気候と自然災害

状況

全国の基本気候状況 2005年、全国の平均年間降水量は平年に比べてかなり多かった。年間平均気温も平年を明らかに上回った。全国の大部分の地域で、年間日照時間が平年に近いまたは平年を大きく下回った。同年、中国では広い範囲、長期間に及ぶ深刻な乾燥は発生せず、春季の砂塵嵐の回数もかなり少なかったが、台風、豪雨による洪水・冠水、低温による凍害などの災害が平年に比べて深刻で、強風、ひょう、竜巻、落雷など強制対流が頻発した。全体的に見るならば、2005年の気象災害はほぼ平年並みで、農業の作柄は平年より良好だった。前年と比べた場合、気象災害が比較的深刻で、作柄も比較的劣った。

降水分布 2005年の全国の平均降水量は631㎜で、平年に比べて17.7㎜多かった。華北地域北部、西北地域、西南地域の西南部及び内モンゴルなどの年間降水量が500㎜を下回ったのを除き、その他の地域は全面的に500㎜以上に達した。

気温分布 2005年、全国の年間平均気温は9.4℃で、平年に比べて0.6℃高く、1951年以来6番目に高い年となり、2003年とほぼ同じレベルで、前年に比べるとやや低く、かつ9年連続で平年平均値を上回った。

気候災害 2005年、全国で乾燥、豪雨による洪水・冠水、台風、強風、ひょう、落雷、竜巻、高温、雪による災害、低温による凍害など、さまざまな気象災害が発生した。同年における、各種自然災害による直接経済損失は2042億元に達し、災害による死亡者は2475人に上り、災害が非常に多い年であった。通年の農作物被害面積は3881.8万haに及び、このうち乾燥、豪雨による洪水・冠水の被害面積が被害総面積の69%を占めた。華南南部で深刻な秋・冬・春連続の干ばつが発生し、雲南では50年に1度のレベルの深刻な春季の干ばつが発生した。西北東北部及び内モンゴルなどでは、夏・秋連続で干ばつが発生、江南西部、華南西部では秋の干ばつが目立った。西江、ミン[1]江、淮河流域及び湖北、湖南、四川、遼寧などでは深刻な豪雨による洪水・冠水災害が発生、渭河、漢江流域では秋季に特大の洪水が発生した。

【干害】2005年、全国における乾燥範囲は小さく、損失も軽かった。広い範囲の、持続的かつ長期的で深刻な乾燥は見られず、状況は平年に比べて軽度だった。しかしながら、華南南部では秋・冬・春連続の深刻な干ばつが発生、雲南では50年に1度のレベルの深刻な春季の干ばつが発生した。長江中・下流地域では初夏に干ばつが見られ、西北・東北部及び内モンゴルなどでは夏・秋連続で干ばつが生じ、江南、華南では秋の干ばつが目立った。

【台風/熱帯暴風雨】2005年、8つの台風と熱帯暴風雨が中国に上陸、台風の強度は高く、範囲は広く、被災状況は深刻で、台風災害による損失は1997年以来最悪となった。台風9号「マッツァ(Matsa)」は2005年に発生した台風のうち、影響範囲が最も広く、経済損失が最も深刻な台風だった。

【豪雨/洪水】豪雨による洪水・冠水災害は平年に比べて深刻だった。西江、ミン[2]江、淮河流域及び湖北、湖南、四川、遼寧などで、深刻な豪雨による洪水・冠水災害が発生、渭河、漢江流域では秋季に特大の洪水が発生した。

【砂塵嵐(黄砂)】2005年春季、全国で砂塵嵐(黄砂)が5回発生した。このうち、最も激しい砂塵嵐(黄砂)は4月27~28日に発生したもので、内モンゴルの二連浩特(エレンホト)、阿巴カ旗、満都拉、錫林浩特(シリンホト)で強烈な砂塵嵐(黄砂)が見られた。

【落雷】2005年の全国における落雷災害には、発生頻度が多く、範囲が広く、影響が大きいという特徴が見られた。概算統計によると、2005年に全国で発生した落雷災害は1.1万件余りで、このうち、落雷による死傷事故は700件余り、火災または爆発事故は200件余り、建築物の損壊は1100件余り、電力供給の故障は2700件余りに上った。通年の落雷災害によって1300人余りの死傷者が出たほか、直接経済損失は約6億元、間接経済損失は数十億元に達した。

2005年に中国に上陸した台風と熱帯暴風雨表

号数(名称)

上陸日

上陸地点

最大風力

被災地域

(級)

0505(台風5号「ハイタン(HAITANG)」)

7月18日

台湾宜兰

12

福建、浙江、江西、湖北、安徽、

7月19日

福建連江

12

河南、河北

0508(台風8号「ワシ(WASHI)」)

7月3日

海南瓊海

10

海南、広東

0509(台風9号「マッツァ(Matsa)」)

8月6日

浙江玉環

12

浙江、福建、上海、江蘇、安徽、

山東、河北、天津、遼寧

0510(台風10号「サンヴー(SANVU)」)

8月13日

広東澄海

10

広東、福建、江西湖北

0513(台風13号「タリム(TALIM)」)

9月1日

台湾花蓮

12

福建、浙江、安徽、江西湖北

9月1日

福建プ田

12

河南、江蘇、広東

0515(台風15号「カーヌン(KHANUN)」)

9月11日

浙江台州

12

浙江、江蘇、安徽、上海、福建

0518(台風18号「ダムレイ(DAMREY)」)

9月26日

海南万寧

12

海南、広東、広西

0519(台風19号「ロンワン(LONGWANG)」)

10月2日

台湾花蓮

12

福建、浙江、江西

10月2日

福建晋江

12

2005年春季の中国における主要砂塵嵐(黄砂)発生状況

No.

開始・

終了日

類型

主要

砂塵嵐(黄砂)の影響範囲

風力

 

影響系統

()

1.       

46日~

4月9日

砂塵嵐

寒冷前線

新疆南部盆地、内モンゴル中西部、青海、甘粛西部及び中部、寧夏などの一部地域で「揚沙(視界が10㎞未満の黄砂現象)」が発生。うち、新彊の民豊、鉄幹里克、若羌、内モンゴルの拐子湖、烏拉特中旗、錫林浩特(シリンホト)、西烏珠穆沁旗、青海の冷湖、諾木洪、甘粛の敦煌、寧夏の塩池で砂塵嵐(黄砂)が発生、新彊の民豊で強い砂塵嵐(黄砂)が生じた。

北西風4~5級、局地で6~7級

 

2.       

4月16日~4月21日

砂塵嵐

蒙古サイクロン

 

寒冷前線

内モンゴル中部、青海の都蘭、茶カ、甘粛の敦煌、離台、中部地域、寧夏の大部分、陝西北部、山西中部、河北、遼寧の錦州、河南の新郷、山東西部、安徽のタン山などで「揚沙(視界が10㎞未満の黄砂現象)」が発生、うち内モンゴルの拐子湖、満都拉、朱日和、阿巴カ旗、新巴爾虎右旗、甘粛の酒泉、陝西の楡林、河北の張北で砂塵嵐(黄砂)が発生、青海の托勒、河北の饒陽で強い砂塵嵐が生じた。

北西風3~4級、局地で5~6級

 

3.       

427日~428

強い砂塵嵐

蒙古サイクロン

 

寒冷前線

内モンゴル中・東部、山西、河北、遼寧北部、吉林西南部、北京、山東北部などで「揚沙(視界が10㎞未満の黄砂現象)」が発生、うち二連浩特(エレンホト)、阿巴カ旗、錫林浩特(シリンホト)、蘇尼特左旗、那仁宝力格、克什克騰旗、和林格爾、東烏珠穆心旗で砂塵嵐が生じ、二連浩特(エレンホト)、阿巴カ旗、満都拉、錫林浩特(シリンホト)で強い砂塵嵐が発生した。

北西風4~6級、局地で7~8級

 

4.       

429日~51

砂塵嵐

蒙古サイクロン

 

寒冷前線

内モンゴル中西部、河北西北部、吉林西北部、河南北部、山東南部などの一部地域で「揚沙(視界が10㎞未満の黄砂現象)」が発生、うち内モンゴルの二連浩特(エレンホト)、蘇尼特左旗、那仁宝力格、東烏珠穆心旗、西烏珠穆心旗で砂塵嵐が生じた。

偏西風4~6級、局地で7級

 

5.       

510

砂塵嵐

蒙古サイクロン

 

寒冷前線

内モンゴル中部で「揚沙(視界が10㎞未満の黄砂現象)」が発生、うち一部地域で砂塵嵐または強い砂塵嵐が生じた。

北西風57

 

地震災害 2005年、中国ではマグニチュード5以上の地震が22回発生した。内訳はマグニチュード6~7の地震が4回、マグニチュード5~6の地震が18回で、大陸地域で13回、台湾地域で9回発生した。

2005年、中国大陸地域における地震災害は11回に上り、約208.4万人が被災し、被害面積約15039.7㎢、死亡者15人、重傷者90人、軽傷者777人に上り、家屋3457153㎡が倒壊、うち543515㎡が深刻な損壊、9916280㎡が中程度の損壊、10624541㎡が軽微な損壊だった。地震災害による直接経済損失は約26.3億元に上った。

2005年の中国大陸における地震災害損失一覧表

災害

事件

No.

時間

地点

マグニチュード

死傷者()

家屋の損壊(m2)

直接経済損失

(万元)

月日

時・分

死亡

重傷

軽傷

倒壊

深刻

中程度

軽微

1

15

6:05

四川馬爾康

4.7

0

0

0

 

1420

18188

98814

653

2

126

0:30

雲南思茅

5

0

0

5

9870

28206

83617

442485

5280

3

215

7:38

新彊烏什

6.2

0

0

0

197121

278622

657521

945201

15757.43

215

19:16

新彊烏什

5.1

4

48

4:04

チベット

仲巴

6.5

0

0

0

 

2151

6053

11496

1034.2

48

5:41

チベット

仲巴

5.2

5

62

4:06

チベット

墨脱

5.9

0

0

0

5048

16513

31789

78177

4187.4

6

725

23:43

黒竜江林甸

5.1

1

1

10

23105

 

60758

19400

2744.68

7

85

22:14

雲南会沢-四川会東

5.3

0

4

40

41863

154220

468037

2141590

16998

8

813

12:58

雲南文山

5.3

0

2

27

8385

33971

84646

869640

9220

9

826

5:08

新彊墨玉

5.2

0

0

0

4246

14176

21620

20816

644.7

10

1027

19:18

広西平果

4.4

1

1

2

805

 

10817

 

2532

11

1126

8:49

江西九江、瑞昌間

5.7

13

82

693

3166710

14236

8473234

5996922

203759.39

総計

15

90

777

3457153

543515

9916280

10624541

262810.8

注:黒竜江の林甸、広西の平果、江西の九江、瑞昌間の地震については、農村建築物の震災被害調査を行った際に、建築物に対して、倒壊、破壊、ほぼ完全の3類の分類が採用された。

地質災害 2005年、全国で発生した各種地質災害は17751件に上り、このうち死傷者が発生した、または直接経済損失が50万元以上に達した地質災害は854件だった。同災害による通年の死傷者数は1021人で、内訳は死亡578人、行方不明104人、負傷339人となっている。

【地滑り】全国で発生した地滑り災害は9359件で、主に福建、安徽、湖北、重慶、陝西、浙江、広東などの省(直轄市)に分布している。このうち福建省の地滑り災害が最も深刻で、同省の2005年に発生した地滑り災害は5934件に上り、同年の全国の地滑り災害発生総数の63.4%を占めた。

【倒壊】全国で発生した倒壊災害は7654件で、主に安徽、福建、浙江、海南などの省に分布している。このうち安徽省では通年で6445件の倒壊災害が発生、2005年における全国の倒壊災害発生総数の84.2%を占めた。

【土石流】全国で発生した土石流災害は566件で、主に安徽、新彊、浙江、四川、遼寧、湖北、陝西などの省(自治区)に分布している。このうち安徽省では通年で333件の土石流災害が発生、2005年における全国の土石流災害発生総数の58.8%を占めた。

【地面の陥没】全国で発生した地面の陥没災害は137件で、主に広東、湖北、山東などの省に分布している。

【地盤沈下】全国の50余りの都市と地区で地盤沈下が発生しており、地盤沈下エリアは主に長江デルタ地域、華北平原及び汾渭盆地などに分布している。

【地面のひび割れ】地面のひび割れは主に河南、陝西江蘇、湖北、貴州、河北などの省で発生しており、多くが地下水の取水、炭鉱採掘及び降雨などの原因によるものである。

【海水の浸水】海水の浸水は主に山東と遼寧の2省で発生している。山東省の煙台、青島、威海、日照などの地区では海水の浸水累計面積が649㎢に達している。遼寧省の錦州、葫芦島、大連などの地区では海水の浸水累計面積が740㎢に達しており、このうち大連地区では2005年に海水の浸水面積が新たに27㎢増えた。その他の地区における海水の浸水面積の変化は小さい。

海洋災害 2005年、中国では海洋災害が頻発、その影響範囲は広く、沿海11省(直轄市、自治区)すべてが被災し、経済損失が1949年以来最悪の年となった。高潮、赤潮、波浪、油流出などの災害が176回発生し、直接経済損失は332.4億元に達し、死亡者(行方不明を含む)371人に上った。

2005年、中国では、高潮、赤潮、波浪などの災害による直接経済損失が前年に比べて約5倍増加した。高潮災害(沿岸の台風に高波を含む)による直接経済損失は329.8億元、死亡者は(行方不明を含む)137人に達し、2005年の主要海洋災害となった。近海で発生した66回の寒気流やサイクロンの影響による船舶の沈没及び海難死傷事故による死亡者は(行方不明を含む)234人、直接経済損失は1.91億元に上った。赤潮による直接経済損失は0.69億元だった。海氷による目立った直接経済損失はなかった。

2005年における中国の主要海洋災害の損失統計

災害の種類

発生回数

死亡(行方不明)

直接経済損失

人数()

(億元)

高潮(沿岸の台風による高波を含む)

20

137

329.8

赤潮

82

なし

0.69

波浪

66

234

1.91

油流出

8

なし

海氷

合計

176

371

332.4

措置・行動

【落雷防止措置】2005年1月、中国気象局は『落雷防止事業専門資質管理規則』(中国気象局令第10号)、『落雷防止装置設計審査・竣工検収規定』(中国気象局令第11号)の2つの部門規則を公布し、落雷防止の社会管理活動のさらなる強化、規範化を図った。

【人工降雨・ひょう防止作業】2005年、全国における人工降雨作業目標区の面積は約258万㎢、各地の飛行機リース台数は37機、累計飛行作業は延べ608回、1530時間に達した。地上からの高砲、ロケット弾による人工降雨作業は17600回余りに達した。25省(自治区、直轄市)及び大連、青島市及び新彊生産建設兵団が人工ひょう防止作業を45700回余り実施、保護面積は44万㎢に達し、ひょうによる農業被害を効果的に防止、低減した。

【地震モニタリング】地震モニタリング局ネットワークの建設を全面的に展開し、モニタリング範囲のさらなる拡大、モニタリング能力のさらなる向上を図り、90%の国土面積でマグニチュード3.0以上の地震に関するモニタリングが可能になった。全国地震速報システムのリアルタイムのネットワークを実現、地震速報の時間が大幅に短縮し、精度が顕著に高まった。

【震災予防】国家質量検験検疫総局と国家標準化管理委員会が公布した強制的な国家標準『事業現場地震安全性評価技術規範』が2005年10月1日から実施された。当該標準は事業現場の地震安全評価に関する技術要件と技術方法を規定しており、各種建設事業の場所選定と耐震設計要件の確定、防災・減災計画、社会・経済発展計画などの活動に関わる事業現場の地震安全評価に根拠を示した。

【津波、地震国際緊急救援】2005年、中国国際救援隊がインドネシアの地震・津波、パキスタンの地震に対して、2回・4期にわたる国際救援活動を実施した。パキスタンでマグニチュード7.8の地震が発生した後、中国は国際救援隊を2期・延べ90人を派遣、パキスタンで特に被害が深刻だったバラコットで32日間に及ぶ緊急捜索救助、医療救助、疫病防除、災害評価、地震後の趨勢判定などの活動を展開したほか、現場で国際救援に関する調整役を引き受け、救援をめぐる重要な調整機能を発揮した。この救援行動によって、国際社会から再度広範な賞賛を得るに至った。

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[1] 門に虫――訳注

[2] 門に虫――訳注