多様性の保護及び資源回復の要求を満たす。具体的なプロジェクトについては、付表5-1-1を参照のこと。

第5節 投資見積

2001~2005年の渤海碧海行動計画における投資額は330億元に上る。詳細データについては、表4-13を参照のこと。

表4-13 2001~2005年・渤海碧海行動計画投資見積表 単位:億元

投資先

汚染整備投資

生態整備・回復投資

管理・技術支援投資

旧来の生産方式の改造に関する投資

地区・部門

合計

都市部汚水処理建設事業

都市部ゴミ処理建設事業

船舶汚染整備事業

海上汚染応急対応事業

水土保持・流域整備

海岸の分離帯・緑化事業

自然保護区・生態保護区建設

管理・技術

支援

環境保全型農業・生態モデル区建設事業

環境保全型漁業・養殖

遼寧5

89.89

34.82

9.68

1.9

0.68

20.96

6.05

0.58

0.62

6

8.6

河北3

41.34

16.76

4.36

 

0.22

5.77

2.87

0.35

0.47

7.26

3.28

天津市

139.25

50.06

1.47

4.3

1.58

6.95

40.9

6.51

0.43

26.05

1

山東4

57.2

10.51

5.99

0.6

1.4

12.02

6.26

7.39

1.39

4.65

6.99

海軍

2.08

 

 

1.86

0.06

 

 

 

0.16

 

 

   海運

0.58

 

 

 

0.58

 

 

 

 

 

 

その他部門

0.13

 

 

 

 

 

 

 

0.13

 

 

地区・部門合計

330.47

112.2

21.50

8.66

4.52

45.70

56.08

14.83

3.20

43.96

19.87

類別合計

 

146.83

 

 

116.6

 

3.20

63.83

類別比率

 

44.4%

 

 

35.3%

 

1.0%

19.3%

注:都市部汚水処理建設事業の投資には遼河、海河のプロジェクト投資73億2,800万元が含まれる。工業汚染源の整備に対する投資の大部分で既に、遼河、海河及び黄河の計画が考慮されていることから、本表には組み入れないものとする。

図4-1 2001~2005年・渤海碧海行動における各整備事業の投資比率

第六節 環境効果分析

“十五”計画期末までに、沿海都市及び都市部の汚水処理能力700万t/日以上、公共汚水処理率70%以上を達成し、窒素、リンの新規削減量について、それぞれ1万9,400t/年、4,100t/年の達成を目指す。

非点源及び海岸帯の整備事業によって、窒素、リンの海への流入量をそれぞれ1万7,800t/年、778t/年削減する。

13市で有リン洗剤の使用を禁止することで、1年当たりのリンの排出量を5,300t余り減少することができ、これにより、リンの海への年間流入量は2,100t余り減少する見通し。

環境保全型養殖面積を3,454㎢まで拡大し、産卵場の汚染について、初歩的な抑制が得られるようにする。

船舶関連作業による汚染物の排出及び移動汚染源による汚染について、更なる抑制が得られるようにし、かつ、船舶及び石油プラットホームの汚染源の排出基準の達成、すべての船舶の船底から生じる含油汚水の排出基準の完全な達成により、船底から渤海に排出される油類物質を毎年60%以上減らすことができる。

秦皇島などの海区における船舶油流出応急対応モデル事業が完了することにより、船舶事故による油の流出の効果的な抑制が可能となる。

自然保護区38ヵ所の新築・拡張により、保護面積は10,271.42㎢に及び、生態環境が更に改善される。

各種整備措置の実施により、渤海に流入する汚染物の総量は削減されている。海へ流入するCODが対2000年比で10%以上減り、窒素、リンがそれぞれ20%以上減少したという状況の下、2006年には、河川の水位が正常であるという条件の下で、渤海沿岸海域における水環境汚染は初歩的な抑制が得られ、生態破壊の趨勢も初歩的に緩和され、海域の環境機能区における無機体リン、COD基準達成率は顕著に向上し、無機体窒素の基準達成率も高まる見通し。渤海の汚染整備は海水の繁殖・養殖環境の改善についても初歩的な効果を発揮し、主要資源生物の産卵場、幼魚育成場の汚染も初歩的な抑制が得られる見込みとなっている。

第五章 2006~2010年・碧海行動計画

2006~2010年・碧海行動計画の基本目標は次の通り:海域環境の質が初歩的な改善を得て、生態破壊について効果的な制御が得られるようにする。

第一節 窒素、リンの総量規制

一 目標

陸域から渤海に流入する窒素、リンの総量を対2005年比で15%削減する。

2010年までに、窒素、リンの海への流入総量をそれぞれ11万2,500t/年、8,600t/年(13市内及び13市外の貢献を含む)に抑制し、13市内の目標削減量をそれぞれ1万700t/年、1,462t/年とする。各省データは表5-1を参照のこと。

表5-1 2010年の窒素、リンの海への流入量規制目標 単位:t/年

年度

規制指標

海岸エリア

合計

遼寧

河北

天津

山東

2005年予測

窒素の海への流入総量

75206

9175

20224

27727

132332

2006~2010

窒素の海への流入量の

予測増加量

3760

459

1011

1386

6616

2010

窒素の海への流入量の

削減量

15433

1835

4045

5153

26466

 

13市内

4700

1835

2541

1592

10668

2010

窒素の海への流入総量

63533

7799

17190

23960

112482

2005年予測

リンの海への流入総量

1425

1845

1027

5821

10118

2006~2010

リンの海への流入量の

予測増加量

71

92

51

292

506

2010

リンの海への流入量の

削減量

288

369

205

1162

2024

 

13市内

288

369

205

600

1462

2010

リンの海への流入総量

1208

1568

873

4951

8600

13市以外の削減量は現地の総量規制目標を満たすと同時に、その渤海海域への流入の削減量と13市内の海への流入の削減量の和も海への流入の削減総量の要求を満たすものでなければならない。渤海碧海行動計画によると、遼河、大・小凌河、海・灤河、黄河上流域の各省・市に対する全体要求は2006~2010年の期間中に、窒素、リンの排出量を対“十五”期間比で15%削減し、上流域で排出される窒素、リンの海への流入量を河川の水位が正常な年という条件下で、それぞれ年間6万3,000t、2,250t削減するというものである。目標達成に向けた主な措置には、各流域の中・上流地域における水土保持事業、環境保全型の農業・牧畜生産及び生態回復事業プロジェクトの確実な実施、“九五”及び“十五”期間中の水土保持事業、生態回復事業及び都市汚水処理場プロジェクトの全面的な機能発揮などが含まれる。これと同時に、広範囲に及ぶ地方植生の破壊事件の新たな発生について厳格に監督・管理し、これを回避し、生態整備の成果を固める。

二 行動計画

(一)都市部汚水処理施設の建設案

環渤海13市計画において、2006~2010年に、汚水処理及び再利用施設を合計57ヵ所新設し、1日当たりの処理能力を新たに357万5,000t増やし、窒素の総削減量1万4,500t/年、リンの総削減量4,200t/年を達成する。表5-2参照。都市汚水処理能力1,000万t/日以上、都市汚水処理率85%以上の達成を目指す。具体的なプロジェクトについては、付表1-2-1~付表1-2-4を参照のこと。

表5-2 2006~2010年・環渤海13市における都市汚水集中制御計画

地区

プロジェクト数

規模

投資額

汚染物削減量t/

 

t/日

万元

全窒素

全リン

遼寧5市

8

94

129500

3568

1158

河北3市

18

66.5

128177

3392

312

天津市

15

134

195400

4220

1520

山東4

16

63

99900

3354

1251

合計

57

357.5

552977

14534

4241

注:うち、海河プロジェクトは11件、投資額は15億4,600万元。

(二)有リン洗剤の販売・使用禁止範囲の段階的拡大

リンの海への流入量を更に削減するために、2006年1月1日以降、環渤海13市上流域の遼寧、山東、河北省管轄下の県・市及び北京市において、有リン洗剤の販売・使用を全面的に禁止する。

(三)海岸帯の管理及び非点源汚染の抑制事業計画

2006~2010年における海岸帯の管理及び非点源削減事業計画については基本的に、2001~2005年のプロジェクトを引き続き行うとともに、海岸の分離帯建設の更なる完全化を図る。各地の実情に基づき、農業、林業、水利などの部門による長年にわたる水土保持、林業建設、海岸の分離帯の建設、廃棄物の削減対策を施した農地の構築、肥料及び農薬の合理的な利用、茎の農地還元、家畜・家禽の集約化された飼養によって生じるし尿の資源化利用などの分野における活動と結び付け、非点源の削減、エネルギーの節約、渤海水体の保護に利するという立場を拠り所として、環境保全型農業事業の実施度合いの強化・拡大、生態モデル区建設の積極的な推進を図り、2006~2010年に15~20の生態モデル区を建設する。関連プロジェクトについては、付表2-2-1~付表2-2-4を参照のこと。

 2010年までに、海岸帯の管理及び非点源事業による削減効果について、対2005年比でそれぞれ、窒素4,938t/年、リン392t/年を達成する。13市における海岸帯の管理及び非点源削減事業の規模と効果については、表5-3を参照のこと。

表5-3 2010年・環渤海13市における海岸帯管理及び非点源削減事業の規模・効果表

地区

沿海防護林

(㎢)

水土保持防護林(㎢)

廃棄物の削減対策を施した農地(㎢)

生態モデル区(㎢)

土壌流失整備面積(㎢)

窒素の海への流入削減量(t/年)

リンの海への流入削減量(t/年)

遼寧5市

715

776.3

369

253

1848

2634

192

河北3市

0

3.8

1000

3100

1250

2164

23

天津市

5.4

20

0.0

15.9

0.0

22

3

山東4市

128.5

2.9

0.0

0.0

310.6

118

174

合計

848.9

803.0

1369.0

3368.9

3408.6

4938

392

三 行動効果

 2010年までに、各種行動計画によって、リンの海への流入総量を2,809t/年削減する。データ一覧は表5-4を参照のこと。

表5-4 環渤海13市における2010年時点のリン削減量計画一覧表 単位:t/年

都市汚水処理場

生態事業

段階合計

段階目標

リン除去量

リンの海への流入削減量

リンの海への流入削減量

 

削減量

4241

2417

392

2809

1462

2010年までに、各種行動計画によって、窒素の海への流入総量を1万3,222t/年削減する。データ一覧は表5-5を参照のこと。

表5-5 環渤海13市における2010年時点の窒素削減量計画一覧表 単位:t/年

都市汚水処理場

生態事業

段階合計

段階目標

窒素除去量

窒素の海への流入削減量

窒素の海への流入削減量

 

削減量

14534

8284

4398

 

10668

第二節 COD総量規制

一 目標

陸域からの渤海に流入するCOD総量を対2005年比で10%以上削減する。

総量規制計画に基づき、2005年までに渤海に流入するCOD総量を102万6,000t/年とし、これを基礎として引き続き10%の削減を図り、渤海に流入するCOD総量を92万3,400t/年まで削減し、削減量10万2,600t/年を達成しなければならない。

 

(一)遼河、海河、黄河の三流域の総量削減計画

黄河流域の計画について、現時点では2010年の計画値がないことから、2005年の計画排出量79万7,000t/年を基礎とした10%以上の削減要求に基づき、暫時66万t/年を2010年の計画値とする。

遼河、海河流域計画の執行状況及び《国家環境保護“十五”計画及び2010年目標綱要》に基づき、遼河流域における2010年時点の流域全体のCOD排出規制指標を20万6,000t/年で、海河、灤河流域のそれを98万t/年で暫時それぞれ計算することとする。

2010年までに、三大流域の排出総量184万6,000t/年を達成し、河川水位平常年の海への流入量についてはそれぞれ、遼河流域3万6,000t/年、海河流域18万1,000t/年、黄河流域16万5,000t/年、総計38万2,000t/年を達成する。2005年の計画値46万3,600tとの比較で、削減量8万1,600t/年、削減率17%の達成を目指す。

(二)その他の区域の削減量

計画に基づき、三大流域以外のその他の区域における2005年時点の海への流入総量を22万8,700t/年とする。10%の削減率に基づき、2010年までに、CODの海への流入総量を20万5,900t/年削減する。表5-6参照。

表5-6 CODの海への流入総量規制計画 単位:万t/年

海に注ぐ水系の名称

2005年

2010年

遼東半島各河川水系

3.69

3.32

遼西沿海各河川水系

10.64

9.58

山東半島各河川水系

8.54

7.69

合計

22.87

20.59

(三)渤海のCOD総量削減計画

 2010年までに渤海に流入するCOD総量を10%以上削減するという目標に基づき、海への流入総量を92万3,400t以下まで削減する必要がある。この場合、最少削減量は10万3,000t/年となる。表5-7は2006~2010年のCOD削減総量をまとめたものである。海(灤)河、遼河、黄河の三流域及びその他の区域におけるCODの海への流入計画削減総量は10万4,400t/年となり、これにより、渤海へのCODの流入量10万2,600t/年(削減>10%)の要求を満たすことができる。

表5-7 COD削減計画一覧表 単位:万t/年

 

2005年・海への流入量

2010年・海への流入量

5年間の

総削減量

海(灤)河、遼河、黄河の三流域

46.36

38.2

8.16

その他の区域

22.87

20.59

2.28

合計

69.23

58.79

10.44

碧海行動規制目標

(削減>10%)

102.6

92.34

10.26

二 行動計画

(一)遼河、海河、黄河三流域の行動計画

黄河流域の水質汚濁防止計画は開始が比較的遅かったことから、“十五”計画の基礎の上に、2006~2010年の期間については、COD排出量の10%以上削減の実現という目標によって活動計画を編成する必要があり、COD年間削減量15万tに基づいてプロジェクトの配置を行うことを提案する。

遼河流域、海河流域の水質汚濁防止計画については、国の“十五”計画に基づいて計画を調整し、整備プロジェクトのCOD排出量の削減量を28万4,000t以上としなければならない。

流域範囲内の各地方政府は2006~2010年の環境保護計画の完成、中でも、同計画中の都市汚水処理プロジェクトの期日通りの完成を確保し、以ってCODの海への流入削減量8万7,600t/年の任務達成を保証しなければならない。

(二)その他の区域の行動計画

2006~2010年の期間中、三大流域以外のその他の区域で都市部汚水処理施設を合計17ヵ所建設する。これら施設の1日当たりの汚水処理規模は90万t、総投資額は約16億3,400万元に及び、年間のCODの排出量及びCODの海への流入量をそれぞれ、9万7,600t、5万5,600t削減することができる。具体的なプロジェクトは付表1-2-1と1-2-4を参照のこと。計画削減量は2万2,800t/年であり、3万t/年の余裕があることから、COD発生量が増加するという状況の下でも、海への流入量の計画指標を満たすことができる。

都市汚水処理施設の削減計画に関する具体的な内容については、表5-8を参照のこと。

表5-8 計画区内の都市汚水処理施設の削減計画

海に注ぐ水系の名称

数量

規模

(万t/年)

投資額

(億元)

削減量

(万t/年)

遼東半島各河川水系

2

12

3

1.45

遼西沿海各河川水系

3

35

5.75

3.90

山東半島各河川水系

12

43

7.59

4.41

合計

17

90

16.34

9.76

注:13市以外の朝陽市、阜新市、済南市、湽博市などの整備計画は含まず。

第三節 石油類などの汚染制御

一 目標

特殊航行区の建設を完了し、渤海の船舶及び関連作業による油類汚染物“ゼロエミッション”計画を実施する。十分な港湾、船舶による廃棄物の受入処理・処置施設を設ける。環境汚染、油流出と赤潮の災害モニタリング及び応急対応システムを確立する。

二 行動計画

(一)輸送船舶関連作業による汚染防止計画

1、特殊航行区の建設

(1)渤海海域における特殊航行区海洋環境管理制度の確立。

(2)渤海の環境汚染、油流出と赤潮の災害モニタリング及び応急対応システムの確立。

(3)200t級以上の船舶及び査定を経た積載人数10人以上の船舶は、生活汚水処理装置を取り付けなければならない。渤海海域内に排出される生活汚水は主管機関が認可した生活汚水処理装置による処理を経たものでなければならず、排出される廃液によって周囲の水面に目視可能な漂流物・浮遊物が発生したり、水面が変色したりしてはならず、その水質指標は基準を達成していなければならない。

2、渤海の船舶及び関連作業による油類汚染物“ゼロエミッション”計画

(1)渤海海域内における、船舶による船底汚水、液体貨物船の洗浄水、バラスト水の排出を禁止する。

(2)すべての船舶について、渤海海域内における一切の船舶からのゴミ投棄を禁止する。

(3)環渤海の港湾、埠頭に、十分な船舶廃棄物受入処理・処置施設を設ける。

重点プロジェクトについては、付表3-2-1を参照のこと。

(二)漁船・漁港の汚染防止

2010年までに、すべての大・中型漁港において、廃水、廃油、固形廃棄物の回収・処理装置を取り付ける。

(三)軍艦・軍港の汚染防止

1、艦艇の汚水整備

2010年までに、艦艇の汚水整備に8,670万元を投じる。これにより、艦艇が艦上の生活汚水を処理する能力を備え得るようにし、排出基準達成の実現、油類汚染物の“ゼロエミッション”の実施を図り、潜水艇による汚染問題を解決する。

2、軍港の汚水受入施設の完全化と艦艇の“ゼロエミッション”実施との組み合わせ

“ゼロエミッション”の条件に基づき、2,675万元を投じて、軍港内に相応の艦艇汚水受入・処理システムを建設する。具体的な措置には、含油汚水輸送パイプラインの敷設、軍港含油汚水処理ステーションの建設、既存の処理ステーションの処理工程に対する改良、生活汚水排出パイプラインの敷設、生活汚水受入・処理船の配備などが含まれる。

3、艦艇から排出されるゴミ分類回収制度の全面的な実施

計画投資額は1,776万元。うち、艦上向け経費として1,189万元を充て、港湾・海岸向け経費として587万元を用い、艦艇から排出されるゴミに対する整備効果を高める。

4、陸上汚染源の整備活動の全面的な完了

蓬莱などの軍港に独立した生活汚水処理ステーションを設け、分散型処理ステーションの建設を完了するとともに、汚染整備技術の発展に基づき、既存の各汚水処理システムの改良を行う。これら事業の投資額は1,000万元で、生活汚水処理ステーションを合計9ヵ所建設する。

5、軍港における油流出汚染応急対応計画体系の確立

環渤海の主要軍港において、油流出汚染応急対応計画による軍港応急対応体系を確立し、基地級軍港及び艦艇の油流出応急対応体系を構築する。投資額は590万元で、油流出を防ぐための柵2,000m、油の吸収、除去機材及び油流出関連作業工具の配備などに充てる。

(四)陸上起因汚染の総量削減計画

2010年時点における石油類の海への流入量を対2005年比で2,213t/年削減し、海への流入量を河川の水位が正常であるという条件の下で、8,852t/年に抑制する。陸上に起因する石油類の海への流入削減量については、表5-10を参照のこと。

表5-10 陸上に起因する石油類の海への流入削減量 単位:t/年

2005年の海への流入量

2006~2010年の

海への流入削減量

2010年の海への流入量

11065

2213

8852

三 行動効果

2010年までに、陸域の石油類の海への年間流入量は対2005年比で2,213t、海域の石油類の海への年間流入量は1,500t(2005年における海域からの石油類の海への流入量3,926tから推算)それぞれ削減される見込み。

第四節 生態系の保護と回復

一 目標

一部海岸帯の生態環境整備事業プロジェクトを徐々に実施し、海岸帯の生態環境の回復と改善を図る。

環境保全型養殖面積70%以上に達し、養殖水域の水質が基本的に基準を達成し、魚類の回遊路、産卵場の生態環境が改善を得られるようにする。生態破壊について、効果的な抑制がなされ、複数の生態モデル区及び自然保護区を完成させる。

二 行動計画

(一)重点養殖水域の生態環境の修復

2005~2010年、重点養殖水域の生態環境修復計画を提示、実施し、動物の繁殖・養殖に利する良好な生息環境を創造する。重点区域は莱州湾小清河口のイタヤガイ(アカガイ、サルボウ、トリガイの類)繁殖・増殖区、秦皇島沿岸のハマグリ繁殖・養殖区、遼東湾錦州の貝類繁殖・養殖区などとする。

(二)環境保全型養殖の整備計画

 養殖による汚染を効果的に防止するため、養殖規模の拡充に対して、養殖容量の評価を行い、養殖可能区域、養殖制限区域、養殖禁止区域を具体的に確定する。環渤海13市における2006~2010年の環境保全型漁業・養殖発展計画については表5-11を、重点プロジェクトについては付表4-2-1~4-2-4をそれぞれ参照のこと。

表5-11 2006~2010年・環境保全型漁業・養殖発展計画

区域

養殖面積(㎢)

うち、

環境保全型養殖面積

対全体比(%)

大連市

1200

667

55.6

営口市

1053

400

38.0

盤錦市

847

807

95.3

錦州市

360

167

46.3

葫蘆島市

100

87

87.0

遼寧省小計

3560

2128

59.8

秦皇島市

233

220

94.3

唐山市

743

668

90.0

滄州市

100

90

90.0

河北省小計

1076

978

90.9

濱州地区

400

267

66.8

東営市

1267

1140

90.0

濰坊市

333

233

70.0

煙台市

333

300

90.0

山東省小計

2333

1940

83.1

天津

66.7

53.3

80.0

合計

7036

5099

72.5

(三)重点海域における底生植生の繁殖推進

“十五”期間に実施した優良品種の導入を基礎として、渤海区域の海底及び潮間帯での繁殖が可能な植物を選択し、汚染河口での栽培、繁殖を行う。重点は黄河口、小清河口、海河口、遼東湾などの各汚染河口に置く。2010年までに対象面積を5,000haまで拡大し、過剰な栄養塩を十分に吸収、利用する。

(四)特殊生態区域の保護強化

2006~2010年の期間中、自然保護区の建設を引き続き強化し、海洋の生態環境の更なる保護を図る。同時に、水質が徐々に回復していくという条件の下、休漁期の延長、幼魚・早苗の漁労厳禁、幼魚・早苗の適時投入など、必要とされる生態保護措置を講じ、産卵場の生物資源が保護及び回復を得られるようにし、産卵場の生態の改善を図る。自然保護区の建設に関する具体的なプロジェクトについては、付表5-1-1を参照のこと。

(五)都市ゴミ処理

都市ゴミによる景観、地下水、地表水、渤海の生態系に対する汚染を更に削減するために、2006~2010年の間に、2都市におけるゴミ処理プロジェクトの継続建設を手配する。これにより、1日当たりの都市ゴミ処理能力は約1,198t向上する見通し。具体的なプロジェクトについては、付表1-4-1を参照のこと。

(六)損傷を受けた生態系の生態回復事業の開始

1、遼寧省葫蘆島海域の底質汚染整備事業

研究を通じて、底質汚泥の浚渫工事案を確定し、浚渫が必要とされる底質汚泥の範囲、深度を明確にする。浚渫に関する先進の経験と技術を採用し、当該海域の底質について、相応の生態機能を回復し、当該海域の生態バランスの回復を図る。

2、黄河デルタ湿地の保護及び河口の生態回復工事

許容可能な範囲内での海への最少流量案、黄河デルタ湿地の保護及び河口の生態回復工事案を確定する。

3、山東濰坊港における港湾航路の浚渫工事

小清河、虞河の河口など、海へ注ぐ河川の重点河口について、河川の底質汚泥を定期的に除去し、専門の汚泥処理場を設けて汚泥処理を行う。

4、山東省沿岸における底質汚泥の浚渫工事

山東省の黄河河口、小清河河口、広利河河口、東営港湾区などの重点地区で底質汚泥の浚渫を行い、海域の生態環境の質の回復、改善を図る。

5、河北省の重点海域における底質汚泥の浚渫工事

海域の機能、環境質の要求、底質汚染の状況に基づき、汚染が比較的深刻な、底泥の浚渫処理が必要とされる場所の範囲、深度、目標などを確定する。国内外の底質汚泥浚渫に関する先進的な経験と技術を参考とし、浚渫エリアの海水及び底質が本来持つべき生態機能を回復する。

第五節 投資見積

2006~2010年の期間中、渤海碧海行動計画に224億元を投じる。詳細データについては、表5-12を参照のこと。

表5-12 2006~2010年・渤海碧海行動計画投資見積表 単位:億元

投資先

汚染整備投資

生態整備・回復投資

管理・技術支援投資

旧来の生産方式の改造に関する投資

地区・部門

合計

都市部汚水処理建設事業

都市部ゴミ処理建設事業

船舶汚染整備事業

海上汚染応急対応事業

水土保持・流域整備

海岸の分離帯・緑化事業

自然保護区・生態保護区建設

管理・技術支援

環境保全型農業・生態モデル区建設事業

環境保全型漁業・養殖

遼寧5市

57.58

12.95

 

1.6

0.52

14.34

2.65

0.92

0.30

15.1

9.2

河北3市

30.98

12.82

 

1.9

0.02

7.21

1.2

0.44

0.25

1.74

5.4

天津市

72.07

19.54

 

0.43

 

 

19.04

20.83

0.23

10.58

1.42

山東4市

59.12

9.99

2.89

0.5

1.45

7.73

3.83

12.79

1.87

6.48

11.59

海軍

2.45

 

 

1.51

0.05

 

 

 

0.09

 

0.8

海運

2.00

 

 

 

2

 

 

 

 

 

 

その他部門

0.18

 

 

 

 

 

 

 

0.18

 

 

地区・部門合計

224.38

55.30

2.89

5.94

4.04

29.28

26.72

34.98

2.92

33.90

28.41

類別合計

 

68.17

 

 

90.98

 

2.92

62.31

類別比率

 

30.4%

 

 

40.5%

 

1.3%

27.8%

注:都市部汚水処理建設事業の投資には海河・遼河プロジェクトに対する15億4,600万元が含まれる。工業汚染源の整備投資は本計画に組み込まれていない。
図5-1 2006~2010年・渤海碧海行動計画における各整備事業の投資比率

第六節 環境効果分析

 2010年末までに、沿海都市及び都市部汚水処理施設の処理能力1,000万t/日以上、公共汚水処理率85%を達成する。都市汚染処理能力の増強により、窒素、リンの削減量はそれぞれ1万4,500t/年、4,200t/年に達する。

非点源及び海岸帯の整備事業により、窒素、リンの海への流入削減量はそれぞれ、4,938t/年、392t余り/年に達する。複数の生態モデル区が完成する。

環境保全型養殖面積は5,099㎢に達し、養殖水域の水質は機能区の水質基準を基本的に達成し、産卵場の生態環境の改善が図られる。

自然保護区22ヵ所の新築、継続建設により、保護区面積は3,700.71㎢に及ぶ。

渤海特殊航行区の完成により、区内の船舶による油類物質の“ゼロエミッション”が実現する。環境汚染、油流出、赤潮などの災害モニタリング・応急対応システムが確立される。

各整備措置の実施により、渤海に流入する汚染物の総量は更に減少する。海に流入するCODは対2005年比で10%以上減少、窒素、リンが各15%減少するという状況下で、2011年が河川の水位が正常であるという条件の下において、渤海沿海海域の水環境の質は初歩的に改善され、生態破壊は効果的な抑制が得られる見通し。渤海の海洋繁殖・養殖をめぐる生態環境の条件の更なる悪化は抑止され、主要資源生物の産卵場、幼魚育成場では水が澄み、魚が戻るという状況が現れる。渤海における繁殖・養殖モデルの最適化の普及が図られる。資源生物の生産プロセスが合理的、正常化へと向かう。渤海の生態系構造と機能に初歩的な回復の趨勢が見え始める。

第六章 2011~2015年・碧海行動計画綱要

第一節 計画目標

2011~2015年における渤海碧海行動計画の基本目標は次の通り:海域環境の質の顕著な改善、生態系の初歩的な改善。

本段階では生態環境の保護と回復を重点とする。

一、渤海海域の水質に影響を与える主要汚染物指標である窒素、リン、COD、石油類などについて、総量規制の要求を全面的に達成する。

二、沿岸海域の水質について、環境機能区の保護目標を全面的に達成する。海域環境の質について、環境機能区の目標要求を満たす。

三、海洋生態環境の回復、損傷を受けた生態系の状況の改善を図り、持続可能な生態系の建設を開始する。

第二節 行動計画綱要

一 汚染整備事業の全面推進、海洋環境総量規制の実施

(一)非点源汚染総合整備と水土保持事業の継続実施

沿海地域における水土保持、流域における非点源汚染総合整備事業を引き続き実施する。沿海地域の土壌流失を効果的に抑制し、土壌流失によって生じる汚染を基本的に解決する。環境保全型農業の普及推進が図られる。多収穫、周辺環境への負荷の低下、流失が少ないという効果が図られるクリーン化学肥料、農薬の研究・製造・開発を積極的に行い、窒素、リンの流失による河口及び海洋汚染に対する影響を減らす。沿海地域の家畜・家禽の飼養について、集約化、規模化を実現し、養殖によって生じる汚染物の整備、基準達成を図り、流域内の家畜・家禽飼養による汚染問題を解決する。水産養殖についてはすべて、環境保全型養殖を実現し、良質な魚の餌及び科学的な投与方法の研究・開発を行い、海洋養殖プロセスにおける餌の浪費による養殖水域の汚染を軽減すると同時に、適切な養殖池の廃水浄化処理技術の開発を実施する。各種水汚染制御計画の実施を通じて、非点源汚染は基本的に制御され、その海域の環境に及ぼす影響は顕著に軽減する。

(二)先進的な処理技術の採用による点源汚染物の海への流入量の削減

高効率、省エネ、簡便な汚水処理に関する新工程の積極的な普及を図り、汚水処理後の水の再利用及び廃水資源化計画を実施し、50%以上の工業・鉱業企業でクリーナプロダクションを実現する。

2015年までに、環境保護活動の深まりと管理活動の強化に伴い、各地の汚染源は総量規制指標に基づき、汚染物の排出を削減する。クリーナプロダクション、総合利用工程の普及によって、多くの“三廃(排水、排ガス、産業廃棄物)”は資源に変わり、大部分の工場が庭園式工場となる。各種汚染物の排出は総量規制要求を全面的に達成する。

13市が所轄する各県・市ではすべて汚水処理施設が完成し、生活汚水及び地表水の水質は更に浄化し、海に注ぐ各河川の汚染物も大幅に減少し、水域ユニットの環境機能が実現する見通し。

(三)海上交通安全整備と船舶汚染防止の監督・管理

2015年までに、すべての交通輸送船舶に対して、油・水浄化装置或いはより先進的な油除去装置の取付を義務付け、船舶汚染防止設備すべての基準達成を実現しなければならない。船舶の海上作業の規範化を図る。海区監視システムの健全化を図り、処罰の度合いを強化・拡大することで、すべての交通輸送船舶が渤海における汚染物“ゼロエミッション”の目標を達成するようにする。海軍については、500t級以上の海軍艦艇には一定容量の含油汚水貯水タンクを、1,000t級以上の艦艇には生活汚水貯水タンクをそれぞれ増設し、すべての艦艇に生活汚水排出システムを取り付けるとともに、港湾に相応の受入・処理システムを設置する。

監督・管理を強化し、船舶、艦艇、石油プラットホーム及び関連活動における“ゼロエミッション”計画を実施し、汚染物の海域への直接侵入を防止する。特殊航行区の建設について、計画的に完全化を図り、海上交通の安全を保証する。健全な関係法律・法規を制定し、従うべき法律があるという状況を確実に創造し、法律によって海上作業行動の規範化を図る。船舶の汚染物処理に対する自動モニタリング技術及び設備を使用し、船舶の汚染排出に対する効果的な監督・管理を行う。法律・法規に違反した船舶については、法に従って厳重に処罰する。

海上の油流出や有毒化学品の漏れなど、汚染事故の応急能力の構築を強化する。突発性事故応急処理センターにおける高速反応メカニズムの更なる充実化を図る。油流出応急対応システム、海上油流出応急モデル区工事、油汚染災害防止基金を確立する。2015年までに、各海区において環境監視の立体化、応急措置の現代化を実現し、海上における応急力を確立する。

海洋漁獲業の発展及び海洋漁獲量を厳格にコントロールし、海洋生物資源の効果的な保護と永続利用を図る。

(四)特殊汚染物及び大気汚染物抑制事業の研究・展開

一部特殊汚染物(環境ホルモン物質、難分解性有機汚染物質など)の抑制事業を確定する。

各関連学科における科学技術成果の応用と転化を重視し、独特な海洋生態環境の特徴に適した技術を形成し、生分解性を核心として、物理的・化学的方法と結び付け、重点汚染海域に対する生息環境修復事業を実施する。

大気の移動・拡散法則について全面的な研究を行い、大気降下物中の窒素、リン、その他の汚染物の種類、本源、影響を探り、13市の大気汚染物規制計画と結び付け、各種工業発生源、市政発生源、都市発生源、非都市点源、非点源の大気汚染物の削減計画及び総量規制計画を制定し、大気降下物による海洋への汚染に対する影響を抑制する。

二 生態系の保護と回復

(一)沿海地域の生態モデル区及び自然保護区の建設の強化

沿海地域の既存生態モデル区を基礎として、2015年までに更に30~50ヵ所の生態モデル区を建設する。これと同時に、湿地の生態、(河や海の泥砂が河口近く、または海岸付近に沈積してできた)砂浜の生物資源、沿海の漁業資源及び野生動物などに関する自然保護区の建設について、積極的な措置を採用して、これを大いに強化し、沿海の一部地区における生態系の質が明らかに好転するようにし、基本的に好循環軌道に乗るようにする。

(二)生態系の回復に関する建設事業

科学技術を拠り所とし、資源に対する保護を強化し、環境保全型農業の建設を大いに進め、総合整備の度合いを強化し、各種類型の生態機能保護区を広範に確立することで、保護区内の生態系の保護と回復を図る。自然法則と経済法則に従い、各地の生態環境が直面している際立った矛盾や問題に密着し、複数の生態系回復事業を実施する。沿海地域の防護林帯、水土保持、砂質化の防止、防潮など、沿海の生態環境の保護・整備事業の実施を更に確実に進め、工事の質を確保し、比較的充実した生態環境システムを徐々に形成し、環渤海区域の環境質の改善と向上を図る。2015年までに、無公害農産物の品種と質が国際基準にリンクするようにし、輸出型農業、市場主導型の農業構造を全面的に形成する。各省・市にマクロ的には地区を主体とした、ミクロ的には町村を基礎とした省、市の生態整備における“一つの碁盤”的構造を構築する。秩序立った構造、完全な機能、最高の効果・利益、美しい環境を備えた良性循環による生態系を徐々に確立していく。

(三)重要生態機能区、重点資源開発区、生態良好区の“三区”の保護戦略の更なる推進

沿海地域の重要な生態機能区や種の豊富な地域に、複数の異なるレベルの特殊生態機能保護区及び自然保護区を緊急的に建設し、複数の生態環境が良好な地区において生態環境保護モデル区を重点的に設け、町村の緑化・生態系を全面的に確立する。

重点資源開発区の生態環境に対して、強制的な保護を実施し、水、土、森林、草地、海洋、鉱物など、自然資源の開発をめぐる監督・管理を確実に強化し、重点資源開発区における生態破壊の悪化傾向を抑止する。水資源開発における生態保護に特に注意を払い、黄河の水枯れ問題を解決し、渤海への流量を保障する。沿海地域の防護林帯、水土保持、砂質化の防止、防潮など、沿海の生態環境の防護・整備事業の更なる完全化を図る。

(四)水産養殖における環境保全型養殖の実施、養殖区及び産卵場水域の生息環境における良好な状態の回復

2015年までに、渤海のすべての潮上帯における養殖開発規模を確定し、浅海養殖における相互補完型生態総合養殖、大規模な生態自動養殖を実現する。潮差或いは機械による水の汲み上げにより、潮上帯の養殖池で天然飼料生物の繁殖を行い、魚、エビの餌として、複数種の混合養殖を実施し、すべてが環境保全型漁業のモデルに合うようにする。砂浜の貝類について、保護面を考慮した計画的な採集を行う。入り網エビ・カニ養殖、実施海水養殖[17] 戦略。経済魚、エビ、カニ類の放流、繁殖・養殖を行い、養殖業漁猟研究及び統計調査を実施する。無害の廃棄構造材料を利用して、人工漁礁を建設し、漁業資源量を増やし、渤海における持続可能な漁獲量及び生物多様性を拡大する。海底における栽培面積を拡大する。浅海、砂浜、潮上帯の一体化が図られる環境保全型漁業の実験研究基地を構築する。海洋環境モニタリングシステムの規範化、完全化を図り、モニタリング、予報のオートメーション化を図る。海底観測システムを確立し、海底の生物活動及び生長状況に対する自動監視・制御、自動表示を実施する。漁業水域、漁業水質が国の漁業水質基準に完全に合致するようにし、産卵場については、ある種の魚・エビの産卵環境に人為的に適応できるようにし、良好な生態環境を維持する。海洋経済の持続可能な発展を実現する。

(五)重点海域の生態回復事業

海域汚染整備における生物修復・生態事業、新たな汚染問題の研究及び制御事業を実施する。同事業には、一部海域の石油類汚染、重金属汚染の整備、生物修復事業、一部海岸及び湿地の汚染物に対するエコ処理事業、物理的汚染の抑制事業などが含まれる。

1、遼寧省葫蘆島海域の底質汚染整備事業

 底質汚泥浚渫工事計画を実施し、国外の浚渫に関する先進的な経験と技術を採用することで、当該海域の底質に相応する生態機能を取り戻し、当該海域の生態バランスの回復を図る。

2、黄河デルタ湿地の保護及び河口の生態回復事業

黄河デルタ湿地保護及び河口の生態回復事業の各プランを実施する。

3、山東省濰坊の港湾航路浚渫事業

山東省の濰坊港の航路に対し、規定に基づき浚渫を行う。小清河河口、虞河河口などの海に流れ込む河川の重点河口に対し、定期的に底質汚泥の浚渫を行い、専門の汚泥処理場を設けて、汚泥の処理を行う。

4、山東沿岸部の底質浚渫事業

山東省の黄河河口、小清河河口、広利河河口、東営港区などの重点地区において、底質汚泥浚渫工事計画を実施する。近場から遠い場所へと浚渫工事を進め、海域の生態環境の質を回復、改善する。

5、河北省の重点海域における底質汚泥浚渫工事

唐山沿海及び一部河口地区において、底質汚泥浚渫工事計画を実施する。国内外の底質汚泥浚渫に関する先進的な経験と技術を参考にし、浚渫エリアの海水及び底質が本来持つべき生態機能の回復を図る。

第七章 碧海行動実施における技術支援

我が国における海洋関連の環境科学研究は、海洋資源の開発・利用及び沿海の経済・社会発展水準に立ち遅れており、このことは、海洋環境汚染と生態破壊を引き起こす重大な要素の一つとなっている。故に、渤海碧海行動においては、区域及び区域を跨いだ重大かつ重点的な海洋関連の環境科学研究を重要な位置に置き、科学技術の進歩が海洋環境の改善に及ぼす役割を十分に発揮できるようにしなければならない。海洋関連の環境科学研究及び技術革新の強化を基礎として、環境マネジメントを強化し、経済発展と海洋環境及び資源の許容能力とのバランスと良性循環を促進する。

第一節 渤海環境災害監視・制御システムの研究、構築

海洋の自然災害及び人為災害に対する自動モニタリングの実施は海洋環境の科学的管理における重要な手段である。目下のところ、我が国の海洋汚染モニタリング活動は海洋の環境質の状況に対する一定の定性或いは定量評価が行えるのみであり、海洋環境保護活動の発展の需要に既に適応できなくなっている。こうした状況を改善するために、渤海碧海行動計画では以下の内容が求められる:

国の各部門及び環渤海の各地域におけるモニタリング、科学研究力の優位性を十分に発揮し、渤海沿岸の環境保護及び科学研究機関を組織し、標準技術及びハイテク(例:衛星、航空リモート・センシング、オンライン・リアルタイム自動観測システムなど)を十分に活用し、渤海の環境要素及び赤潮の災害監視・制御システムを研究、構築する。

海上の油流出及び赤潮の応急モニタリングシステムを確立し、既存の観測ステーションに対する技術改造を行い、設備の増設を図り、観測記録の自動リモート・センシング、情報伝送プログラム制御、コンピューターによるデータ処理を実現する。分析器具、交通手段、サンプリング設備など、必要とされる専門の海洋環境モニタリングシステム一式を配置し、当該システムの確立によって、海上の油流出、赤潮事故の応急対策、善後処理に科学的拠り所を提供する。

赤潮が頻発する地区(遼寧省の大連湾、遼東湾、山東省の濰坊市羊口、下営、央子、河北省の黄驊など)に複数の海洋水質観測ステーション及び人工、自動観測拠点を設け、海洋水質の汚染状況を随時把握し、赤潮の予報、警報、処理に関する研究を展開する。

第二節 渤海海域の環境マネジメントに関する政策決定サポートシステムの研究、確立

渤海における統一的な環境マネジメント情報システムの構築計画を実施し、県(各関連環境管理・観測末端組織を含む)、市、省、国家の4級渤海海域環境監理情報ネットワークの実現を図る。これによって、環境情報の収集、処理、分析、保存、評価、予測、政策決定、管理のインテリジェント化を実現させ、碧海行動計画の実施に技術面で強力な支援を提供する。

渤海海洋環境情報管理及び政策決定支援システムを確立することで、海洋管理、政策決定、海洋モニタリング、海洋災害及び応急モニタリングシステムなどの内容を含む、各級研究政府及び各部門間のコンピューター・ネットワークを実現し、環境管理部門が渤海海域の環境質の状況、変化の趨勢、既存及び潜在する環境問題を即時理解、把握できるようにし、海洋開発に関する政策決定、海洋環境管理、碧海行動計画の実施に科学的拠り所を提供する。

第三節 科学技術支援プロジェクト

一 優先プロジェクト

(一)海洋汚染抑制プロジェクト

1、窒素、リンなどの栄養物質に関する水質予測モデル及び環境容量管理モデルの確立

栄養物質、非栄養物質を研究対象とし、渤海の環境変異、物理的な自浄能力、渤海海域の水質モデル及び環境容量に関する研究を展開し、目標管理から容量・総量規制管理への転換実現に科学的拠り所を提供する。

2、海に注ぐ河川の汚染物に関する警報、予報システムの研究

リスクコントロールを目的として、水文と水質モデル及びリスク評価手段を利用し、海に注ぐ河川の汚染物の変化法則を研究し、汚染事故のリスクコントロール、環境災害管理に対して、海へ流入する汚染物の通量変化に関するリアルタイムの警報、予報手段を提供する。

3、非点源から海へ流入する汚染物に対するモニタリング技術及び通量推定方法の研究

地表水(雨水)、海洋養殖、大気降下物中汚染物質の発生及び移動の研究を基礎として、表流水の汚染、養殖による汚染、大気降下物起因汚染のモニタリング断面及びサンプリング・スポットの設置方法の確定、サンプル採集の分類、時系列配置、サンプル採集の道具(器具)と方法、サンプルの貯蔵、輸送及び分析方法、汚染物の分解と移動法則の掲示、海湾内の港に流入する主要汚染物の総量規制に関する技術研究の展開などを図るとともに、上述の研究を基礎として、非点源汚染物の海への流入量(主に窒素、リン)の推算モデルを構築する。

4、養殖によって生じる汚染の抑制技術及び有機廃棄物の資源化技術の研究

養殖システム自体の汚染に対するモニタリングシステムの確立・完全化、養殖システム自体の汚染に関する抑制技術の研究、無機栄養(貝類)と有機栄養(魚・エビ)の複合養殖システムの構築、水産廃棄物の総合利用の研究、水産廃棄物を含む養殖水産動物用配合飼料の応用及び水産廃棄物中の生物活性物質の抽出、養殖用の餌の改良研究・餌の利用率・転化率の向上、養殖廃水処理、養殖場における底質汚泥処理に関する研究――などを行う。

5、渤海海上の重大汚染事故応急情報システムの研究

  油田、海上採油プラットホームで生じる、石油の噴出、タンカーの座礁、タンカー又は有毒化学品を積んだ船舶の衝突による油流出或いは有毒化学品の漏れなどの重大災害及び突発事故に関する警報・予報、応急警備措置の研究に着手し、油流出或いは有毒化学品の漏れが発生する可能性がある部分、地点、時間などに対する詳細な資料及び情報バンクを構築する。確立すべき事故発生応急体系には、救援システム、事故応急環境モニタリングシステム、応急事故警備システムなどが含まれる。

6、海洋環境総合モニタリング技術の開発・応用研究

衛星、船舶、浮標、沿岸部観測拠点、水中観測拠点からなる、各種モニタリング技術が集成された技術システムを確立する。生物効果と生態効果を主とする総合効果モニタリング技術体系を構築する。海域環境災害追跡モニタリング・評価技術体系などを確立する。

(二)渤海の生態系の変化及び損傷を受けた生態系の回復研究事業プロジェクト

1、渤海の生態系健康度に評価指標体系及び生態機能区分

(1)指標的な生物学的パラメータ及び基準の確立。指標的な生物学的パラメータの選別と評価、指標的な生物学的パラメータの生物的水質評価における応用、生物学的水質判定基準の確立を含む。

(2)生態系の安全状況を示す構造性指標の評価。生物多様性の状況、重要生物類群の構造及び数量の変動(種群の数の変動、優位種の交替など)、特定区域の代表的経済生物の発生状況と質、赤潮の勃発頻度などを含む。

(3)生態系の安全状況を示す機能性指標の評価。生産力水準の変動、生態系のエネルギー流動経路の安全性と物質循環の安定性、食物連鎖の安定性と複雑性、生物過程と非生物過程の連結の安定性、生態系自身の調整能力及び自浄能力などを含む。

(4)損傷を受けた生態系の回復評価指標。回復評価指標体系の選別と構築、重要な生態機能区のサービス機能の回復状況に関する評価、渤海の生態機能区の区画及び持続可能な発展能力などを含む。

2、黄河など、海に注ぐ表流水が需要生態機能区に及ぼす影響

黄河の水枯れが黄河河口外の生態系に及ぼす危害、渤海による黄河の海への許容可能な範囲内での最小流量への需要に関する研究を重点的に行う。

3、渤海の損傷を受けた生態系の整備・修復

研究内容には以下が含まれる:海岸帯の修復、黄河河口の湿地の生態回復、遼河河口の湿地の生物多様性の保護及び生態回復、汚染が深刻なエリアにおける底質汚染整備、典型的な退化が見られる養殖及び漁業における生態系の修復・再建の技術。養殖システムの環境質のエコ技術と最適化技術。海洋養殖におけるクリーナプロダクション工程。漁業水域の環境容量の評価体系と方法。退化した天然漁場の環境整備と生態修復技術。漁業における汚染環境の影響を受けた生物の回復技術。無害化が図られる微生物による海洋汚染の改善方法と技術。その他の生物学的整備・回復方法など。

二 重点プロジェクト

(一)海上汚染源の抑制プロジェクト

1、海上汚染源抑制技術の研究

研究内容には以下が含まれる:船舶バラスト水の主成分及び毒性反応。バラスト水の無害化処理技術。事故による油流出の移動プロセスと環境への影響。油流出災害の予測及び応急処置システム。投棄物からの溶解物質の移流プロセスと環境への影響。投棄物の影響予測と制御技術など。

2、海上移動汚染源の監視・予測事業の研究

海上移動汚染源の発生法則に関する研究とリモートセンシング技術、航空測量技術、超音波技術など、現代科学技術手段による移動汚染源に対する監視・予測及び研究を行い、渤海海域海上の移動汚染源に対する監視・予測システムの確立及び建設に関するプランを打ち出す。

3、大気降下物(窒素、リン)抑制対策研究

研究内容には以下が含まれる:大気降下物の本源、組成、分布及びその窒素、リン含有量水準のモニタリング及び研究。大気の重点汚染源のうち、窒素酸化物、リン化合物の整備技術及び大気中の窒素酸化物、リン化合物の自浄作用に関する研究。大気降下物の移動軌道に関する研究。大気降下物と海洋環境の質との呼応関係に関する研究。渤海海水に汚染をもたらす大気降下物の整備案に関する研究。大気降下物(窒素、リン、環境ホルモンなどの汚染物質)抑制技術の研究。

4、渤海の富栄養化及び赤潮危害の対策と処置技術に関する研究

研究内容には以下が含まれる:渤海の各海域のN、P汚染物質に対するの環境容量。富栄養化水体の浄化技術。渤海海域の有毒赤潮危害、及びその緩和技術に関する研究。渤海の赤潮に対する生物学的生態動力学モデル。渤海における有害な赤潮の勃発のシュミレーションと予測。広範囲に及ぶ赤潮の整備及び応急処置技術に関する研究など。

5、病原生物及び貝毒のモニタリング及び警報システムのカギとなる技術の研究

研究内容には以下が含まれる:海洋病原生物のウイルス、細菌、真菌、原生動物など、汚損生物のモニタリング技術方法の確立。海洋水産物に対する衛生管理基準の制定。海洋生態系の安全状況を示す評価方法と基準の構築。重大な海洋生態的災害(赤潮毒素、養殖病害など)に対するモニタリング及び予報・警報モデルシステムの確立。

(二)生態保護プロジェクト

1、人類活動が渤海の生態系の安全に及ぼす影響と評価

研究内容には以下が含まれる:海洋環境中の典型的な汚染物質による海洋生物への汚染拡散及び生態的呼応。海洋開発活動など、非汚染要素の海洋生態系に対する影響及び評価。漁業・漁労活動による海洋生物資源及び海洋生態系への負荷など。

2、渤海の典型的生態機能区の退化プロセスとメカニズムに関する研究

研究内容には以下が含まれる:典型的生態機能区の環境の退化プロセス及びその原因の識別。典型的生態機能区における生態学的動力学モデルの構築及び発展予測。生態系および生息環境条件に基づく管理情報システムの構築。

3、海洋の物理的汚染による海洋生態に及ぼす影響の研究

現在、我が国の海洋の物理的汚染に関する研究は依然として、スタート段階にあり、動力装置による汚染、熱汚染、騒音汚染、光汚染、電(磁気)波による汚染などの分野おける研究を強化し、海洋の物理的汚染の現状を理解しなければならない。このほか、各海区の海洋物理的汚染の形式、影響程度及びその趨勢の明確化、海洋の物理的汚染の予防及び抑制対策の提起、海洋の物理的汚染の長期にわたる定点観測及び評価の展開を図る必要がある。

第八章 環境モニタリング行動計画

モニタリングを先行させることによって、海へ流入する汚染物総量及び渤海の汚染状況の正確な把握に努め、行動計画の実行及び継続発展に強固な基礎を提供することを出発点とし、渤海碧海行動計画の各段階における実施効果の即時、正確、全面的な反映を主な手がかりとして、渤海沿岸海域の環境機能区の需要及び既存のモニタリング基盤と結び付け、相応のモニタリング拠点を選択し、その配置場所の最適化を図り、モニタリング項目及びプログラムを合理的に配置し、科学的なモニタリング計画を制定し、渤海碧海行動計画に技術支援及び政策決定の拠り所を提供する。これと同時に、新たな世紀、現代化に向かい、リモートセンシング、自動テスティングなどの先進技術を把握、利用し、モニタリング手段の現代化を徐々に実現し、渤海の水環境の時空間変化をより一層効果的に把握する。

第一節 2001~2005年・環境モニタリング行動計画

一 行動目標

渤海碧海行動計画における環境モニタリング規範を編成し、渤海碧海行動計画の環境モニタリング・プログラムを構築し、その運用を開始し、モニタリング拠点の配置調整の最適化を完了する。

陸域工業汚染源の主要汚染物の基準をクリアした排出状況を監視・抑制する。対象地域に流入する陸域の河川、重点陸域汚染源が海に流入する河口、海上汚染源及び海に流入する流入量の規制断面の水質状況に対する評価を行い、制御可能な海へ流入する点源及び非点源における主要汚染物の排出総量を初歩的に把握する。

海洋の環境の質と趨勢に対するモニタリング及び渤海海岸帯の生態モニタリングの試行活動を展開する。

渤海碧海行動計画の実施要求に基づき、特定プロジェクトによるモニタリング試験活動を行う。

既存の環境モニタリング条件及びデータ資源の利用可能度に対する評価を行い、環境モニタリングをめぐるキャパシティビルディング案を確定する。

渤海碧海行動計画の実施における初期効果に関する調査を行う。

海へ流入する主な点源に対する水質自動モニタリングを実現する。

二 行動計画

(一)渤海碧海行動計画の環境モニタリング規範の編成

関係法規、基準、モニタリング方法を参照し、渤海碧海行動計画における環境モニタリング規範を編成する。同規範では、異なる類型の拠点におけるモニタリング項目、サンプリング・分析方法、モニタリング頻度を確定しなければならない(表8-1参照)。また、同規範は各省・市及び部門が環境モニタリング計画を実施する上での技術面での拠り所となる。

(二)モニタリング拠点の最適化

 汚染源の汚染排出状況、渤海の環境質及び生態環境を全面的かつ正確に理解、把握し、渤海碧海行動計画の実施効果を正確に評価するために、渤海碧海行動計画によって確定される環境機能区、汚染抑制地帯、汚染抑制区及び抑制ユニットの条件に基づき、環境モニタリング行動に関する実際経験と結び付け、2002年末までに、環境モニタリング拠点の配置最適化作業を完了する。4種類の環境モニタリング拠点の設置数については、表8-2を参照のこと。

表8-1 渤海碧海行動計画における環境モニタリング規範の主な内容

 

モニタリング拠点類型

 

汚染源の監視・制御

環境質の状況

生態環境の質

特別モニタリング

主要モニタリング対象

陸域汚染源

13市に流れ込む河川の断面

入海控制断面

陸上汚染源の直接排出口

海上汚染源

環境機能区制御ポイント

海洋環境断面

環境趨勢観測拠点

砂浜生物

水生生物

底生生物

魚類及び水産資源

油流出

赤潮

海上交通及び軍艦

自然災害の影響

主要モニタリング項目

窒素、リン、COD、石油、汚水量

相応の水質指標、溶解窒素、温度、塩度、水文(夏季の水位別サンプリング)

一次生産力、生物量、生物密度、優勢種及び個体状況

石油、クロロフィルa、藻類、大気降下物、気象及び関連水質指標

モニタリング頻度

水量の変動期或いは季節ごと

水量の変動期或いは季節ごと

毎年春季或いは秋季

定期或いはランダム

主要モニタリング地点

陸域、沿岸及び一部海域

環境機能区内或いは離岸流調査海域

生物生息地或いは資源集中地

汚染、事故、災害などが多発する海域

注:拠点の連続モニタリング頻度はリアルタイムで行う。

渤海碧海行動における環境モニタリング拠点配置の最適化の基本原則は次の通り:渤海全体に着眼し、既存の拠点を十分に活用し、全局について統一的計画・手配し、全面的な調整、合理的な配置を行う。重点海域、自然保護区、生態敏感区、重点都市の近隣海域、重点港湾、船舶などの航行が密集している水路などの特殊水域に重点を置き、対象地域内では多くの拠点を配置し、地域外では少なめに配置するという原則に基づき、環境モニタリング拠点の合理的な配置と最適化を図る。沿岸海域の環境機能区を基礎とし、各種環境機能区の水環境の質及びその変化法則の全面的な把握を目標として、モニタリング拠点を確定する。石油プラットホーム生産区、海産物養殖区、海上船舶集中作業・停泊区の周辺海域にモニタリング拠点を配置し、これら生産・輸送活動が海域の水環境の質に及ぼす影響を把握する。環境と経済の最も理想的な組み合わせを図るという原則に基づき、異なる類型の拠点を同位置に置くことも含めて、モニタリング拠点の配置の最適化を図る。

(三)モニタリングプログラムの開始

モニタリング規範の要求(条件)に基づき、2001年から、関連拠点において、モニタリングプログラムの適用を開始する。データ及び経験総括を直ちにまとめるとともに、発見した問題を関係部門に随時報告する。2002年末までに、モニタリングプログラムの調整を完了する。

(四)陸域工業汚染源の主要汚染物の排出基準達成に関する監視・抑制

13市の重点汚染源における主要汚染物の排出基準達成状況に対して、監督、制御、モニタリングを実施する。

表8-2 環境モニタリング拠点の分類統計

拠点類型

モニタリング対象

省・市

合計

遼寧

河北

天津

山東

汚染源

海への流入量規制断面

22

18

12

22

74

 

境界内に流入する河川の流量断面

6

4

11

9

30

 

重点陸上汚染源の海への流入口

11

2

6

26

45

 

海上汚染源

10

10

3

10

33

環境質

環境機能区の水質規制スポット

136

38

20

84

278

 

環境質量趨勢観測拠点

5

5

5

5

20

 

海洋環境断面₁₎

生態環境質₂₎

 砂浜生物

5

3

1

4

13

 

 水生生物

5

3

1

4

13

 

 底生生物

5

3

1

4

13

 

 魚類・水産資源

1

1

1

1

4

特別モニタリング₃₎

 油流出

 

 赤潮

 

 海上交通

合計

206

87

61

169

523

注:1)海洋環境モニタリング断面は渤海の海洋動力学の条件に基づき、別途確定する。

2)魚類及び水産資源を各省・市所轄の魚類産卵場に基づいて計算するのを除き、その他の生態環境の質は13市都市に基づいて計算する。

3)特別モニタリング拠点はモニタリング対象が出現する位置に基づいて、ランダムに確定する。

(五)渤海の海上汚染源の汚水排出基準達成に対するモニタリング

海上船舶及びその関連作業、石油プラットホームによる汚水排出に対して、監督、抑制、モニタリングを実施する。

(六)陸域、海域の環境状況に関する検査・モニタリングの全面的な展開

陸上起因汚染物の海への排出総量及び環渤海13市の沿岸海域における環境機能区の水質状況に対する更なる理解、把握を図り、現行の環境モニタリングを基礎として、2001年から、渤海に注ぐ直接排出口、混合排出口、海に流入する河口、市政下水道排水口及び渤海沿岸海域の環境機能区121ヵ所、混合区18ヵ所に対して、陸・海環境モニタリングを実施する。陸上発生源に対するモニタリング指標は窒素、リン、COD、石油類、特殊な汚染物、流量とする。沿岸海域の環境機能区の水質モニタリング指標は無機体窒素、活性リン酸塩、過マンガン酸塩指数、石油類、鉛、六価クロム、カドミウム、砒素、水銀、シアン化物などとする(表8-3参照)。

(七)その他の類型に対する環境モニタリング試験活動の展開

海洋環境の質と趨勢の予測、渤海海岸帯の生態及び特別拠点において、環境モニタリング試験活動を展開し、資料の蓄積、業務経験の探求を図る。試行活動には、環境条件指標、生物種群指標、生物量指標、生物多様性指標、環境質指標など、複数の指標による生態モニタリング及び評価指標体系のほか、渤海海岸帯における生態モニタリング試行活動の展開が含まれる。

表8-3 各省・市の制御可能な重点点源モニタリング拠点数 単位:ヵ所

省・市

海に流入する河口

直接排出口の数

混合排出口の数

市政下水道排水口の数

主要モニタリング指標

遼寧

9

53

29

19

窒素、リン、COD、石油類、特殊な汚染物、流量

河北

8

2

15

2

天津

3

1

4

3

 

山東

11

20

30

12

 

合計

31

76

78

36

(八)既存のモニタリング条件とデータの利用可能性に対する評価、環境モニタリングをめぐるキャパシティビルディング案の確定

既存のモニタリング条件とデータの利用可能性に対する十分な評価を基礎として、以下に挙げる状況確定に基づき、環境モニタリング能力の向上プランを確定する。

普遍的に立ち遅れており、かつ老化している、渤海碧海行動計画による環境モニタリング条件を完全に満たすことが不可能な海洋専用モニタリング計器・設備について、更新、補充を図る。前期の重点はサンプリング設備、実験室の科学分析計器・設備及びモニタリング情報伝送システムに置く。

モニタリングに必要とされる作業条件を補充、増設する。例えば、陸域及び海域のモニタリングで応用されるリモートセンシング技術、海洋の大気降下物測量、地上での自動モニタリングステーションの構築などが挙げられる。

渤海碧海行動計画における環境モニタリング情報に対する統一管理、総合分析を強化する。中でも、赤潮に対するモニタリング能力を強化する必要がある。

衛星リモートセンシング技術を環境モニタリング行動計画に取り入れる。全国の環境質データベースを基礎とし、渤海碧海行動計画における実際需要と結合させて、充実化及び補充を図り、GISに基づく渤海碧海行動における環境モニタリング及び動態管理データベースを構築する。

(九)渤海沿岸海域の環境機能区の基準達成に関するモニタリング

本段階においては、渤海の環境質に対するモニタリングを強化する。重点モニタリング区域は渤海沿岸海域の環境機能区121ヵ所及び混合区18ヵ所とし、沿岸海域の環境機能区の水質変化の法則を分析し、渤海の環境質の変化・趨勢を予測する。

(十)モニタリングを経て排出基準達成後の点源による海に流入する汚染物の排出総量

 直接排出口、混合排出口、河川の海への流入口、市政下水道排水口、海上船舶、石油プラットホームなどから海へ排出される主要汚染物の排出総量について、引き続きモニタリングを行い、海域の環境質に対するモニタリング結果と結び付け、汚染排出と海洋の環境質との間の呼応関係を確定する。

(十一)重点河口及び制御可能な点源の海への流入口における水質自動モニタリングシステムの構築

陸上に起因する主要汚染物の海への流入総量に対する、即時かつ的確な理解、把握を徐々に実現し、重要点源に対する連続監視、制御を行う必要がある。2005年までに、主要河川の海への流入口(遼河、大遼河、大凌河、灤河、海河、黄河、小清河の河口7ヵ所)及び重要点源の海への流入口(関連直接排出口、混合排出口、市政下水道排水口10ヵ所)において、水質自動モニタリングシステムの試行作業を展開する。合計17個の水質自動モニタリングシステムを設置するとともに、モニタリングの比較試験研究も行う。

(十二)渤海生態モニタリング・ネットワークの確立、渤海海岸帯の生態モニタリング活動の展開

渤海生態モニタリング・ネットワークを構築するとともに、渤海の生態モニタリングと評価指標体系の検証及び試験活動を基礎として、生態モニタリング活動を展開する。

(十三)赤潮、油流出など、突発的な環境災害に関する応急特別モニタリング活動の強化

赤潮、油流出など、環境災害の多発地区及び潜在的に危険を有する地区のモニタリング管理活動を強化し、応急特別モニタリング作業人員の充実化を図り、経費を増やし、応急モニタリング訓練の手配を適切に行わなければならない。

三 経費予算

 2001~2005年、渤海碧海行動計画における環境モニタリング活動の開始と展開をめぐり、1億963万元の投入が必要とされる(表8-4参照)。

表8-4 2001~2005年・環境モニタリング経費見積 単位:万元

項目類型

使用地点

合計

遼寧省

河北省

津市

山東省

モニタリングセンター

実験室キャパシティビルディング

640

270

862

410

200

2382

海岸帯生態モニタリング

450

435

440

265

175

1765

情報システム構築

88

50

100

105

188

531

技術訓練

65

55

58

90

135

403

モニタリング業務補助

1112

472

268

880

600

3332

水質自動モニタリングシステム

900

450

450

750

2550

合計

3255

1732

2178

2500

1298

10963

第二節 2006~2010年・環境モニタリング行動計画

一 行動目標

渤海碧海行動の短期、中期の実施効果に対する評価。

非点源汚染物の海への流入状況に対する初歩的な分析。

海洋の生態状況、環境質、汚染源の三者間の内在関係の分析。

渤海の環境、事故、災害モニタリング監視システムの確立。

二 行動計画

(一)渤海沿岸海域の環境機能区の基準達成に関するモニタリング

2005年時点の目標達成を基礎として、2006年から、渤海沿岸海域の環境機能区121ヵ所及び混合区18ヵ所のモニタリング拠点で水質連続モニタリングを開始し、渤海碧海行動の中期実施効果に対する評価を行う。

(二)点源から海へ流入する汚染物の排出総量に対するモニタリングの継続実施

2005年時点の目標達成を基礎として、2006年から、渤海に通じる直接排出口、混合排出口、海への流入口、市政下水道排水口、海上船舶、石油プラットホームから生じる主要汚染物の海への排出総量に対して、年度ごとのモニタリングを実施する。

(三)非点源から海へ流入する汚染物に対するモニタリング研究及び試行活動の展開

2006年から、渤海の非点源(海水養殖を含む)の海への汚染流入に対するモニタリング研究を開始する。リモートセンシング、GISなどの新技術を運用し、非点源汚染モニタリング指標体系及び評価モデルを構築するとともに、環渤海の13市から代表性を持つ2~3ヵ所の典型的な区域を選択し、モデルモニタリング研究を行う。

(四)重点河口及び制御が可能な点源の海へ流入する水に関する水質自動モニタリングシステムの確立

17ヵ所の水質自動モニタリングシステムの試験運用を基礎として、水質自動モニタリングシステムを30ヵ所増設する。設置場所別の内訳は、河口10ヵ所、陸上汚染源の海への主な流入口20ヵ所。

(五)渤海の環境、事故、災害モニタリング、監視システム研究の開始

渤海碧海行動計画の実施をめぐる需要に合わせ、渤海の環境、事故、災害モニタリング、監視システムの研究作業を開始する。

(六)渤海の生態モニタリングの展開

生態モニタリングと評価指標体系の研究及びモデル研究を基礎として、リモートセンシングや地理情報システムなどの先進的な技術・手段を運用し、渤海で定期的、連続的な生態モニタリング活動を全面的に展開する。渤海碧海行動の実施効果及び渤海の生態系の回復状況を全面的、客観的に反映するために、効果的な技術面での支援を提供する。

(七)渤海碧海行動の生態・環境第1次総合調査の実施

渤海碧海行動の初期実施効果を全面的に理解し、整備措置を適時調整するために、長年にわたる定例の環境モニタリング及び関連科学研究成果を基礎として、渤海碧海行動の生態・環境第1次総合調査を行う。“渤海碧海行動環境総合調査方案”を制定し、2006年に実施する。

(八)海に流入する汚染物の水質予測、予報に関する研究の展開

定例の環境モニタリング、水質自動モニタリングシステム試行、渤海碧海行動の環境モニタリング及び動的管理データバンクを基礎とし、非栄養物質を研究対象として、海へ注ぐ河川の主要汚染物の水質モデル及び予測モデルを確立し、海へ注ぐ河川の排出状況、中でも非点源排出状況及び水産養殖排出頻度に関する推算を行い、非点源汚染物の動的変化の状況を把握し、目標総量管理から容量総量管理への転換実現に科学的根拠を提供する。

 

三 経費予算

2006~2010年、渤海碧海行動計画における環境モニタリングの実施に、1億2,869万元が必要とされる(表8-5参照)。

表8-5 2006~2010年・環境モニタリング経費見積 単位:万元

項目類型

使用地点

合計

遼寧省

河北省

津市

山東省

モニタリングセンター

水質自動モニタリングシステム

1200

600

1050

1650

 

4500

非点源モニタリングモデル

150

150

 

150

 

450

環境調査

305

208

200

310

220

1243

技術訓練

75

50

55

75

50

305

応急モニタリングシステム構築

300

210

225

280

1000

2015

モニタリング業務補助

1410

638

654

1104

550

4356

合計

3440

1856

2184

3569

1820

12869

第三節 2011~2015年・環境モニタリング行動綱要

一 行動目標

渤海碧海行動の中期、後期の実施効果を全面的かつ正確に理解、掌握する。

非点源から排出される汚染物の海への流入状況を基本的に把握する。

渤海の環境、事故、災害に関する予測、予報を初歩的に実現する。

二 行動計画綱要

(一)渤海沿岸海域の環境機能区の基準達成に関するモニタリング

2010年時点の実現目標を基礎として、渤海における水質変化法則の総合分析、渤海碧海行動計画の後期実施効果の評価を行い、沿岸海域の環境機能区の調整に信頼できる根拠を提供する。

(二)点源から海へ流入する汚染物の排出総量に対するモニタリングの継続実施

2010年時点の目標達成を基礎として、2011年から、渤海に通じる直接排出口、混合排出口、河川の海への流入口、市政下水道排出口、海上船舶、石油プラットホームから生じる主要汚染物の海への排出総量に対して、年度ごとのモニタリングを引き続き実施する。

(三)非点源から海へ流入する汚染物に対するモニタリング

2010年時点の非点源モニタリング及びモデル研究を基礎として、環渤海13市で非点源の定例モニタリングを実現する。

(四)河川及び各種陸上汚染源の海への流入口に対する水質自動モニタリングシステムの確立

 2010年時点で47の水質自動モニタリングシステムを建設する上で、すべての河口、汚染源の排出口で水質自動モニタリングを実現する。

(五)渤海の環境、事故、災害予測、予報システムの確立

環境事故及び環境災害多発地区における監視・制御の需要に的を絞り、相応の予測・予報システムを構築し、監視を行う。

(六)渤海碧海行動の環境に関する総合調査の再実施

渤海の総合整備及び生態保護を更に推進し、渤海碧海行動の中期実施効果の全面的な反映、評価を行う。“第2次渤海碧海行動環境総合調査方案”を制定し、2011年に実施する。

第九章 実施組織と監督・検査

第一節 組織・指導の強化、渤海環境保護目標責任制の実行

一 渤海碧海行動における組織協調の強化

渤海碧海行動における組織協調、指導、検査・監督を強化するために、国務院による授権及び認可の下、既存の渤海碧海行動計画聯席会議を基礎として、国家環境保護総局が陣頭に立ち、国家海洋局などの国務院関係部門及び3省1市の政府共同による、地域や部門を超えた渤海碧海行動指導協調機構の設立を提案する。同機構には渤海碧海行動事務室を設け、日常管理や情報交換、連絡・協調などの具体的な事務を請け負う。

二 渤海環境保護行政指導責任制の実行

(一)沿海地方各級政府は国が制定する渤海碧海行動計画の目標及び任務に基づき、現地の環境質の情況と結び付け、現地における各年度の具体的な実施計画を制定しなければならない。海に流入する汚染物の排出総量規制、沿岸海域の環境質の具体目標及び措置を現地政府の活動計画及び国民経済・社会発展計画に組み込み、関係部門の実施を組織する。

(二)上流域及び沿海の地方各級政府は碧海行動計画に基づき、沿岸海域と上流域の環境保護目標によって求められる条件について、統一的に配慮し、河口の水質目標及び窒素、リンなど、海へ流入する主要汚染物の総量規制に基づき、省(市)の境、地区(市)の境における断面の水質目標と総量規制指標をめぐって互いに協力し、これを達成しなければならない。地区(市)を跨いで海に注ぐ河川については、省(市)が協調して指導に当たり、省(市)を跨いで海に注ぐ河川については、国が指導協調するとともに、流域の水質汚濁防止計画に組み入れる。

(三)沿海の地方各級政府は海洋環境保護の任務と職責に基づき、海洋環境保護機構の健全化、海洋環境関連の法執行末端組織の構築強化を図り、法執行の度合いを強めなければならない。沿海の各省、市の環境保護部門はすべて海洋環境管理機構を設け、沿海の県及び県級市の環境保護部門はすべて海洋環境管理専門人員を配置しなければならない。海洋、海事、漁業部門はいずれも各自の職責及び情況に基づき、海洋環境管理機構の健全化を図らなければならない。海洋環境管理手段の不足、モニタリング及び監視水準の低さ、技術・装備の立ち遅れなどの局面を早急に打開するために措置を講じ、海洋環境管理の現代化水準を高め、監督及び管理能力が渤海碧海行動の要求に適応するようにしなけれならない。

(四)沿海の地方各級政府は地元行政区の碧海行動に対する統一的な指導を確実に強化し、各部門、各組織の力を十分に発揮し、沿岸海域の環境質の改善を計画的、段階的に図り、国民の健康を保護し、海洋生態環境に有利な影響を及ぼす各種建設・整備活動を行わなければならない。沿岸海域の環境汚染及び生態破壊に関する問題を積極的に解決し、海洋環境と経済、社会の協調発展を徐々に実現する。

第二節 法整備の度合いの拡大、渤海における環境管理の厳格化

一 法整備の強化、地域性の海洋環境保護法規体系の確立と完全化

(一)《渤海環境保護管理条例》を制定し、渤海碧海行動の推進と保障に、鮮明な地域的特徴を持つ基本法規・規範を提供する。

(二)海に関わる環境基準体系の更なる充実を図る。2005年までに、“漁船汚水排出基準”、“海水養殖池排水基準”、“底質沈積物汚染評価基準”、“海洋生物体内汚染物評価基準”などの基準を完成し、海洋の環境基準体系における空白を補わなければならない。

(三)“渤海船舶汚染物排出管理規定”、“渤海沿岸における砂の掘り起こし・採取管理規定”、“渤海漁業資源保護管理規定”、“渤海漁業水域生態環境保護管理規定”、“渤海沿海地域における有リン洗剤の生産・販売禁止管理方法”、“渤海における生物種導入規定”、“沿海重点企業における汚染事故応急計画制定方法”などの部門別規則を可及的速やかに制定する。

(四)沿海3省1市及び《立法法》の規定に基づく立法権を有する市は、国が制定する海洋環境及び資源保護の法律、行政法規、地元行政区の沿岸海域の環境質の状況に従い、地方における海洋環境保護関連の立法を強化し、渤海碧海行動について、従うべき法律、規則が存在するという状況を保証しなければならない。

二 政策措置の制定、環境管理の強化

環渤海地域の環境管理の度合いを強化し、渤海の生態環境を保護するために、本計画では行動計画の重要な構成部分として、以下に挙げる主要措置を提起する。

(一)各地は海洋産業発展計画を制定する際、第1次産業の適度な発展、第2次、第3次産業の重点的な発展を図るようにしなければならない。

(二)2002年1月1日までに、環渤海13市で無リン洗剤の全面的な使用普及を図り、有リン洗剤の販売・使用を禁止する。

(三)2002年に、環渤海13市における農薬、化学肥料汚染重点規制県・区名リストを公表し、規制指標を打ち出し、規制任務を明確にし、相応の規則を制定する。化学肥料、農薬、家畜・家禽の飼養など、非点源汚染区域で総合防止・整備モデルを展開する。

(四)環渤海地域の家畜・家禽の集約化された飼養場については、家禽・家畜飼養業の汚染物排出基準の要求に厳格に従い、2002年末までに排出基準を達成しなければならない。

(五)2001年から、新設の都市汚水処理施設は比較的高い脱窒素、脱リン能力を備えた工程を採用しなければならない。既存の汚水処理場は条件を作り出し、効率を高めること。

(六)環渤海13市については、海岸帯において、分離帯或いは生態保護区を各地の状況に応じて画定し、分離帯或いは保護区内での砂の採取、養殖、耕地の開墾、植生の破壊などの行為を禁止する。新規の建設プロジェクトの展開及び観光施設の建設を行ってはならない。開墾済みの土地については、徐々に耕作を停止し、完成済みの建設プロジェクト及び観光施設については、排出基準の全面達成を実現するものとし、基準を達成できない場合は期限を定めて、“閉鎖、操業停止、合併、転業”しなければならない。

(七)国が制定する“エコツーリズム管理方法”に基づき、エコツーリズムのモデル構築、環渤海地域におけるエコツーリズムの健全な発展の推進を図る。観光をめぐる環境管理の強化、景勝区内の観光設備の建設に対する厳格なコントロール、観光エリアの汚水、ゴミ処理率の向上を図り、旅行業の発展、旅行関連人員の増加に努め、観光による汚染を増やさないようにする。観光収入の一部を生態の回復・整備、汚染処理施設の建設に充てなければならない。

(八)国が公布・実施する小都市建設をめぐる環境保護計画指導細則に基づき、環渤海13市において郷鎮工業団地の建設と汚染の集中規制を行い、環境インフラ整備を強化する。重点水域及び重点種の生息地を保護し、樹木や草の被覆率を高め、庭園式の住宅区を建設し、小都市における環境保護・整備モデルを構築する。

(九)2001年末までに、海上石油プラットホームの含油廃水について、排出基準を達成し、ボーリングの際のオイルベースマッドの使用を禁止する。

(十)2001年から、渤海における海洋廃棄物投棄エリアの新設を厳格にコントロールする。渤海内の既存の海洋廃棄物投棄エリアについては、整備・調整、評価を行う。海洋の生態系に明らかな影響を及ぼすエリアについては、2005年までにすべて使用禁止、閉鎖する。新たに廃棄物投棄エリアを設ける必要がある場合は、規準に照らして厳格な検査を行い、監督・管理を強化しなければならない。

(十一)水産養殖面積及び密度については、適度なコントロールを行い、沿岸海水への直接施肥を段階的に禁止する。海洋水産養殖区を新設する場合は、環境影響評価を行わなければならない。

(十二)2005年までに、すべての港湾で含油汚水受入・処理施設が計画的に建設されなければならない。

(十三)2003年までに、《船舶バラスト水排出管理規程》を起草、制定する。

(十四)2005年までに、大・中型漁船に油水分離器を取り付け、排出基準の達成を実現する。

(十五)船舶から排出されるゴミの管理を厳格に行い、2005年までに重点港湾においてゴミの受入施設を建設すること。

第三節 監督・管理の強化、総量規制制度の実施

一 監督・検査制度の確立、監督・管理の強化

(一)国家環境保護総局は監察部及びその他の関連部門と共同で、渤海碧海行動計画の実施状況に対して検査を行わなければならない。環渤海の各級人民政府は渤海碧海行動計画が確定した目標及び任務の達成状況を政府活動報告に組み入れ、同級の人民代表大会及び一級上の政府に報告すること。

(二)環状渤海の各級環境保護部門は計画中の整備プロジェクトに対して、厳格な監督・管理を行うこと。中でも、閉鎖・操業停止企業に対する監督・制御を強化し、汚染の再度発生を防止しなければならない。同時に、環境モニタリングの結果に対する分析及び評価を強化し、異常な状況については直ちに原因分析を行い、環境をめぐる政策決定に根拠となるデータを提供し、渤海碧海行動計画が円滑に実施できるようにしなければならない。

二 汚染物の排出総量規制など、各種環境管理制度の実施強化

(一)渤海の汚染物の発生源は、工業廃水、生活廃水、農業非点源、家畜・家禽の飼養、水産養殖、水上交通・輸送、大気降下物など多方面にわたり、総合整備による総量規制を実施して初めて、渤海の保護という目的を実現することができる。故に、環渤海地域における“一控双達標[18] ”の実現を基礎とした、《海洋環境保護法》の規定と碧海行動計画の要求に基づく、(渤海へ流入する)陸上起因汚染物の排出総量規制制度の確立及び実施は沿岸海域の水環境の質を保護する上でカギとなる事項である。海へ流入する汚染物の総量規制は点源から着手し、非点源へと徐々に拡大していく。CODの制御のほか、窒素、リンにも拡大していかなければならない。目標総量規制の実行から開始し、条件が整った時点で、容量総量規制へ転換する。

(二)クリーナプロダクションの積極的な普及を図り、排出基準の達成を実現した後、排出総量について条件を満たすことができない企業については、クリーナプロダクション、生態工程などの措置を通じて、汚染物排出の更なる減少を図らなければならない。

(三)各種環境管理制度を厳格に執行する。中でも、“環境アセスメント”及び“三同時”制度[19] の強化に努め、期限内での整備を義務付ける制度を実施し、違反者については法的責任を厳しく追及する。

(四)沿海海域の環境機能区の区画を厳格に執行する。沿岸海域内で航行、探査、開発、生産、観光、科学研究及びその他の活動に従事する、或いは沿岸陸域内で沿岸海域の環境活動に影響を及ぼすすべての組織及び個人は、沿岸海域の環境機能区の区画に関する要求に適合していなければならない。沿海の各級政府は沿岸海域の環境機能区に対する管理を法に従って強化し、如何なる組織及び個人による沿岸海域の環境機能区に対するむやみな区画変更を禁止し、効果的な措置を講じて沿岸海域の環境質の改善を図らなければならない。

第四節 資金調達と投資政策

行動計画の実施に必要とされる資金の効果的な投入、各地域、各部門の密接な協力、整備責任及び資金については、国、地方、部門及び各経済実体が共同で責任を負うものとする。

一 資金構成

 行動計画の総投資額は555億元(海河、遼河プロジェクトに対する投資額88億7,400万元を含む)に上り、資金は都市部汚水処理施設の建設、船舶・港湾の環境保護施設、石油プラットホームの汚染抑制、環境保全型漁業、非点源汚染の抑制、生態モデル区の建設、海上汚染応急事業及び技術支援体系などの分野に充てられる。各分野の投資比率は図9-1及び表9-1を参照のこと。工業汚染源の制御における責任の主体は企業であり、各地政府は管理・監督責任に関する職権を行使し、“汚染者負担”の原則に基づき、企業が国の環境基準要求に基づいて期限内に汚染抑制任務を達成するようにしなければならない。現時点の流域計画は既に大部分の工業汚染源の整備に対する投資が反映されていることから、渤海碧海行動計画では工業汚染源の整備に関する投資を組み入れないこととする。

二 投資政策

(一)重点投資先は次の通り:渤海に対して深刻な影響を及ぼしている重点流域(遼河、海河、黄河の主要水系及び小清河、五里河など)、地域の環境総合整備及び重点都市(天津、秦皇島、唐山、滄州、葫蘆島、錦州、盤錦、営口、大連、濱州、東営、濰坊、煙台)の環境インフラ建設。重点汚染源(点源、非点源)の整備及び“三廃”の総合利用関連事業。

(二)行動計画の整備プロジェクトには国家と地方の基本建設及び技術改造計画を組み入れ、関係地域及び企業でそれぞれ実施に移し、3省1市の整備事業に対する投資について、類別に見積もりを行う。

(三)整備投資は明確な目標、統一的な計画、プロジェクトの確定・実施、段階的な実施、地方(企業)による投資を中心とするという原則に従わなければならない。

(四)“汚染者負担”及び“被害者への補償”の原則に基づき、環境保護投資を奨励する優遇政策を制定する。

(五)汚染物排出費徴収制度の改革を深め、海洋汚染物総量費用徴収制度を試験的に実施する。

(六)国務院による汚水処理の実施及び都市生活ゴミ処理費用徴収制度に関する決定に基づき、汚水処理及び都市生活ゴミ処理費用徴収制度の全面的な普及を図り、危険廃棄物処理をめぐる費用の徴収を試験的に実施する。

(七)関連財政・税制優遇政策を制定、実施し、クリーナプロダクションの支援・促進を図り、引き続き、“三廃”総合利用及び環境産業の発展を強化する。

(八)汚染整備、環境保全型農業、環境産業を推進する融資政策及び税制政策を探求する。

(九)政府行為と市場メカニズムが相互に結び付いた形式によって、環境保護事業の建設及び管理における新モデルを積極的に探求する。環境保護事業の資金調達のためには、民間資金の吸収を積極的に行う。工事をめぐる技術力の結集、科学技術成果の転化推進を図る。

(十)渤海地区の環境保護を外資利用の優先分野として位置付け、環境保護分野における外資利用規模を適度に増やし、利率が比較的優遇されている中・長期融資を可能な限り利用するようにする。

(十一)海軍においては現在、汚染整備経費が不足しており、国による特別支出金の割り当てで解決することを提案する。これによって、海軍は渤海行動計画によって求められる関連各項の汚染整備任務を円滑に完了することができる。

(十二)海洋環境科学研究活動に対する支援度を確実に拡大・強化し、国による投入を主として、複数のルートを通じて海洋環境科学研究資金を調達し、海洋環境科学研究に対する投入を確実に増やす。財政金融支援策を実施し、民営科学技術企業による海洋環境科学研究及び技術イノベーション活動への参加を奨励する。プロジェクトの事業費用の中からの、科学研究経費の適度な割り当てを建議する。

図9-1 渤海碧海行動における各種整備事業の投資比率図

図9-1 渤海碧海行動投資概算表 単位:億元

投資先

汚染整備投資

生態整備・回復投資

管理・技術支援投資

旧来の生産方式の改造に関する投資

実施段階

合計

都市部汚水処理建設事業

都市部ゴミ処理建設事業

船舶・石油整備事業

海上汚染応急事業

水土保持・流域整備

海岸の分離帯建設・緑化事業

自然保護区・生態保護区の建設

管理・技術支援

環境保全型農業・生態モデル区建設事業

環境保全型漁業・養殖

2001-2005

330.47

112.15

21.5

8.66

4.52

45.7

56.08

14.83

3.2

43.96

19.87

2006-2010

169.08

55.3

2.89

5.94

4.04

29.28

26.72

34.98

2.92

33.9

28.41

合計

499.55

167.45

24.39

14.6

8.56

74.98

82.8

49.81

6.12

77.86

48.28

類別合計

 

 

215

 

 

207.59

 

6.12

126.14

類別比率

 

 

38.80%

 

 

37.40%

 

1.10%

22.70%

注:都市部汚水処理建設事業の投資には海河、遼河プロジェクトに対する投資88億7,400万元が含まれる。

三 資金調達分析

(一)都市汚水処理施設建設プロジェクト

都市における環境インフラの建設及び改善における現地の環境質に関する責任主体は現地政府である。故に、各地政府は渤海碧海行動計画の要求に基づき、都市汚水処理施設の建設を確実に強化し、建設資金を確実に使用する。環渤海地域における条件を備えた大・中都市は都市汚水処理費、都市ゴミ処理費の徴収を試験的に実施する。徴収した都市汚水、ゴミ処理費用は環渤海地域の汚水処理施設、ゴミ処理施設の運営・維持に充て、その他の用途に流用してはならない。

国が政策及び資金の割り当てにおける支援及び牽引的役割を発揮し、各部門及び各級政府が関係プロジェクトを計画に組み込み、優先的に手配することを促すよう提案する。国債及び銀行融資も渤海碧海行動計画に傾斜すべきである。

渤海碧海行動計画の各プロジェクトの組織・実施を図ると同時に、汚水処理施設の建設をめぐる市場化、企業化運営を推進し、相応の政策を制定し、専門企業及び大型企業による汚水処理施設への投資、建設請負を奨励するとともに、汚水処理施設の運営・管理に責任を負う。

(二)工業汚染源抑制プロジェクト

国が企業による産業構造の調整、技術改造、クリーナプロダクションなどの分野の推進に対して、政策、技術など各方面から支援を与えることを建議する。

(三)船舶・港湾環境保護施設建設プロジェクト

国家関係部門が《海洋環境保護法》の規定に基づいて、船舶による汚染の制御及び港湾における環境保護施設の建設に関する規定を制定することを提案する。環渤海地域の各港湾及び渤海に停泊する船舶はすべて、規定に従って、船舶及び港湾に環境保護施設を設けなければならない。国は技術の選別、工事モデルの面で必要な支援を与える。

(四)石油プラットホーム汚染抑制プロジェクト

国家関係部門が健全な法規、基準の確立を更に進め、海上石油プラットホームの環境管理を強化することを建議する。石油プラットホームは要求に基づき、環境管理を強化し、汚染物の排出基準の達成を保証しなければならない。

(五)非点源汚染抑制プロジェクト

国家関係部門が渤海区域の防護林事業、水土保持事業を優先的に相応の計画に組み込み、手配するとともに、環渤海地域の実際情況と結ぶ付け、技術モデル事業を可及的速やかに開始することを建議する。環境保全型農業事業、生態モデル区建設プロジェクトについて、地方政府の積極性を十分に引き出さなければならない。これに対して、国が政策及び建設資金面で必要とされる指導と支援を与えることを提案する。生態モデル区の建設計画については、地方政府が国の行政主管部門に報告、認可を受けた後に統一的に手配し、国はこれに対して、特別資金を割り当てなければならない。

(六)水産養殖

水産養殖は渤海の環境質に影響を与える重要な要素であり、行動計画では環境保存型養殖の比率を徐々に高め、汚染排出を減らすことが求められる。国家関係部門は環境保全型養殖の技術標準及び指導細則を可及的速やかに制定し、環境保全型養殖の比率を確定、向上させるよう提案する。

(七)海上汚染応急事業建設プロジェクト

海上汚染応急事業建設プロジェクトについては、国家関係部が統一計画と実施方案を打ち出すとともに、地方政府の要求と結び付け、国と地方政府が共同で投資、建設を行わなければならない。

(八)技術支援体系

計画実施をめぐる技術支援体系には環境モニタリング能力、海洋環境管理システム、科学技術研究、法規・基準の確立などの内容が含まれる。国はこれに対して、特別資金による支援を与えなければならない。建設方案については、関係部門が提出するとともに、論証を組織した後、国の計画、財政部門に報告し、統一的に手配、実施する。

第五節 広報・啓発及び大衆による参与

一 渤海碧海行動計画の広報・啓発の強化

(一)マスメディアの世論監督及び誘導機能を発揮させ、本計画実施の重要な意義を広める。

(二)各種機会の利用、各種方式の採用によって、海洋環境保護に関する経常的な広報活動を展開し、国民全体の海洋環境保護意識、法意識、及び環境保護活動に対する参加意識を高める。

(三)各種形式の海洋環境保護訓練コースを開設し、環渤海地域の各級環境保護部門の環境管理担当者に対する在職教育、OJTを実施し、環境保護に関する法律を執行する人員の政治面、業務面での素質向上を図り、海洋環境保護に関する管理技能を備えた専門人材を育成する。

二 大衆の渤海碧海行動への参加奨励と支援

(一)海洋環境保護に関する科学技術コンサルティング活動を組織的に展開する。

(二)3省1市の人民政府は社会に向けて定期的に公表する、環境質及び環境汚染に関する情報の中で、各行政区における海洋の環境質の情況を列挙し、一般大衆及び民間団体に対して、渤海の環境保護に関する情報ルート及びフィードバックメカニズムを提供する。

(三)国と環渤海地域の関係主管部門は共同で、渤海碧海行動のボランティア活動を組織する。

第六節 国際協力の強化

一 国際協力の形式

(一)周辺及びその他の沿海国の政府との間の二国間或いは多国間協力。

(二)西北太平洋行動計画、東亜海(日本海)行動計画、東北アジア地域における環境協力の枠組み内での地域的協力。

(三)国連環境計画(UNEP)、国際海事機関(IMO)など、国際機関との協力。

(四)世界銀行、アジア開発銀行など、国際的な金融機関との協力。

(五)沿海諸国の国家海洋環境研究機構、高等教育機関などとの各種形式による協力の展開。

二 国際協力分野

(一)地域的な海洋環境管理における政策及び法律。

(二)海洋汚染防止及び生態系保護における科学と技術。

(三)クリーナプロダクションの実施及び都市汚水処理レベルの向上を図る上での工程及び設備。

三 我が国が締結又は参加している海洋環境保護に関する国際条約、協定の履行

(一)我が国が締結又は参加している、海洋環境保護に関する国際条約及び協定を積極的に履行し、渤海碧海行動計画の実施を推進する。これら国際条約、協定には以下が含まれる:《海洋法に関する国際連合条約》、《生物の多様性に関する条約》、《マルポール73/78条約》、《油による汚染損害についての民事責任に関する国際基金条約(1969年)》、《1990年の油による汚染に係る準備、対応及び協力に関する国際条約(OPRC条約)》、《廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約》、《陸上活動からの海洋環境の保護に関する世界行動計画(GPA)》、《特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約(ラムサール条約)》など。

(二)二国間及び多国間の海洋環境協力協定を真摯に執行し、周辺沿海国との海洋環境保護をめぐる地域協力を強化する。


渤海碧海行動計画付表

付表1 都市汚水整備、都市ゴミ処理計画における各プロジェクト

付表1.1 2001~2005年の都市汚水整備計画における各プロジェクト

付表1-1-1 遼寧省5市の2001~2005年の都市汚水整備計画におけるプロジェクト一覧

地区

プロジェクト名称

規模

投資額

汚染物削減量(t/a)

t/d

万元

COD

全窒素

全リン

優先プロジェクト

 

 

 

 

 

 

大連

瓦房店市汚水処理場

3

14000

2500

45

7

営口

営口市都市汚水処理場(一期)#

10

21000

9300

800

200

 

営口市汚水処理場(二期)#

20

52134

10000

600

80

 

営口市経済技術開発汚水処理場

10

36000

3670

500

10

 

大石橋市汚水処理場

5

12000

2200

480

2

 

蓋州市汚水処理場

5

10000

2000

400

2

錦州

大凌河汚水処理場一期事業

5

9400

2106

75

13

盤錦

第二汚水処理場#

10

20700

5587

150

60

重点プロジェクト

 

 

 

 

 

 

大連

金州区汚水処理場

6

15000

5000

90

15

 

虎灘汚水処理場

7

14000

3200

380

54

 

凌水汚水処理場

5

10000

2300

360

55

 

寺爾溝汚水処理場

4

8000

1800

340

53

 

三道溝汚水処理場

7

14000

3200

360

54

 

旅順口区汚水処理場

3

25000

2500

45

8

 

普蘭店市汚水処理場

3

10000

2500

45

8

営口

営口市老辺区汚水処理場

5

12000

2200

480

6

錦州

義県汚水処理場一期事業

3

5000

1200

45

8

 

北寧市汚水処理場一期事業

4

9000

1600

60

10

 

黒山鎮汚水処理場一期事業

5

10000

2106

75

13

 

錦州市城西汚水処理場

20

20000

12000

300

50

 

錦州開発区汚水処理場一期事業

10

10000

4000

150

25

葫蘆島

葫蘆島老区汚水処理場

7

11000

6900

770

77

遼寧省5市合計(22件)

157

348234

87869

6550

810

注:#は遼河プロジェクト。

付表1-1-2 河北省3市の2001~2005年の都市汚水整備計画におけるプロジェクト一覧

地区

プロジェクト名称

規模

投資額

汚染物削減量(t/a)

备注

t/d

万元

COD

全窒素

全リン

優先プロジェクト

 

 

 

 

 

 

 

秦皇島

北戴河東部汚水処理場#

7

21000

 

386

15

 

海港区汚水処理場#

12

39700

 

788.4

65.7

 

山海関汚水処理場#

6

16500

 

394.2

32.85

 

唐山

南堡開発区汚水処理場#

8

15000

 

292

87.6

 

海港開発区汚水処理場#

4

8100

 

146

14.6

 

遷安市汚水処理場#

8

13000

 

584

58.3

 

滄州

運東汚水処理場#

10

17500

 

912.5

146

 

重点プロジェクト

 

 

 

 

 

 

 

唐山

西郊汚水処理場#

16

26814

 

584

75.2

 

滄州

黄驊市汚水処理場#

4

10000

 

182.5

18.25

 

河北省3市合計(9件)

75

167614

 

4269.6

513.5

注:#は海河プロジェクト。

付表1-1-3 天津市の2001~2005年の都市汚水整備計画におけるプロジェクト一覧

プロジェクト名称

規模

投資額

汚染物削減量(t/a)

t/d

(万元)

全窒素

全リン

優先プロジェクト