気候と自然災害

状況

全国の基本的な気候状況

2003年度(2002年12月から2003年11月まで)、全国の年間平均降水量は平年に比べ際立って多かったが、降水分布には偏りがあった。北方では降水が非常に多く、1961年以来2番目の多雨だった。一方、南方では降雨が非常に少なく、江南や華南では1961年以来降雨が最も少ない年となった。淮河流域では増水期、黄河中・下流では秋に深刻な洪水が発生した。東北では春季に、南方では夏・秋季に大規模な旱ばつが発生した。全国の年度平均気温は平年に比べ際立って高く、7年連続で平年値を上回った。1961年以来、5番目の高温となった。江南、華南は夏季に日照りと熱波に襲われた。

2003年、中国では気象災害が頻繁に発生した。台風や黄砂といった災害は過去数年に比べ非常に軽かったが、干ばつ、暴雨洪水、高温、低温と長雨、ひょう・あられといった災害は相対的に見て重かった。2003年度は気象災害が中度より重い年となった。

降水分布

2003年、全国の平均降水量は640.9mmで、平年値に比べ33.9mm多かった。北方では2003年度の平均降水量が、干ばつの続いた過去4年に比べ明らかに多く、1961年以来、2番目の多雨となった。一方、南方は降水量が非常に少なく、江南、華南は1961年以来降水量が最も少ない年となった。2003年度は渭河から黄河下流にかかる一帯以南の大部分の地域と西南地区東・南部で降水量が800~1,500mmで、局部的には1,500mm以上となった。東北、華北の大部分と西北東南部では300~800mmで、西北中西部では300mm足らずだった。平年と比べ、長江以北の大部分と東北北部で降水が非常に多く、このうち黄河・淮河西部と南新疆などの地域では5割増から1倍以上の多さだった。長江以南と東北東・中南部の降水は極めて少なかった。

全国の年度降水量の経年変化(mm)

2003年度の全国降水量分布(mm)

2003年度の全国降水量の百分率分布(%)

気温の分布

2003年度の全国の平均気温は9.9℃で、平年値に比べ0.6℃高かった。7年連続で平年値を上回っている。南方地区の気温は明らかに高く、1961年以来最も暖かい1年となった。平年と比べ、華北南部、黄河淮河西部などの地域以外では、全国の大部分で気温が高く、そのうち東北中部、西北南部、南方の一部の地域では1~2℃高かった。

全国の年度平均気温の経年変化(℃)

2003年度の全国平均気温を平年値と比較した際の分布 (℃)

気象災害

2003年度、中国では干ばつ、暴雨洪水、高温、低温長雨、台風、風・雹、黄砂、雪害、濃霧といったさまざまな気象災害と異常気象現象が発生した。災害の被害は中程度より重い1年だった。少雨と干ばつ、暴雨と洪水が依然として主要な気象災害で、被害面積は全災害被害面積の4分の3を占めた。

【干ばつ】

東北での春季の干ばつ、南方での盛夏・秋季の連続した干ばつが、2003年の干ばつの主な特徴だった。東北の大部分は2002年秋季から降水量が少なく、2003年度の冬季と春季は降水量が平年より3~8割少なかった。特に1~5月の東北地区の平均降水量は1993年と1965年に次ぐ少なさで、1954年以来3番目の少雨となった。盛夏には、長江以南の大部分で高温少雨となり、7月~8月上旬の総降水量はわずか50~200mmと全体的に3~8割の少なさだった。秋は南方の大部分で依然として降水量が少なかった。そのうち浙江、江西、湖南、福建、広西は夏季から少雨が続き、5省の7~11月の平均降水量は長年の平均値を大きく下回り1954年以来の極めて小さい値となった。

【豪雨洪水】

淮河流域では梅雨期(6月21日~7月22日)に相次いで6回の集中降雨が現れた。各集中降雨では降水量が400~500mmあり、江蘇と安徽の両省の淮河沿いの地域、華南東南部の一部の地域では500~600mmに達し、平年同期より1~2倍も多かった。主な増水期は流域の平均降水量が1954年に次ぎ、約50年で2番目を記録した。降雨の地域と時期が集中したため、雨量は多く、淮河流域の本流・支流では恒常的に水位が上昇し、警戒水位を超えた。王家壩では7月3日と11日にそれぞれ水門を開いて水が排出された。これは1991年の淮河の大水後、王家壩が初めて水門を開いて水が排出されたケースで、淮河流域で1991年以来最大の洪水となった。

【高温】

2003年の夏季は、中国南方地区の広い範囲が熱波に襲われた。特に江南、華南で1ヵ月余りにもなる連続した高温気象が続き、局地では2ヵ月にもなり、歴史的に珍しい現象となった。長江の中・下流から華南地区では、夏季の最高気温が38~40℃に達し、浙江中南部、福建北部、江西中部などでは40~43℃となった。浙江、福建、江西の大部分と、江蘇、安徽、広東、広西といった地域の局地的な最高気温は史上最高記録を更新した。夏季の高温日数は、長江中・下流およびそれ以南の大部分で総じて10~30日あり、江南中東部、華南北部では30~50日を数えた。平年同期と比べ、これら大南方地区の盛夏(7~8月上旬)では35℃以上の高温日数と夏季全体(6~8月)の38℃以上の高温日数がいずれも1961年以来の最高値となった。

【台風】

2003年(1~12月)、西北太平洋と南海上に21の台風が発生、このうち6つが中国に上陸した。上陸した台風の数は平年に比べ若干少なく、台風による経済損失も過去に比べ小さかった。7、12、13号台風の上陸は強度が大きく破壊力も強く、沿海部地域に大きな損失をもたらした。

【黄砂】

2003年春季は中国で7回にわたる黄砂気象が発生した。このうち2回は強い黄砂だった。過去数年と比べ、2003年度の黄砂気象は少なく、範囲も小さく、影響も軽かった。

【雪害】

2003年冬季(2002年12月-2003年2月)は、強い冷気が頻繁に現れた影響を受け、内蒙古ではこの30年来でまれにみる大規模な降雪があった。また温度も下がったうえ持続時間も長く、各地区では暴風雪があった。シリンゴール盟、フルンボイルなどでは雪害が発生した。このうちシリンゴール盟の牧畜区では2002年10月下旬、大部分の地域ですでに積雪があり、局部的に雪害が発生していた。12月中旬、下旬には長く続く降雪と気温の下降で、雪害の範囲が絶えず拡大し、最大積雪量は20~40㎝になった。1月に入り、被害はさらに増し、2月末になっても依然として家畜を放牧させることができなかった。

 2003年に中国に上陸した台風の一覧表

号数(名称)

上陸日時

上陸場所

最大風力(

影響を受けた地区

被害状況

0307(インブードー)

7月24日

広東陽西~電白

12

広東、広西、海南

被害面積52ha、死者28人、建物倒壊2.9万軒、直接経済損失約33億元

0308(コーニー)

7月21日

海南万寧

9

海南

被害面積2.5ha、建物倒壊0.19万軒、直接経済損失1.9億元

0309(モーラコット)

83

台湾台東

10

福建、広東

被害面積1.4ha、死者5人、建物倒壊0.98万軒、直接経済損失2.4億元

84

福建晋江

8

0311(ヴァムコー)

8月20日

浙江平陽

9

浙江

被害面0.7ha、建物倒壊0.1万軒、直接経済損失0.7億元

0312(クロヴァン)

8月25日

海南文昌

12

海南、広東、広西

被害面積39.6ha、死者3人、建物倒壊1.9万軒、直接経済損失31.8億元

広東徐聞

0313(ドゥージェン)

9月2日

広東恵東

12

広東

被害面積26ha、死者44人、建物倒壊0.78万軒、直接経済損失24.9億元

広東深セン

広東中山

2003年春季の中国の主な黄砂天気一覧表

番号

期間

類型

主な影響体系

揚沙と黄砂の影響範囲

風力(

(月・日)

1

4.8~4.11

黄砂

冷気

南疆盆地、青海全域、甘粛中部、北蒙古中部、寧夏北部、山西北部、山西西南部で揚沙が発生。新疆庫車、輪台、安徳河、阿瓦提、青海の西北部・南部、甘粛中部の一部、内蒙古中西部の一部、寧夏岩池で黄砂が発生。このうち甘粛の金塔、青海の茫崖、瑪多、瑪沁、達日、甘徳などで強度の黄砂。

56

低気圧

一部で7

2

4.13~4.15

揚沙

蒙古低気圧

甘粛西北部、内蒙古西部、内蒙古中東部の一部地域、遼寧西部などで揚沙が発生。内蒙古西部と中部の一部で黄砂が発生。

57

冷気

3

4.1517

黄砂

蒙古低気圧

新疆南部、青海西北部、甘粛西部、内蒙古西部、遼寧西部、吉林西部、黒竜江西南部などで揚沙が発生。このうち新疆南部と青海西北部、甘粛西部、内蒙古西部、吉林西部などの一部で黄砂か強度の黄砂が発生。

56

冷気

4

4.2021

揚沙

冷気

青海北部、甘粛中西部、内蒙古中部西よりの地区で揚沙。このうち青海の冷湖、甘粛の玉門で黄砂。

 

5

5.1~2

揚沙

冷気

黒竜江中部、吉林、遼寧西部などで揚沙。このうち吉林と遼寧西部の一部で黄砂。

 

蒙古低気圧

6

5.2~5

揚沙

冷気

新疆南部、甘粛中部、内蒙古西部などで揚沙。このうち新疆南部、内蒙古西部の一部で黄砂か強度の黄砂。

 

蒙古低気圧

7

5.7

揚沙

冷気

遼寧西部の一部で揚沙

5~6级、

一部で7

地震灾害

2003年、中国ではM5.0以上の地震が37回発生した。このうちM7.0以上の地震は1回、M6.0~7.0は7回、M5.0~6.0は29回だった。大陸地区では27回、台湾地区では7回、東海で2回、南海で1回発生した。

中国大陸地区では21回の地震災害事件が発生した。地震災害で7万8,143㎢が被害を受け、被害人口は約298万人、うち死者数は319人だった。地震災害による直接経済損失は46億6,000万元だった。

2003年の中国大陸部における地震災害損失一覧表

災害事件番号

日時

地点

M

負傷・死亡者/人

家屋の損壊/m2

直接経済損失

 

 

月日

時間

 

死亡

重傷

軽傷

全壊

重度

中度

軽微

/万元

1

1月4日

19:07

新疆伽師

5.4

 

 

 

14135

48115

150770

295829

3120

2

2月14日

1:34

新疆石河子

5.4

 

 

 

 

 

 

 

50

3

2月24日

10:03

新疆巴楚-伽師

6.8

268

2058

2795

2452193

2119473

2277530

2872992

139792

4

4月17日

8:48

青海徳令哈

6.6

 

 

 

36389

67091

72593

67046

7324

5

4月24日

6:37

陜西石泉

4.5

 

 

1

 

2540

8710

388625

1302

6

5月4日

23:44

新疆伽師-岳普湖

5.8

1

 

3

157939

302770

387719

415684

7720

7

6月17日

22:46

四川西昌

4.8

 

 

 

 

 

90

2460

179

8

7月10日

9:54

四川西昌-昭覚

4.8

 

1

 

 

 

18710

66960

561

9

7月21日

23:16

雲南大姚

6.2

16

110

683

48410

505274

2100520

5211078

59190

10

816

18:58

内蒙古巴林左旗-科爾沁旗

5.9

4

60

1004

12190

26115

33975

36395

80649

11

8月18日

17:03

チベット波密南

5.7

2

4

10

 

 

 

 

4342

12

8月21日

10:16

四川塩源

5

 

2

7

 

14200

70160

113465

2187

13

9月2日

7:16

新疆阿克陶

5.9

 

 

 

 

 

 

 

847

14

9月27日

19:33

中ロ国境

7.9

 

 

 

10722

99135

198551

498827

7636

15

10月16日

18:28

雲南大姚

6.1

3

15

42

44369

198273

1088551

3516024

41560

16

10月25日

20:41

甘粛民楽-山丹

6.1

10

14

32

376070

844981

947038

1285368

50140

20:48

5.8

 

 

 

2235

59694

78836

94423

4078[1]

17

11月13日

10:35

甘粛岷県-臨潭

5.2

1

17

116

46242

219916

414211

548266

8792

18

11月15日

2:49

雲南魯甸

5.1

4

24

70

19960

118716

423560

2592635

19190

19

11月25日

13:40

山西洪洞

4.9

 

4

7

200

60

80

1100

55

20

1126

21:38

雲南

5

 

2

22

15010

88641

1264626

141190

9300

21

12月1日

9:38

中カザフスタン国境

6.1

10

21

23

48983

121882

528009

934600

18026

合計

319

2332

4815

3285047

4836876

10064239

19082967

466041

注:[1]この行の死傷者、家屋損壊、直接経済損失数は民楽-山丹のM6.1の地震により内蒙古で発生した損失を指す。

地質災害

2003年、全国では各種の地質災害が1万3,832件発生し、743人が死亡、125人が行方不明、564人が負傷した。直接経済損失は48億6,500万元。地質災害が深刻だったのは四川、陜西、湖南など。

海洋災害 

2003年は全国の海洋災害が例年規模の1年となった。年間に海洋災害がもたらした直接経済損失は80億5,000万元で、前年比22%増加した。被災人口は2,000万人余りで、うち死亡・行方不明者は128人。暴風高波災害による直接経済損失は78億7,700万元で、死亡・行方不明者は25人。暴風高波災害が2003年の主な海洋災害だった。

2003年の主な海洋災害損失統計

災害の種類

発生回数

災害回数

死亡・行方不明者数(人)

直接経済損失(亿)

暴風高波

14

5

25

78.77

赤潮

119

14

なし

0.43

大波

34

10

103

1.15

油流出

5

2

なし

0.17

合計

--

--

128

80.52

注:沿岸の波浪災害の損失は暴風高波災害の損失に含まれる。

措置と行動

増水期の地質災害気象警報予報

中国気象局と国土資源部は共同で、増水期の地質災害気象警報予報活動を行った。6月1日から中央電視台で警報予報情報を出している。各省(区・市)も積極的に、地質災害気象警報予報に取り組んでおり、地すべりや土砂流などの警報予報が500回余り出された。避難に成功した地質災害は697件で、2万9,514人の死傷を未然に防ぎ、損失4億元余りを減らした。

増雨防雹

全国の30省(市・区)で人工的な増雨防雹作業が行われた。作業面積は300万㎢で、雹を防ぎ保護した面積は41万㎢だった。

地震モニタリングシステム

2003年末までに、国家、地域、市・県の3クラスで地震モニタリングシステムが基本的に整備された。システムには、48の地震観測台で作る国家デジタル地震観測台網、23の省级地域のデジタルリモート測定地震観測台網、25の連続観測GPS基準ステーションと56の基本ステーション、約1,000地点の流動観測ポイントでつくる地殻運動観測ネットワークが含まれる。また、159ヵ所のデジタル化前兆観測ステーションの改修・拡大が行われ、全国に現在ある50%の地震測定ステーション、30%の前兆ステーションでデジタル化が進められた。全国のM4.0以上の地震はすべて有効的にモニタリングされ、全国の大地震速報台ネットワークは25分以内に地震のあった時間と地点、震度を速報した。各省(区・市)の地域リモート測定台網では15分以内に速報できた。

震災予防  

国家基準の「中国地震振動パラメーター区画図」が編纂され、重大な事業と一般の民間建築に科学的かつ合理的な更新設備要求を示した。更新設備の要求を激しさによる表現から、地震振動パラメーターによる表現へ移行した。

地震緊急救援

国務院、中央軍事委員会が2001年に承認・組織した第1次国家地震災害緊急救援隊は、2003年2月新疆巴楚から伽師にかけてのM6.8の地震と、5月のアルジェリアでのM6.7の地震、2003年12月の新疆昭蘇の地震、2003年12月のイラン・バムのM7.0の地震において、国内2回、国外2回の救援活動を行った。中国の地震災害緊急救援隊が国内外における基本的な救援能力を備えていることを示した。